(…しろもり…まだ戻って来ておらぬな
やや、既に客人が参られておるではないかっ❗
かくうえは、私がご挨拶せねばならぬ)
…三度(みたび)のご来訪、このくろもり 感謝の念に絶えず、あつく御礼申し上げ候
しろもり いまだこの場に戻らずば、代わって 私 くろもりがあなた様に過日の語りの続きをお伝え申すことに相成り…
【くろもり~ 大変待たせ…何を固まっている?】
あいや、しばらくお待ち頂きたく❗
(しろもり しろもりが早う戻って来ぬゆえ、客人をお待たせするに忍びなく、代わって私が語らねばならぬと思い…)
【おー それはそれは…ありがたい…それではこのまま、くろもり がお伝えするということではいかが?】
(しろもり 私が客人への語りは余り得意ではないのを知っておろう 先ほどから、お待たせしておるし、早う交代をば…)
【(ФωФ) では、仕方ない…交替することと致しましょう】
…大変お待たせしてしまいました
私 しろもり 只今、戻って参りました
これより口下手…もとい…不馴れなくろもりに代わりまして、私がお話させて頂きたく存じます
では、改めてご挨拶…
あなた様にこうして、またもお目にかかることができ、私 しろもり 誠に嬉しく存じます
え?私がどちらへ出掛けていたのですか?って?
はい、猫祭神様の御用にて、猫殿のところへしばし出向いておりました
猫殿のお住まいは、長崎の観光名所の『眼鏡橋』の近くにございます…
眼鏡橋と言えば、今から遡ること360年余り…1634年に架設された日本初のアーチ式石橋で、日本三名橋と呼ばれる橋でございますね
最近では、橋の護岸にあるハートストーンが、観光の方…特にお若い方に人気と聞いております
暖かい時には、長崎名物の『チリンチリンアイス』の屋台も出て…あ!そうそうこのチリンチリンアイス…ここだけの話でございますが、実はくろもりの大好物でして…
【コホン!】
…もとい!お話を元に戻すと致しましょう💦
前回までで、「尾曲がり猫」の特徴とその理由、また長崎は尾曲がり猫がとりわけ多い『尾曲がり猫率日本一の街』であることをお話し申し上げました
本日は「では何故、長崎には尾曲がり猫が多いのか?」について、お話を続けさせて頂くことと致しましょう
さて、あなた様は、学生の頃、社会あるいは歴史の授業で、江戸時代の「鎖国」について学ばれたことがおありかと存じます
江戸幕府は1639年から1854年までの200年余り、「鎖国」を実施し、海外との交流を断っておりました
とは言うものの、当時の日本では入手が困難な物…例えば砂糖、胡椒、生糸、絹織物…がございましたので、完全に交流を断つという訳にもゆかず、一ヵ所だけ海外との窓口となる場所を定めることに致しました
それがここ長崎の『出島』だったので、ございます
出島では、中国及びオランダとの貿易が行われ、出島から日本に入ってきた貿易品が長崎より国内に流通していったという訳です
ふむふむ、長崎が鎖国時代の貿易の窓口だったことはわかったけれど、それがどのようにして、尾曲がり猫が長崎に多い理由に繋がるのでしょう?かと?
ええ これだけではまだ、尾曲がり猫との繋がりは、見えて参りませぬ
もうしばらくの間、しろもりの話をお聞きくださいませね
さて、このようにして出島で行われていた貿易…南蛮貿易と呼ばれたのですが…において重要な役割を果たしていたのが、歴史的にも有名な『東インド会社』でございました
…この東インド会社は、東アジアにおける拠点をバタヴィア(現在のインドネシアの首都ジャカルタ)に置いていたとのこと
当時、バタヴィアは、別名ジャガタラとも呼ばれており、あなた様もよく召し上がっているあの野菜…挙げても煮ても蒸しても美味しゅうございますね 私も大好物でございます…は、ジャガタラからきた芋、と言うことで、その名が「じゃがいも」となったのでございますよ🥔
さて、このバタヴィアからやって来る南蛮船には、様々な輸入品が積まれておりましたが、当時の船は木造船でございましたので、ネズミによる積み荷の被害に大変悩まされておりました
当時は既に「保険」の制度があり、この南蛮船もネズミによる被害に対して、保険を掛けていたようでございます
え?保険!と
ええ、そうでしょう!驚かれたことと存じます
何せ、17、8世紀のことですから
しかし、実際に当時の保険証券が資料として、今も残っているそうでございますよ 驚くべきことでございますね
で、この保険を掛ける際の条件が、重要でございまして…何とまぁ!『猫を船に乗せること🐈』だったのでございますよ
つまり当時の南蛮船には、遥か遠い異国の地からやって来た猫が乗っていたという訳でございます
【しろもりや 客人は、少し聞き疲れておられるように見える】
あ…気が付けばお話を始めてから、随分と時間が過ぎておりましたね!
あなた様とのお話は、本当に時の経つのが早うございます
私はまだまだお話し足りないのでございますが、余りに長くなってしまったので、あなた様もお疲れのご様子
今日のところはこれにていったん終わりと致しましょう
【(まだまだ話足りぬ⁉️) しろもり…】
ん?くろもり 何か?
【いやいや、しろもりはいつも溌剌としておると感心しているだけでござる…(いかほど話せば話足りるのであろうか…)】
南蛮船の猫と尾曲がり猫の関係については、次の機会に、詳しくお話させて頂くとして…
猫祭神様、くろもりと共にまたのお越しを楽しみにお待ちしたいと思っておりまする
あ!表に数多のご参拝の方が…
くろもり 急ぎ参りましよう‼️
それでは、これにて…