女の子は、挨拶が済んだところで、お客様を個室に案内させていただきます。
「お客様、お部屋は3階になります。どうぞ」と、女の子がお客様をエスコートするわけですが、これだとファミレスなどのウエイトレスと変わりません。
女の子は、お客様をエスコートする前に、やらなければいけないことがあります。
それは目の前のお客様を値踏みすること?
いいえ、女の子は目の前のお客様を見掛けて値踏みしたり、判断することはありません。
まして
「高級そうなスーツを身にまとった紳士だから、いつもにも増して丁寧な接客を心掛けましょう」とか
「着古した洋服を着ているみすぼらしいお客だから、手を抜いちゃいましょう」
などと差別することも、絶対にありません。
女の子は、どのようなお客様に対しても分け隔てなく誠心誠意サービスしています。
ただし、
「先日はタイプのお客様が来て、いつもより気合いが入っちゃいました」
講習のときに、そんなことを暴露する女の子がいます。
困ったものだな~と思いますが、彼女も元をただせば1人の女の子です。
感情によって、普段より濃厚なサービスをしてしまうことくらい許してあげましょう。
さて、話が少し横道にそれてしまいましたので元に戻しましょう。お客様を個室にご案内する前にしなければいけないことがあります。
それは手荷物の確認です。
会社帰りのお客様ならビジネスバッグを手にしているでしょう。
また、ラフな格好をしているお客様もカジュアルなバッグを手にしているかもしれません。
挨拶したとき、目の前のお客様がバッグを手にしていることがわかったら、すかさず
「お持ちしますね」
と、声を掛けてバッグを受け取るのです。
「個室まで1分とかからないのに、バッグを持ってあげることに意味があるのですか?」
新人の女の子から、そんな質問をされることがあります。たしかに、10分も20分もバッグを持って移動するわけではありません。
どんなに広い店でも、個室までは2分と掛からないでしょう。
お客様が自分のバッグを個室まで持っていくことによって、大変な労力を費やすわけではありません。
さらにいえば、お客様は女の子にバッグを持って欲しいなどと思っていないでしょう。
でもこれは、女の子がお客様に対して
「ようこそおいでくださいました。ありがとうございます」
という感謝ともてなす気持ちを表す行為なのです。
◎温泉旅館で学んだエスコート術
堀之内の大衆店『O』に在籍する美香ちゃん(仮名)が、連休を利用して九州に行ったときの話です。
1日目に利用した温泉旅館では、フロントで受付けを済ませた美香ちゃんに、和装の仲居さんが、「お部屋までお持ちいたします」
と、床に置いていたボストンバッグをすっと持って、3階の部屋まで案内してくれたそうです。
そのときの彼女は、それを当たり前という感覚で、気にも留めなかったそうですが、2日目に利用したリゾートホテルで、前日の仲居さんのことを思い出したそうです。
そのリゾートホテルは、ガイドブックには県内有数の規模を誇り、サービス満点と書かれていたそうです。
実際ホテルの雰囲気、フロントマンの接客態度は良かったので、彼女は快適に過ごせると思いました。
しかし、彼女を担当したルームサービス係の女性は、
「お客様、お部屋にご案内いたします。こちらへどうぞ」
そう言って、彼女がボストンバッグを持つのを確認してから、前を歩き始めたそうです。
さらにエレベーターで乗り合わせた女性客が、両手にバッグを持っていたにもかかわらず、担当のルーム係はボ~っと立っているだけ。
接客に関するマニュアルに
「客の荷物は持つな」
とあるかもしれませんが、あまりに気遣いが欠けています。
このとき彼女は、昨日のことを思い出したそうです。
ごく自然にバッグを持って、部屋まで案内してくれた仲居さんのことを思い出した彼女が、
「あのリゾートホテルは2度と利用したくありません」
と言ったのは本心だったのでしょう。
その言葉に続けて、
「沙也加さんのアドバイスが、よ~くわかりました」
とも言ってくれました。
今回の旅行では、彼女がお客の立場になったことで、感謝ともてなす気持ちの大切さを学んだのです。
ソープランドと宿泊施設・・・明らかに業種は異なりますが、お客様に満足していただきたいという気持ちは同じでしょう。
女の子はお客様に対して、感謝し、もてなす気持ちを忘れてはいけません。
女の子がお客様のバッグを部屋までお持ちするというのは、その第1目の行為なのです。
ほんのちょっとの労を惜しんではいけないのです。
お客様が持っている手荷物が、小さいセカンドバッグであろうと、紙袋であろうと関係ありません。
どのような手荷物であろうと、女の子はそれをお客様から受け取って、個室までエスコートしなければいけないのです。
そうしたお客様に対する女の子の気持ちは、きっと伝わります。
最初は照れてしまえかもしれませんが、すぐに慣れるはずです。
とにかく続けていきましょう。
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