精神科医、心理学者アルフレッド・アドラー
新生児の最初の行為である「母の胸から乳を飲む」という行為は、協同作業であり、母親にとってもこどもにとってと同様、こころよいものである。この行為は、よろこびを与えてくれる他者とのふれあいという感覚の発達する第一段階である。こどもが協同的傾向にあるかどうかは、まさに第一日目からためされる。この点において、母親の役割は、はかりしれないほど重要である。母親が、社会的感情の発達の手掛かりを握っているのだ。社会的感情という生物的遺産は、彼女の手に委ねられている。彼女は、こどもへのこまごまとした世話、入浴、また無力な幼児の必要とするすべてのものを与えるなどの接触を、強めることも、妨げることもできる。彼女とこどもとの関係と、そして彼女の知識、素質といったものが決定要因となる・・・・・母親との接触が、社会的感情の発達にとって、もっとも大切であることは容易に理解されうるだろう。・・・・・人間がもちあわせている社会的感情のほとんど、また人間の文明の基本的継続は、たぶん、私たちの母との接触という感覚によっているのだ。
精神科医ビヴァン・ブラウン
明らかに母親とは、こどもがこの世でいちばん最初にかかわりをもつ人であり、当然、そうであるべきだ。彼女こそ最初の「個人的関係」であり、最初の「社会的関係」であり、最初の「感覚的関係」である・・・・・この最初の関係が、のちのすべての関係の原型となるだろうと推定するのは自然だろう。
人類学者アシュレイ・モンタギュー
相互依存、依存、協力、社会的感情・・・・・これらのすべては、個人の生活史のあらゆる段階にわたって継続され、それゆえ「のちの全関係の原型」となる。これらの継続は、すべての人間にとって、そして全人格にとって、進化的にも生物としても、課せられた使命である。この使命は、時間と献身、専心、そして愛情を必要とする。「人間形成」は芸術的仕事であり、長い年月と、膨大な「世話」を必要とする。その世話に対して、こどもほど感じやすく順応性のあるものはいない。
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