「乗鞍オールドテレマーク少女？！」

「谷っち～！攻めの姿勢で行ってみよう～！！」
「ポジティブに！！決してＤＵＫＥみたいにネガティブにならずに（笑）～！！」
スイーっと、緩やかな雪原を板が走る。
振り返れば、もっさんの食い入るような視線。
眼下には、一之瀬園地＆失敗を心より願うＰＪ峰ちゃんのイヤラシイ表情！！
空は青く澄み渡り、所々に大きな雲が停滞している。
その雲は、乗鞍の広大な山肌に、くっきりと影を映し出す。
バックカントリー（今後ＢＣと表記する）デビューには申し分ない天候。
しかし、雪質は日向でチョイモナカ（表面が日差しや、風の力で固まり、中は少し重い雪の層になっている）。
デビューには、若干困難なコンディションか？！
いや！谷っちにはこれぐらいが丁度良い筈だ・・・・
きっと彼女の中には「Ｍ」の血が流れているに違いない。
デビュー戦でいきなり大成功！！なんて、何か思い出が半減するではないか！
ＢＣスキーは転ぶ事に美学があるのだ。

大自然の中で思いっきり転び、やわらかいパウダーに包まれる。ゆっくりと空を仰ぎ、照れることなく、むしろ自慢げに雪と戯れ、立ち上がる！
転倒すればするほど、雪面に近づける。
「転びましたけど！何か？！」ぐらいの強気の姿勢がベストだ。
まあ、長々と「ＢＣ」について語ってしまったが、とにもかくにも、２人は「谷っち」が雪まみれのグシャグシャになるのを、切望していたのである（本人曰く、女も３０を超えると、顔のグシャグシャが取れなくなるらしい）。
「何て悪どい２人組み！」と皆さん思われるかも・・・・
でも、考えてほしい。
人の不幸がどれほど愉快で蜜の味かを・・・・
事実、僕らもデビュー戦は笑われた。しかも腹を抱えるほどに・・・・
まあ、何だかんだで今振り返ると、佳き思い出となっている。

遅ればせながら、この撮影後の状況を報告しよう。
結果は雪まみれのグシャグシャ！！
２人の思い通りの姿に。
心の底からニンマリと見守っている姿が目に浮かぶであろう。
「ヒッヒッヒッ！！」
本当は激写した物を公表したいところだが、僕らもそこまで鬼じゃない。
前向きに考え、次回のチャレンジでの華麗なテレマークターンを公表するつもりだ。

「谷っちよ！またいつでも誘ってくれ～。お供するよ！」

人の不幸が見れるなら、どこでも参上する２人であった。

今日の天気は雪。
乾いた上質のパウダーを見ているだけで、心が勇む。
おろしたてのパタのジャケットも喜んでいるようだ・・・・