怖い話 vol.11

怖い話　vol.11　【ドッペルゲンガー】


ちょっと怖い話ではないかもしれませんが、ご了承下さい(-人-)


今から10年程前のお話です。
以前の怖い話にも登場した、前田さんに関係するお話。


前田さん(♂)はとても人見知りをする先輩でした。
私も仲良くなるまでに時間がかかった先輩です。

ただ、前田さんは無類の酒好きだった事もあり、
何度か皆で飲みに行ったりはしていました。


ある日、私はバイト先へ出勤するために自転車を漕いでいました。

すると、後ろから来た自転車に追い抜かれました。


ふと見ると、それは前田さんでした。


まず最初に思ったのは「前田さんがなんでここにいるのだろう」でした。


前田さんが住む場所と私が住んでいる場所は、市も違っていたので。
まあ、近くに友人なんかが居て、飲んで泊ってから出勤とかかな？と思ったのですが。

しかし、声くらいかけてくれてもいいのに。
と、ちょっと寂しさを感じていました。


前田さんはどんどん私を引き離して、見えなくなってしまいました。


バイト先に着くと私は仕事を始めました。
が、先に着いているはずの前田さんが見当たりません。

シフトを確認すると、私と同じ入り時間で今日は出勤になっています。


店長に確認すると、
「前田のやつ、絶対まだ寝てる」


前田さんはよく寝坊して遅刻する人だったのです。



2時間程経ってから、前田さんが出勤してきました。
いかにも寝起きです！って顔で。

私が前田さんに通勤時の話をすると、不思議そうな顔をして
「俺、家で寝てたよ」
と言っていました。


でも、確実に私が見たのは前田さんだったんです。
服装も、鞄も、靴も、全部前田さんが身につけているものでした。

自転車の漕ぎ方も、そのものでした。





そんな事があったのを忘れかけた頃です。

私はまたバイトへ行くために自転車でお店へ行きました。


お店の下に着いて、自転車を止めてから、
何気なく通りに目をやると、少し遠くの交差点あたりに前田さんが歩いているのを見ました。


あ、今からバイトかな。
と思っていると、前田さんはお店のある道へは入らずに真っすぐ進んで居なくなりました。


その時もお店に入ってからシフトを確認すると、
私と同じ入り時間で前田さんもバイトの日でした。


そして、同じくその日も遅刻をしてきたのです。
寝坊です。
寝起きの顔です。
本人に再度確認しても、家で寝ていたと・・・・。



ドッペルゲンガーではないか！？とバイト先で話題になりました。


見間違えではないか？
と言われそうですが、絶対に見間違えではないんです。

歩き方から何から何まで、絶対に本人なんです。



以前、兄の生き霊を見た話を書きましたが、
今思うと、これもその類ではないか？と感じます。

それとも本当にドッペルゲンガーなのか・・・・。



ドッペルゲンガーは、本人が負の気持ちに覆われると出現すると聞いたことがあります。


また、ドッペルゲンガーが本人を刺したり、
本人になりかわり、色々な所で目撃されたりする事も事実としてあるそうです。

少しずつ、少しずつ、本人の生活に介入してくるそうです。



怖いですね。




前田さんの件が生き霊なのかドッペルゲンガーなのかは解りませんが、
確実に、私が見たのは前田さんでした。


不思議な体験でした。