残すところ最後の決勝だけになった。相手は北朝鮮。みんなで新しい歴史を作るための試合になる。いつもの了戒 美子さんからのレポートである。
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【U-19日本代表 vs U-19韓国代表 レポート】実に12年ぶりに大舞台でライバル韓国を下し決勝進出!! [ J's GOAL ]
●AFCユース選手権インド2006 準決勝
11/09(木)19:30キックオフ(日本時間)/ソルトレークスタジアム
U-19日本代表 2-2(3 PK 2) U-19韓国代表
得点者:1' SHIM, Young Sung、47' 森島康仁、105+' 青木孝太、111+' KIM, Dong Suk
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手に汗握る、飽きさせることのない120分といえば聞こえは良いが、目の離せない、安心することのできない起伏の激しい展開だった。だが、そんな状況を招いたのは、自分たちの立ち上がりの悪さから。わずか35秒に失点、後半開始早々に追いつくも、今度はチームの要の一人でもある槙野智章の退場。延長に入っては、ひとり少ない状況で先に得点したまでは良いが、追いつかれそしてPKへ。PK戦に入ると、ここまで少ない人数で戦ってきた日本が心理的に優位に立ち、決勝進出を決めた。劣勢からのスタートでの勝利をまさにチーム一丸となりもぎ取り、「最高潮の喜びを感じる」といつもは冷静なキャプテン福元洋平は、瞳を潤ませながら興奮気味に話した。
結果論ではあるが、前日の練習からどこか緩んだ、モチベーションの上がりきらない空気があったように思う。『世界への切符』をつかむという、第一の目的が達せられた直後、疲れもある中もう一度モチベーションを上げ試合に臨むことは難しいと感じた。試合翌日、その点をぶつけてみると「そんなことはない。立ち上がりは気合を入れて入ったはずだったんだけど」と柏木陽介は否定した。気持ちの上で緩みはなかったのだろう。だが、実際の出来としては「最悪」(吉田監督)。サウジアラビア戦と同じスタメンで、わずか開始35秒の失点を喫してしまったのだ。失点はいとも簡単に左サイドをえぐられ最後は折り返しをシムヨンスンに決められる。
しかし、これ以降前半の出来自体はそう悪くはない。「前半は自分で散らして、ゴール前に絡んでいけた。ノリノリでした」と柏木自身は振り返るように、韓国が攻めに出てこなかったこともあり中盤でパスがつながり試合を支配した。だが、得点にはならず。惜しいシーンは山のようにあった。6分内田の右クロスにエリア内右にいた森島、14分梅崎のラストパスにGKと1対1を森島、15分コーナーキックに槙野ヘディング、39分柏木の絶妙スルーパスに完璧な間合いで抜け出した河原43分、田中とのワンツーで最後はフリーになった柏木・・・とぱっと数えるだけでも得点になりそうなシーンがこれだけ列挙できる。確かにノリノリの前半ではあったが、決定力不足も実感させられた前半だった。
後半、立ち上がりサイド攻撃を有効にするため左サイドバックを堤から香川へとスイッチ。この交代が的中し同点弾が生まれた。左サイドでボールを持った香川がドリブルで切れ込んで行き柏木へ。柏木の技ありヒールでラストパスをエリア内左、相手最終ラインの裏へ飛び出した森島がワントラップ、冷静にゴールに流し込んだ。「この大会一番のキレを感じた」と柏木は自分で感じ、森島も「神が降りてきた感じ」とこのゴールを振り返る。投入後ファーストタッチから思い切ってドリブルで突き進んだ香川の思い切りも良かった。
だが、その後は相手も得点を狙いに来たことで一進一退の攻防が続いた。そして、悲劇が起こる。後半39分、相手エース・シンヨンロクの突破を止めにかかった槙野がファウル。一発レッドで退場となる。「準備はしていたけどまさかあんな形では」と田中に変え森重を投入「粘ってPKも視野に入れた」(吉田監督)戦いが始まる。
延長に入ってからは30分間、ほぼ自陣で過ごしカウンター一発という防戦一方の戦い。だが、延長前半終了間際、梅崎のクロスに森島が合わせシュート、これを相手GKが弾いたところを左サイドにいた青木が左足で叩き込んだのだ。しかし、そうは問屋が・・・という話。延長後半、森重がペナルティアーク付近で相手選手のドリブルをとめようとした際ファウルを犯す。「自分的には最高のディフェンス、ファウルはない」と言い張る微妙な判定ではあったが、これをキムドンスが難なく決め追いつかれる。延長を通して「負ける気はしなかった」と選手たちは振り返るが、韓国には何度となくフリーでシュートを打たれてはいた。だが、決定力の無さに助けられた格好だった。
試合はPKに入ると、「相手のほうが落ち込んでいた」(福元)という。当然人数が少なく疲労度の高い日本のほうが、120分を戦い終え達成感は高い。先攻を選択した日本が、「初めて林がかっこよく見えた」と柏木が言うほどの、林の独壇場。最終的には相手6人中2本がバー、2本を止め勝利を手に入れた。
「試合が終わって泣いちゃいましたよ」と言うのは一発退場の槙野。「柄じゃないって笑われるんだけど、でもこの涙をみんなには無駄にしないで次に勝ってほしい」とケロリとしたものでほっとさせられた。
一夜明け、練習に臨む選手たちの表情はまさに元気いっぱい。レギュラー組は軽いダウン系のメニューだったこともあって、何をしていても笑い声やら歌声が響いている。「今チームが勝っていて、雰囲気も良くって」と出場時間の短い選手が話すほど、今ひとつにまとまっている。
「ここまできたら勝ちたい」と吉田監督。「もう次へ切り替えました」と福元。あと、一つ勝つだけで歴史は塗り替えられる。
以上
2006.11.10 Reported by 了戒 美子
