微妙

散乱する言の葉

映画『二百三高地』

2015年04月21日 12時55分15秒 | 歴史
映画「二百三高地」劇場予告

現在の日本では「戦争」といふと、「大東亜戦争」がメインになつてしまつてをり、その前の日清・日露戦争とその犠牲者が忘れ去られてしまつてゐるやうな気がしてきた。
勝ち戦だからかだらうか。





二百三高地 - Wikipedia

旅順攻囲戦 - Wikipedia

203 高地の悲劇 / ロシア・日本戦争 / その時歴史が動いた - Dailymotion動画
(YouTubeでもよく見かけるデスラー総統である。)

映画とドラマを子供の頃に観たので、粗筋は何となく覺えてゐるが、その映像の良し悪しまでは考へずに観てゐたのもあり、映画の予告篇を観てその美しさに感心してしまつた。
(動画の説明にもある通り、上の方が内容としてはよく出来てゐるかも。)
また、仲代達矢とあおい輝彦のうるうるする瞳が共に印象的(仲代さんはいつもさうだが)。
この映画における乃木将軍の描き方など、史実や通説との比較等は本編を観直してみないと何とも言へないが、とりあへず配役もよいし、(予告篇は)まるで幼い頃読んだ子供向けの歴史書に掲載されてゐた絵画のようでもあり、映像としてはよい出来だと思ふ。
今の若者からすれば古臭さを感じるかもしれないが、最近の戦争映画やドラマは、映像がより鮮明になり、CGを駆使したりもして、一見キレイではあるが、それらによつて人間臭さが失はれて、却つて現実感に乏しくなつてゐる気もする。
俳優の演技にしても、基本的にあまり上手くない人が多く、修羅場のシーンではやたらと激昂したり大声をだして泣き叫んだりすればいいと思つてゐるかのやうな安直な演技が鬱陶しくてたまらないし(発声の基礎がなつてゐないのか声自体が汚い人が多い)、台詞の言ひ回しが完全に平成のニホンジンなので観れば観るほど態とらしく感じられて白けてしまふ。

まあでもとにかく、私は戦争映画やドラマを観ても、「先人たちの犠牲があつて、今の日本があることに感謝」だの、「平和の尊さを実感した」だのといふ仰々しくもどこかから借りてきたやうなありきたりな感想が自然に湧いてくることはないなあ、と感じた。
それは「先人たちの犠牲」といふのは何とお手軽かつ気楽な表現かと思つてしまつたり、今の日本にも(有難いと思ふ点も多いが)不満があつたり、自分自身の日常生活が大して平和でも安穏でもないからかもしれないが。


現実的な小難しい話は置いておき、予告篇のキャプチャ画像をまとめてみた。

【一番目の動画より】

当時の軍服の実用性はともかく、白が効果的に配してあつて美しい。
それが兵士達のイノセントを際立たせ、戦闘シーンが余計に痛々しくみえる。
我が子の如くにその場から皆救ひ出したくなつてしまつて辛い。


第三軍の恐らく米川乙吉の戦死シーンが可哀想で可哀想で。
これまた恐らくロシア正教の布教師による(※後述の引用による)弔ひのシーンも印象深い。
あおい輝彦の最後の方のシーンでは「死んだふりでもして歩き回らなければよかつたのに・・・」と子供の頃思つた気がする。


兵士と子供達の連続シーンも見事。



【二番目の動画より】



左上から明治天皇・伊藤博文首相・乃木希典・児玉源太郎。
因みに伊藤首相役の森繁久彌は『小説吉田学校』の吉田茂もよかつたと思ふ。


このランプのシーンなども美しい。



旅順203高地の戦いで死体はどうしてました? 【OKWave】

遺体はなるべく火葬にし、従軍の布教師を呼び、遺骨を積み重ねて追悼祭をした。人体は水分が多いので、太い薪を大量に燃やして一晩かかる。

防人の詩 - Wikipedia

歌詩は『万葉集』第16巻第3852番に基づいて作られている。

鯨魚取 海哉死為流 山哉死為流 死許曽 海者潮干而 山者枯為礼
鯨魚(いさな)取り 海や死にする 山や死にする 死ぬれこそ 海は潮干て 山は枯れすれ
大意:海は死にますか 山は死にますか。死にます。死ぬからこそ潮は引き、山は枯れるのです。

([要出典]部分て何なの?また頭のをかしいド左翼の人が書いてんの?←時々、大東亜戦争の学徒の項で捏造エピソードを書いて個人を貶めてゐる人がゐるものだから、つい疑つてしまふことをお許し下さいアーメン。)

たのしい万葉集: 防人(さきもり)の歌

防人 - Wikipedia
(最近の日本ヨイシヨ番組の氾濫は、逆に日本人の精神が追ひ詰められてゐるのを感じて感心出来ないが、こちらの防人歌の解説を読んで、日本人つて昔から文化レベルが高い人が多いんだな、と素直に感心した。)


追記:仲代達矢といへば、私が映画館で観た数少ない大東亜戦争の映画『月光の夏』での「戦後の風間森介」役を思ひ出す(ここでもうるうるしてるw)。
海野光彦役の永野典勝もどこか神経質さうなところが適役でよかつたと思ふ。
上映前のイベントでお会ひした、謙虚で素朴で素敵だつた田中実さんのご冥福を祈りつつ。

月光の夏 - Wikipedia

月光の夏 : 作品情報 - 映画.com


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