学び舎の切り株

夏場だと鬱蒼とした森の中ですが、
数十年前までは、産炭の町。

ほとんどの建物が閉山後の清算でなくなってしまい、
残っている建物はわずかばかりです。

町であるから、もちろん学校もあったようです。
大きな基礎が数棟分残っていて、学校があった場所なのだそうです。

規則正しく並ぶ地杭が伐採後の切り株みたいに並ぶ景色。
コンクリート製のものですが、
文化の切り株のように思えてきました。

最恐の心霊スポットの名と
この季節には山菜の宝庫という名と
近代産業遺産という名。

いくつかの名前を持って静かに森に帰った町。
それが雄別です。

そこにおどろおどろしいものが残っているとすれば、
故郷を去らなければならなかった人々の想いが
枯れた雑草みたいに積み重なっていたものが
春草に持ち上げられて
悲しいものや悔しいものを胞子のように飛ばしているからかもしれません。