goo blog サービス終了のお知らせ 

論系室だより

-早稲田大学文化構想学部 現代人間論系の教員・助手からのメッセージ-

【ご案内】第68回早稲田社会学会大会開催(2016/7/9)

2016年06月10日 | 教員から(著書・論文・イベント等紹介)
2016年7月9日(土)に早稲田社会学会が開催されます。

今回の大会シンポジウムのテーマは、「ソーシャル・キャピタル」。
社会関係資本とも呼ばれ、広義には人々が持つ信頼関係や人間関係のことを指します。
ソーシャルキャピタルについてはこれまでにもたくさんの研究が行われてきていますが、それゆえか、概念定義が曖昧であるという問題も指摘されています。
今回のシンポジウムでは、ソーシャルキャピタル研究者を迎え、「ソーシャル・キャピタルを計測・分析する際にどのような集団や社会を単位とするべきかという範囲・領域性・分析単位の問題」が議論される予定です。

現代人間論系助教の小藪先生も登壇されます。

関心のある方はぜひご参加ください(学部生無料)!

*************************************

第68回(2016年度)大会開催のお知らせ

日時: 2016年7月9日(土)10:30~18:00(受付開始 10:00~)
会場: 早稲田大学戸山キャンパス 33号館3階 第1会議室
参加費: 1,000円(学部生は無料)


【一般報告】 9:30~12:00

司会 大黒屋 貴稔(聖カタリナ大学)

報告者

佐藤 一海(早稲田大学文学研究科)
「『拠り所』概念の社会学的研究の可能性――生活世界における多義性・多元性と不安との関係」

堀 真悟(BOULANGE D316)
「暴力、応答責任、非暴力――ジュディス・バトラーにおける『非暴力の倫理』を手がかりとして」

大貫 恵佳(駒沢女子大学)
「M.フーコーにおける〈同一者〉をめぐって」


【シンポジウム】 13:30~17:00

テーマ:分析単位としてのコミュニティ――ソーシャル・キャピタル論から問う

報告者(敬称略)

稲葉 陽二(日本大学)
「ソーシャル・キャピタルとQOL―全国郵送法調査からの知見」

高木 大資(東京大学大学院)
「ソーシャル・キャピタル研究における“場所”と“空間”をどのように考えるか」

埴淵 知哉(中京大学)
「ソーシャル・キャピタルをめぐる地理的スケールと歴史的文脈の問題」

討論者:玉野 和志(首都大学東京)・小藪 明生(早稲田大学)
司会者:田所 承己(帝京大学)・麦倉 泰子(関東学院大学)

<趣旨説明>

 ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)は健康、災害対応、灌漑施設等の公共財の運営、孤立・自殺対策等の市場メカニズムが有効に機能しない分野、貧困、生活満足度などのQOLなど、さまざまな領域でその重要性が実証されつつある。一方で、その概念規定があいまいである、理論やメカニズムの点で不明確であるなどの問題も繰り返し提起されている。
 ソーシャル・キャピタルの概念をあいまいにしている根本的な原因の一つであり、「ソーシャル・キャピタルとは何か?」を考えようとする際に避けて通れない重要なテーマが、ソーシャル・キャピタルを計測・分析する際にどのような集団や社会を単位とするべきかという範囲・領域性・分析単位の問題である。これまでの先行研究ではソーシャル・キャピタル概念の多様な側面、および健康など個別分野の目標変数との関連性の実証に焦点が当てられてきた。一方で調査・実証研究が実施されている地域や空間(文脈)の分析はややおざなりにされていた。この問題を突き詰めると、ソーシャル・キャピタルがどのような効果や影響を持っているのかのみならず、ソーシャル・キャピタルをどのようなものと考えるのかそれ自体が、どのような集計単位や文脈(例えば、国、県、市町村、旧村、町丁目、学校区、集団の種類など)をとるかによって大きく左右されてしまうことも考えられる。
 これは、計量地理学の分野でMAUP(可変地域単位問題)と呼ばれるなど、周辺分野の多くでも古くて新しい課題となっている。また、政策的にも、「コミュニティの範囲」をどのように設定するのかで行うべき施策も変化することもありうる。また、社会学分野において自明・暗黙に用いられがちであった「社会」や「集団」といったものの「範囲」についても問題を投げかけるものである。
 本シンポジウムでは、社会学周辺諸分野のソーシャル・キャピタル論に関わってきた研究者が、分析単位となる社会集団や領域をどうとらえるべきなのかという問題に対し、どのように向き合い、理論・調査方法などの面でどのような工夫・主張をしているのかについて多面的に議論を行い、この問題に対する現時点での到達点と課題を浮き彫りにしてみたい。また議論の中から、「コミュニティ」をどうとらえるのかといった社会学的・現代的な問題についても示唆を得られればと考える。
 
(文責:早稲田大学 小藪明生)

*************************************

助手 川副

最新の画像もっと見る