ふと、スイセンの小さな蕾に気がついた。
よく見ると、葉の影裏には、
寒さに凍えて動かない。
まだ、春というには寒い頃、
黄色の可憐な花がつく。
辺りの草叢には目立つ色彩もなく、
ナルキッソスは自分を誇る。
よく見ると、葉の影裏には、
ウラナミシジミ。
寒さに凍えて動かない。
水仙
みんなが枯れていく頃、すくすくと育っていく。
みんなが眠りから覚めようとしている頃、可憐な花を開かせる。
誰のための花だろう。
日だまりでぼんやりと眺めていた。
羽音を立てて、黄色のアブがやってきた。
水仙が笑ったように揺れた。