7回忌

朝早く起きて慌ただしく朝食を取っていると、姉一家が登場。

まだ朝ご飯食べてるの？
もう早い人はそろそろ来るんじゃないかな～
お年寄りは朝早いし、充分時間に余裕を持ってくるだろうし～
早く済ませて身支度しなきゃ～

と・・・せかされる。

実家から母の7回忌を行うお寺までは車で約1時間かかります。
お寺は日本海に近い角田の妙光寺です。
そのため我が家が集合場所となり、マイクロバスでの送迎となります。

日本海の角田という海水浴場の近くで、海と山に囲まれた、緑の深～くて濃～い自然の中に溶け込んだ・・・しかし近代的で・・・モダンなお寺です。

海に近いせいか気温も少し低く感じますし、何より空気が美味しくて爽やかです。

そしていつも思うのですが、このお寺で聞くお経は素晴らしくて退屈なんてしません。
音響効果？もあるのでしょうがお経を唱える声が・・・まるで・・・オペラのルチアーノ・パヴァロッティのよう・・・

一心に耳を傾けているうちに・・・頭の中は真空なのに・・・突然、悲しみが溢れて来て・・・涙が・・・涙が止まらなくなり・・・今までこんなことはなかったのですが・・・どうしてでしょう？・・・

【母の三回忌の時には不思議なことが起こりました。】

私たち兄弟も父も全く気がつかなかったことですが・・・

３回忌も無事に終わり、実家に戻ってきてから皆で母のお仏壇に手を合わせて、お茶を飲んでいる時です。

姪の若葉が（弟の長女）
「お経を唱えている時に大きな花瓶がくるっとまわったよ。どうしてかなぁ～
ねえ～　ちい（次女）～　見たよね～」

「うん。ちいも若ちゃんと一緒に見たよ。ゆっくりとくるって回ったの。」

そこへ叔母が（母の妹）慌てた様子で・・・
「そう。そう。そう。私も見たのよ。
でも目がおかしいのか・・・ボケたのかも・・・なんて思って・・・言わなかったんだけど・・・そうそう・・・やっぱり目の錯覚じゃなかったんだ・・・若葉ちゃんとちいちゃんも見たの！」

弟のお嫁さんの真由美さんも
「はい。私も見ました。お花が一杯生けてあるあの大きな花瓶がぐるっと回りましたよ。でもお経の最中だから言いませんでしたけど・・・」

叔父も（母の弟）
「俺も見たよ。
でもボケたと言われるんじゃないかと思って黙っていたけど・・・」

姉の子供たちも
「ひろこもみたよ。」
「綾も」
「純也も」

「ということは・・・肝心の・・・私たちだけ（父・姉・弟）が・・・気がつかなかったてこと・・・」
「え～　きっと会いに来てくれたんだよね～　合図を送ったことに気がつかなかったんだ～　残念・・・」
「僕も全く気がつかなかった。ビデオでも取っていたら良かった～残念だなぁ」

この話題で盛り上がっている時も父はこのことに全く関心なし。
そんなことはありえない。
温度差か何かでそういう現象が起きただけ。
とそっけない。

たぶん自分も気づかなかったことが、悔しいのかもしれない。


今回の７回忌は、何が起こっても見逃さないように全神経を集中してみていました。

突然の悲しみに襲われただけで・・・何も起こりませんでした。

今でも母の夢をよくみます。
内容は良く覚えていないのですが・・・目が覚めてから・・・母はもういないんだ・・・これは夢・・・と気づくまでに若干時間がかかります。

それくらいリアルな夢です。

きっとまだ私のことが心配なのだと思います。

今は７回忌どころか、お葬式も挙げないで火葬場へ・・・通夜・お葬式なしで火葬のみ。
それを直葬というのだそうです。

その直葬が増えていることを、MODERNな住職は非常に嘆いておられました。

まぁこの世知辛い世の中です。
人と人との結び付きや縁がどんどん薄くなっているのかもしれません。

しかし、オペラのルチアーノ・パヴァロッティのような美声のお経を聞き・・・
爽やかな日本海の風が吹き抜ける広間で・・・
鮮やかな濃い緑の自然の中で・・・
静粛で穏やかな雰囲気を・・・
充分堪能できた良い一日であったと母に改めて感謝しています。