建築家のブログ 西尾善博 【 多治見 土岐 瑞浪 恵那 可児 版】

瑞浪の設計事務所。近代建築を研究。シンプルで、温かく、しっかりした設計を心がけています。

人がウソをつく動物であることのリスク

2015-10-21 23:03:43 | 政治・教育他コラム

「人はウソをつく動物であることのリスク」

 これは私が原発に反対する一番のよりどころとする考えである。どんなに安全設計をしてもそれはシステムが正常に稼働した場合を前提にしているのであって、システムの中にうそつきがいたら事故につながり事故を止めることもできなくなる。もし原発を使うならば、そのリスクを受け入れ、最悪に事故が起きてもそれを受け入れる覚悟がなければいけないと考えている。

 今回、マンションの杭についてデータの偽装問題があった。これも都心で大規模なマンションをつくる場合における「人間がウソをつく動物であることのリスク」である。人間は高層ビルに住まなければならないということはない。自分で選んで都心の高層マンションを選んだのだから、その建物の建設の中で予想されるリスクは受け入れなければならない。受け入れられないのならば、郊外で一戸建てや小規模な建物に住むべきである。

 これは都市に生活する以上、どこかでだれかがウソをついて危険や不具合が生じるがそれは受け入れる覚悟が必要だというだけのことで、都会の経済的なメリットや日常生活の利便性を考え、そのリスクをみんなが受け入れているだけのことである。

 今回のマンションについては、居住者や施工者、販売者がどのようにしようと、それぞれの自己責任の話で処理されることでしょう。

ちょっと冷たい話ですみません。


住宅の形態の分類

2015-10-21 22:45:31 | 建築作品

 

今日は住宅の分類をしてみました。分類するためには基準が必要ですが、二つの軸を考えました。

ひとつは地域性と一般性です。住宅は地域ならではのデザインがあります。日本らしいとかヨーロッパ風だとか北欧風だとか、南仏風だとかです。地域性は地域の材料や技術、人びとの嗜好や歴史によってつくられてきたものです。対する一般性というのは、特に1900年ころから世界中に共通に作られるようになった直方体や平面、曲面の組合せで構成された近代建築があります。地域の特性にこだわらず装飾を排し、シンプルで抽象的な美しさを表現したものです。これは地域性と一般性の軸です。

もう一つはOPENとCLOSEの軸です。開放性と閉鎖性です。日本の数寄屋造りは柱で屋根をさせる構造は基本で、外部や部屋と部屋の境は襖や障子で構成されており、非常に開放的な空間の構成になっています。一方でヨーロッパの組積造の家は壁で建物を構成しているので構造的に窓は小さな穴をうがつように設けられており非常に閉鎖的な空間となっています。数寄屋もヨーロッパの組積造も地域性の強い家ですが、一般性の強いつくりでも壁で構成して隙間や壁に穴をあけて窓をつくるなど閉鎖性の強い家もあれば、壁のほとんどをガラス張りにして視覚的にも外部とのつながりを感じる開放制の強い家もあります。前者の代表的な建築家はル・コルビジェや安藤忠雄があげられ、また後者はミース・ファン・デル・ローエがあげられるでしょう。

またバランスの良い建築家としてはFLライトや吉村順三らがあげられます。

お気に入りの住宅があれば、この二つの軸でできた平面に当てはめてみると面白いでしょう。