きりかぶMANIA

旅の切り株カタログ

極楽の記憶を語る切り株

2010-12-19 18:46:48 | 変身した切り株
北海道十勝にある芽室町。
その郊外に郷土博物館「ねんりん」という施設があります。
昔の生活用品や農具が多数展示されているほかに
「体験型博物館」ということで昔のノコギリで丸太を切ってみたり
昔のオモチャで遊ぶなどの体験ができます。

その館内にお世辞にも上手とは言えない木彫りの彫刻があります。
ある老人が、当時の町長の像を作り寄贈したものだそうです。

その博物館から程近い所に
今は畑になってしまったけれども林がありました。
老人は、農場の経営を息子に譲り、その後も私有地の林を管理。
間伐したり、枝打したり…



いつしか、その作業中に落とした枝や間伐した木、あるいは倒木を見つめているうちになにか思い立ったようです。
そして林の中にはたくさんの「娘.息子」が誕生して、閑散とした林に何かが起こりました。

そうして誕生したのが「高野極楽園」。
所狭しと木立から笑いかける顔 顔 顔…その数700点あまり。
どこか滑稽でありながら、どこか暖かい。
寡黙な林の精霊は、老人の手によって人の目に見える姿を手に入れました。



多くの人々が訪れて
林の中で驚いたり、笑ったり、もう一度後戻りしてみたり…

でも精霊の体にも人と同じように寿命があったようです。
老人も息子達の面倒を見るには体の自由が利かなくなってきたようで
楽園は閉じられることになりました。
セレモニーや記念写真集も作られ、1980年に閉園しました。

かくして楽園は地上から姿を消しました。
その記憶を無言で語るのが郷土資料館にある、この切り株の像なのです。
でもその大地は現在でも豊かな実りを作り出している。
あたかも大地の精霊が今もそこにいて十勝野を讃えているかのように。。。

ふるさと歴史館「ねんりん」


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