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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

ドコモがシェア50%割れ

2008-04-11 06:02:57 | Essay
日経ネットのニュース記事を読んでおりますと、『ドコモがシェア50%割れ』(4月7日付)との記事が。
(http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080407AT1C0700907042008.html)

概略を述べますと、2007年度の携帯電話契約数が、シェアの49.7%(PHS含む)と五割割れに落ち込んだとのこと。
PHS部門からのドコモ撤退(07年1月)。携帯電話だけでも、前年度末比2.4ポイント減の52%と、なんと7年連続で低下しているとのこと。
要因のひとつには、ソフトバンクに各種割引サービスで先行されたことが挙げられておりました。
シェア第二位のKDDI(au、ツーカー)が29.5%(0.4ポイント増)、三位のソフトバンクモバイルは18.1%(1.7ポイント増)とシェアでの割合を伸ばしつつあるのに対しての、ドコモの後退ぶり。携帯電話の市場も、三社鼎立…とはいかぬようです。

私が気になるのは、市場飽和といわれるこの状態を、はたしてどう捉えるべきなのかということ。
各社の収益、という点から捉えてもよいのだけれど、私は学生への影響という点から捉えたい。
高校生などの学生向けの割引サービスも拡充して、いまや日本の高校生は96.5%が携帯を所持。アメリカ、中国、韓国は6割から8割程度だという。また、学力において、国際学習到達度調査結果が昨年12月に公表され、物議をかもしてしまったことを覚えておいででしょうか。日本は2000年の結果と比べて、凋落を明らかにしてしまいました。
発表当時は、「ゆとり教育の失敗じゃ!」と突き上げをくらっておりましたが、私は携帯電話の普及というものも学力に影響していたのではと考えております。それがすべてではないのですが、一翼は担っているのではないかと。

週刊ダイヤモンド(07.12.22号)では、小中学生に「携帯電話を持たせない運動」を行なった、石川県野々市町の記事がございました。03年に「プロジェクトK」(携帯のK?)を発動し、役場・学校・地域住民による「持たせない」運動を現在でも続けているとのこと。
携帯所持率の低下に伴い、同町の中学生による不良行為推移もガックンと低下。
(携帯所持率:03年22%程度、04年16%程度、05年11%程度、06年10%以下)
不良行為:03年150件以上、04年60件程度、05年30件以下、06年ほぼ同程度)
面白いのは、同町の近隣の松任町は、不良行為件数が、03年は野々市町の半数程度だったのに対して、04年を境に逆転。06年には、野々市の4倍近くにまで上昇しております。
…もちろん、これが、携帯電話さえ持たせなければ子どもは「悪さをしない」という解決策の証拠に、すぐ結び付けられるというわけではございません。
ですが、町をあげての取組み、その結果はデータ上 明らかです。
建前だけでなく、「子どものためになるのなら」と皆が誠意を持って取り組んだ成果でしょう。子どもたちに、あまり介入したがらない放任主義のご家庭が多いなか、「携帯なんかぜったい持たせへんでぇ!そんなんより勉強しい、友達と仲良うしい」とばかりに介入しまくった野々市町の皆さんには脱帽です。

私が言いたいのは、早晩、携帯電話の企業は、もっと日本の中高生教育にも敬意を払うようになるべきではないかということ。
市場が開拓されつくしたからとて、ターゲットを中高生に向けようとする前に、すこし考えるべきではないのかしら。
タバコだって、最初は、「吸えば吸うほど元気になる!だとか、タバコを吸うと肺ガンになるって?はっはっはっ、馬鹿な」と嘯いておりました。
今では、喫煙を未成年者にすすめる人はおりません。各方面から、携帯電話といじめ、不良行為、有害サイトなどとの関係を危険視するデータも提出されつつあります。

無理こ矢理この「売らんかな」ではなく、よくよく検証して誠実に、自信を持ったうえでの「おすすめします」という、携帯ライフ提案のほうが、お客さんのためではないのでしょうか。
世界には500万テラバイト以上のデータが存在するといわれ、そのデータベース化も進行中だとか。
遅かれ早かれ、小学生でも携帯電話程度は自在に扱えねばならない時代が到来するのでしょう。
しかしその時、子どもたちは、どのような子どもたちであるのでしょうか。
二宮尊徳の言葉にもありますが、
“遠きを謀る者は富み、近きを謀る者は貧す”(二宮翁夜話より)
…と申します。
お客さんのために、よくよく練ったうえでの販売戦略ならば、店舗での販売でも皆さん熱意があり、「ドコモはよかったから、またドコモで契約するわ」となるのではないかしら。
企業のイメージを、もっと健全にして押し出すべきではないのかしら。

…いえね、1週間ほど前に、利用料の払い込みにドコモショップに行きましたら、窓口混雑につき待っておりました。
10分くらい放置されたうえに、何の言葉かけもないままに支払を済ませました。
「新機種、よいの出てますかしら?」と尋ねると、「ああ、出てますね。またどうぞ」と素気無くされてしまいました。
…私だったら、「お時間ございます?
今は、どのようなものをお持ち? よろしければ、拝見させていただいて…。
まぁ、長いことご愛用でしたのね。この流れを汲む、この機種が新しく出ております。機能は、こういった具合です。
価格も、今でしたらこんな具合です。よろしければ、買い替えはいかがですか?
カタログ差し上げますので、ぜひお家でご検討下さいまし。 ご不明な点は、どうぞお尋ねくださいませ。
あ、申し遅れました、私Melvilleと申します。 ありがとうございました」
…ぐらいには、応対しますが。こういったことがあったからです。
こんなことが、各地の現場で起こっていたら、リピーターも足が遠のくのではないでしょうかしら。
シェアの落ち込みの一因には、もちろん割引サービスの差もあるでしょうが、こういった事例が当たり前になりつつあることもあるのでは…。
せっかくの客、商品があるというのに、やる気がない。地元最大手の驕りぞヨ!(笑いながらも、イラつきました。)
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