論系室だより

-早稲田大学文化構想学部 現代人間論系の教員・助手からのメッセージ-

観る×考える 新型出生前診断

2014年10月10日 | 教員から(著書・論文・イベント等紹介)
現代人間論系「ディスアビリティと現代」ゼミ・特別公開企画
観る×考える 新型出生前診断

「ディスアビリティと現代」ゼミ恒例の観る・考える企画です。
ゼミ3・4年合同で映像を観て、テーマを決めてディスカッションします。
他ゼミ生や1.2年生、他論系・コースのみなさんも
参加大歓迎ですのでぜひどうぞ。(予約は必要ありません)

日時:10月24日(金) 3限・4限
場所:33号館7階702号室(現代人間論系カンファレンス室)

【企画の趣旨】

妊婦の権利? 命の選別? 親の意志? 社会の問題!

2013年4月より、妊婦の血液で胎児の3種類の染色体異常(ダウン症の21トリソミー、精神遅滞や発育異常が出る13トリソミーと18トリソミー)が高い確率でわかる新型の出生前診断が始まり、波紋を呼んでいる。

 検査を行う病院でつくる研究チームの調査によれば、導入後1年間で検査を受けた7740人中、142人(1.8%)が染色体異常の疑いがある陽性と判定され、113人が羊水検査などで確定。うち97%に当たる110人が人工妊娠中絶を選んだという。

 現在は費用も高額(20~25万円程度)であり、日本産科婦人科学会の指針によって、実施は「十分な遺伝カウンセリングができる」と日本医学会が認定した施設のみであり、検査を受けられる妊婦も他の検査で染色体異常が疑われた場合や高齢妊娠(35歳以上)などに限定されている。しかし、一部のクリニックでは独自に海外の診断機関と提携する動きなどもある。

 出生前診断は「妊婦の権利」なのか、「命の選別」なのか。障害児を中絶するのは親の意志なのか、障害をもつ人が生きづらい社会がそうさせているのか。そもそも、母体保護法は胎児の異常を中絶の理由として認めていないので、出生前診断による中絶は、母体の健康の拡大解釈によって行われているということもある。「命をめぐる選択」の手前にあるこれらの問題について映像を観ながらディスカッションしたい。

問いあわせ先: 現代人間論系 岡部耕典 k_okabe@waseda.jp
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「現代日本における『信頼社... | トップ | 『人間関係の生涯発達心理学』 »
最新の画像もっと見る

教員から(著書・論文・イベント等紹介)」カテゴリの最新記事