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【U-19日本代表 vs U-19韓国代表 レポート】実に12年ぶりに大舞台でライバル韓国を下し決勝進出!! [ J's GOAL ]
●AFCユース選手権インド2006 準決勝
11/09(木)19:30キックオフ(日本時間)/ソルトレークスタジアム
U-19日本代表 2-2(3 PK 2) U-19韓国代表
得点者:1' SHIM, Young Sung、47' 森島康仁、105+' 青木孝太、111+' KIM, Dong Suk
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手に汗握る、飽きさせることのない120分といえば聞こえは良いが、目の離せない、安心することのできない起伏の激しい展開だった。だが、そんな状況を招いたのは、自分たちの立ち上がりの悪さから。わずか35秒に失点、後半開始早々に追いつくも、今度はチームの要の一人でもある槙野智章の退場。延長に入っては、ひとり少ない状況で先に得点したまでは良いが、追いつかれそしてPKへ。PK戦に入ると、ここまで少ない人数で戦ってきた日本が心理的に優位に立ち、決勝進出を決めた。劣勢からのスタートでの勝利をまさにチーム一丸となりもぎ取り、「最高潮の喜びを感じる」といつもは冷静なキャプテン福元洋平は、瞳を潤ませながら興奮気味に話した。
結果論ではあるが、前日の練習からどこか緩んだ、モチベーションの上がりきらない空気があったように思う。『世界への切符』をつかむという、第一の目的が達せられた直後、疲れもある中もう一度モチベーションを上げ試合に臨むことは難しいと感じた。試合翌日、その点をぶつけてみると「そんなことはない。立ち上がりは気合を入れて入ったはずだったんだけど」と柏木陽介は否定した。気持ちの上で緩みはなかったのだろう。だが、実際の出来としては「最悪」(吉田監督)。サウジアラビア戦と同じスタメンで、わずか開始35秒の失点を喫してしまったのだ。失点はいとも簡単に左サイドをえぐられ最後は折り返しをシムヨンスンに決められる。
しかし、これ以降前半の出来自体はそう悪くはない。「前半は自分で散らして、ゴール前に絡んでいけた。ノリノリでした」と柏木自身は振り返るように、韓国が攻めに出てこなかったこともあり中盤でパスがつながり試合を支配した。だが、得点にはならず。惜しいシーンは山のようにあった。6分内田の右クロスにエリア内右にいた森島、14分梅崎のラストパスにGKと1対1を森島、15分コーナーキックに槙野ヘディング、39分柏木の絶妙スルーパスに完璧な間合いで抜け出した河原43分、田中とのワンツーで最後はフリーになった柏木・・・とぱっと数えるだけでも得点になりそうなシーンがこれだけ列挙できる。確かにノリノリの前半ではあったが、決定力不足も実感させられた前半だった。
後半、立ち上がりサイド攻撃を有効にするため左サイドバックを堤から香川へとスイッチ。この交代が的中し同点弾が生まれた。左サイドでボールを持った香川がドリブルで切れ込んで行き柏木へ。柏木の技ありヒールでラストパスをエリア内左、相手最終ラインの裏へ飛び出した森島がワントラップ、冷静にゴールに流し込んだ。「この大会一番のキレを感じた」と柏木は自分で感じ、森島も「神が降りてきた感じ」とこのゴールを振り返る。投入後ファーストタッチから思い切ってドリブルで突き進んだ香川の思い切りも良かった。
だが、その後は相手も得点を狙いに来たことで一進一退の攻防が続いた。そして、悲劇が起こる。後半39分、相手エース・シンヨンロクの突破を止めにかかった槙野がファウル。一発レッドで退場となる。「準備はしていたけどまさかあんな形では」と田中に変え森重を投入「粘ってPKも視野に入れた」(吉田監督)戦いが始まる。
延長に入ってからは30分間、ほぼ自陣で過ごしカウンター一発という防戦一方の戦い。だが、延長前半終了間際、梅崎のクロスに森島が合わせシュート、これを相手GKが弾いたところを左サイドにいた青木が左足で叩き込んだのだ。しかし、そうは問屋が・・・という話。延長後半、森重がペナルティアーク付近で相手選手のドリブルをとめようとした際ファウルを犯す。「自分的には最高のディフェンス、ファウルはない」と言い張る微妙な判定ではあったが、これをキムドンスが難なく決め追いつかれる。延長を通して「負ける気はしなかった」と選手たちは振り返るが、韓国には何度となくフリーでシュートを打たれてはいた。だが、決定力の無さに助けられた格好だった。
試合はPKに入ると、「相手のほうが落ち込んでいた」(福元)という。当然人数が少なく疲労度の高い日本のほうが、120分を戦い終え達成感は高い。先攻を選択した日本が、「初めて林がかっこよく見えた」と柏木が言うほどの、林の独壇場。最終的には相手6人中2本がバー、2本を止め勝利を手に入れた。
「試合が終わって泣いちゃいましたよ」と言うのは一発退場の槙野。「柄じゃないって笑われるんだけど、でもこの涙をみんなには無駄にしないで次に勝ってほしい」とケロリとしたものでほっとさせられた。
一夜明け、練習に臨む選手たちの表情はまさに元気いっぱい。レギュラー組は軽いダウン系のメニューだったこともあって、何をしていても笑い声やら歌声が響いている。「今チームが勝っていて、雰囲気も良くって」と出場時間の短い選手が話すほど、今ひとつにまとまっている。
「ここまできたら勝ちたい」と吉田監督。「もう次へ切り替えました」と福元。あと、一つ勝つだけで歴史は塗り替えられる。
以上
2006.11.10 Reported by 了戒 美子
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