夫婦でシネマ

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

2009年04月12日 | は行の映画
Story
病床の母親(ケイト・ブランシェット)にある男の日記帳を読み聴かせる娘(ジュリア・オーモンド)。その日記には、80代の姿で生まれ、次第に若返っていくひとりの男、ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)の人生が綴られていた。ニューオーリンズを舞台に、第一次世界大戦末期から現代に至るまでの、数奇な運命に生まれたベンジャミンの人生の旅路を描く。
2008年/アメリカ/デビッド・フィンチャー監督作品




評価 ★★★★

「しまった!どこかでボタンを掛け違えてしまった・・・」という言い回しがアメリカにあるのかどうか分かりませんが、これは、後悔多くままならない人生を、ボタン屋の息子に生まれたベンジャミン・バトンの数奇な運命になぞらえて描いた秀作です。

もし、あの時ああしていれば、今の能力をもったままあの世代に戻れたら、というのはだれでも一度は空想する事かと思います。考えてみれば、人々は皆、実年齢と精神年齢の相克の中で思い悩みながら生きているのかもしれません。こういう状況を、老人に生まれて子供に戻って行くというウルトラC級のカリカチュアライズで描いてしまいました。ベンジャミンは映画を観ているあなた自身でもあるのですね。

他人と異なる数奇な運命に生まれたベンジャミンは、小さな船の船員となって航海の日々を送るのですが、彼を受け入れてくれるのは、何かしら訳ありの船員達と海の向こうの異世界の人々というのも何か納得出来るものがあります。第二次大戦に船ごと徴用されて、Uボートとの死闘を展開する冒険場面まで、様々な人々との交流がベンジャミンの成長と共に充実して描かれていて、彼の旅路に私達も同化させられてしまいます。

ベンジャミンが乗り組む船の船長の話に出て来るハチドリの飛び方、その8の字を描く飛翔の仕方がこの映画のテーマを象徴しています。8の字はそのまま無限を意味する記号となります。そして、まさに真ん中の交差点の部分が、40代でつかの間愛する人と一緒になれたベンジャミン・バトンとデイジーを現しているようです。

最期にデイジーは、老衰して姿は赤ちゃんに戻ってしまったベンジャミン・バトンを胸に抱くのですが、ここでおくるみから覗く赤ちゃんの頭部が冒頭の老人の姿で生まれた乳児の頭部と同じ風に描かれている事に注目すべきです。8の字が元に戻って繋がり、無限のループを描く見事な構成になっています。人々の営みとその永続性について深く考えさせられる物語でした。


映画『 ベンジャミン・バトン 数奇な人生』公式サイト


(「 ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 2008年3月 岡谷スカラ座にて鑑賞)

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2 コメント

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TBありがとうございました (シムウナ)
2009-04-15 23:47:10
TB有難うございました。
80歳の老人の姿で若返っていく。
奇抜なストーリーながら、
この世に生まれ、人生の折り返し、
そしていつかは誰しも訪れる死
自分の人生を思わず振り返ってしまう…
そんな映画でした。
老いたくないですね…
時間が戻せたらいいのに…

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
返信する
こんにちは。 (wanco)
2009-04-18 15:54:34
シムウナさん、こんにちは。

老いていく事について考えさせられる映画でした。
3時間近い上映時間でしたが、全く飽きさせずに引き込まれましたね。
返信する

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