村井弦斎
『近代文学研究叢書』27(昭和女子大学 1967年)によると
文久3年12月18日生まれ
明治33年に大隈重信の従兄の長女、多嘉と結婚。
明治34年から36年、大磯の後藤象二郎別荘に住んでいました。
長女 米子は大磯で生まれています。
この間に執筆していたのが
『釣道楽』(上下巻 村井米子/編 新人物往来社 1977年)
名家の娘とその婿養子候補の結婚話にさまざまな事情がからんでいきます。ここに釣りの愉しみも大いに加わり話がすすんでいきます。
こちらの上の巻 「「釣道楽」の生まれるまで」(村井米子)で
多嘉子の叔母、後藤象二郎伯夫人の別荘、相州大磯長者林に住んだ。「釣道楽」は、ここで書かれ、十一月二十三日に長女のわたくしは、ここで生まれた。」(p215)とあります。
また、下の巻「弦斎自身の釣道楽の想い出」(村井米子)によると
「大磯長者林に住んだときは、花水川や馬入川で釣り」(p206)、平塚に住んでからは「大磯の漁師だった爺やを、下男にやとっていたので、小舟を大磯に預けて」(p206)おいて、鯛釣りをしていたそうです。
明治36年からは「食道楽」の連載
『食道楽』(上・下 岩波文庫 岩波書店 2005年)の中でも大磯が登場します。
春の巻 第二十六 名物
「大磯では虎子饅頭とらこまんじゅうの外に近頃新製の小饅頭も買って来た。この曲物まげものは塩見の甘酒あまざけ、竹の皮へ包んだのが踏切のけわい団子だんごといって家うちこそ不潔きたないけれども大磯第一の名物だ。」
青空文庫にもあります。
村井弦斎については、前出の『近代文学研究叢書』27の他に
平塚市博物館で2000年に開催された展示図録
夏期特別展「時代の先駆者 よみがえる村井弦斎」
をご覧ください。
こちらは平塚市博物館で購入できます。
郵送での購入もできるようです。
以前当会の読書会では、村井弦斎を主人公にした小説
『美食探偵』(火坂雅志/著 講談社 2003年) を取り上げたこともあり
ブログで紹介したこともあります。こちらをご覧ください ⇒ 本の紹介~美食探偵
妻 多嘉子、長女 米子の著書もあります。
台所歳時記 村井多嘉子/著 村井米子/編 新人物往来社 1977年
薬になる食べ物 その薬効と調理法 村井米子/著 創元社 1961年
母から教わる料理の知恵 台所重宝記より 村井弦斎/著 村井米子/著 文化出版局 1971年
お弁当料理 村井多嘉子/著 新人物往来社 1978年