キャビン（機内客室）で泣かないでトイレで泣きなさい

今年の６月に久しぶりにＪＡＬに乗りました。

プラハの旅

プラハからフィンランド

フィンランドのヘルシンキからJAL便で帰国

そのフライトに乗務していたチーフパーサー

私の後輩になるわけですが

アナウンスを聞いて

たぶん今年昇格したばかりだなって思い

なんだか昔の自分を思い出していました～

このフライトはファーストクラスはなくビジネスとエコノミー

ビジネスクラスは満席

初々しい彼女も一生懸命に他の乗務員と食事のサービスをこなし

他のクラスの状況を把握し

cockpit（操縦室）とコミュニケーションをとり

次のサービスプランを組み立てて

指示を出し
なかなかしなければならないことが多い

そんな中

私の席のVIDEOオンデマンドがシャットダウンしちゃいました～

映画が途中で見られなくなってしまい

周りを見回すと

通路を挟んで隣の席も同じように

通りかかった乗務員にそのことを告げました

この機種には乗ったことがないので
(現役時代は導入されていない)

でも

バックアップの仕方はそれほど変わりはないはずと思い

すぐに回復すると思って待っていましたが

かなり時間が経ち成田到着2時間前くらいに

例の新人チーフパーサーが

「大変申し訳ありません
何度かバックアップ試みましたが、この席のVIDEOシステムだけ回復できませんでした

映画を最後までご覧いただけなくて本当に申し訳ございません

あの

これはお詫びの印として受け取っていただきたいのです。」

と封筒を差し出します。

わたしは

「要りませんよ～」

「そんな

これは中に

JALのクーポン券が」

「あっ

わかってます。

私のインフォメーション入っていませんか？

私はあなたたちの先輩のＯＢです。

社員が買えるチケットで乗っているんだけど～」

「いいえ～～
なんのインフォメーションもありませんでした」

「あぁ～そうなの」

(てっきりこのチケットで乗るとパッセンジャーリストにインフォメーションが入っていると思っていた私
次回からあまり気にしないで他社便と同じくくつろげるぅ～)

なんてお腹の中でちょっとニンマリ

「だから状況はぜーんぶわかっているから気にしないで

今日のフライトは満席で大変ね～」

なんて話していると

「うっうっうっ

あの

私

４月に昇格したばかりで」


「あっうん

そうじゃないかな～と思ってました

でも誠実に頑張っているなぁと見てましたよ～」

「うっうっうっ

私大丈夫でしょうか

続けていけるでしょうか

うっうっうっ 」

大きな涙が溢れて

その姿で

いかに彼女が緊張して

毎日努力をして精一杯業務に従事しているかがわかる

いじらしいと感じました。

「わたしは倒産のときに胃ガンで休職中で

それでそのまま復帰できずに退職したの

みなさんにバトンタッチできないまま辞めることになったことを

大変申し訳なく思っています。

さっ

ラバトリーでお化粧を直して

成田まであと少し

頑張って～」

「うっうっうっ

先輩たちから受け継いだことを

しっかりと自分のものにして後の人たちに受け継ぎます。

ちゃんとバトンタッチしていただいてます。

有難うございます。」

「あのね～

わたしは

退職して

今は一旅客としていろんな航空会社を利用してます。

いろんな方達と航空会社のお話や意見を交換したりしています。

自信を持って

みなさん素晴らしいJALはって言ってくださってますよ～

わたしもどこにも負けないと思います。

先輩として誇りに思います。

チーフパーサーとして十分やって行ける

いまの気持ちで頑張って」

「うっうっうっ

有難うございます。」

深々とお辞儀してギャレーに（調理場）消えました。

大丈夫かな～

とちょっと心配になったけど

10分後

チーフパーサーの顔に戻っていてホッとしました。

隣で

一部始終見ていた夫がひと言

「いい子だね～一生懸命だ」

なんでこの話をするのかというと

成田空港で彼女の姿を見かけたから

そうです。

帰国しました～






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