万全のポジション調整で臨んだ愛車アンセム。ゼッケンが776と1番違いなのが悔しい...。
5時頃到着したので半分よりやや前のポジションをとることができた。
午前6時スタート。アスファルト道では飛ばしすぎない程度に前へポジションを移す。氷ヶ瀬の橋を渡ると早速渋滞が始まったが、序盤は傾斜が緩いので立ちゴケ等のトラブルもなく比較的スムーズにレースはスタートした。
風邪のせいなのか、練習不足のせいなのか(そもそも大した練習もしていないが...)呼吸が安定せずハアハア状態がおさまらない。長丁場なのでのんびりあせらず漕ぐことに。
シャカリキに漕ぐ若いヤツらにドンドン抜かれるが気にせずマイペースをキープする。
10分程喘いでいると段々呼吸も整ってきた。順走路の最後の下りをいきなり上るのだが、想像していたより路面状態がよく傾斜はきついものの順調に高度を稼いでいく。
30分も走ると集団の中で、気の合う?メンバーで小集団が形成される。
走りながら写真撮影をしていると、後ろから走ってきた超~親切な人に「撮りましょうか?」と声をかけられた。やはり逆走する王滝族はタダ者じゃない。
ガレ場にも関わらず、しばらく並走して走行中の写真を撮ってくれた。
いくつかピークを越え順走時のCP3(今回は通過点)まで下りきった時に、フロント周りからガシャーンと異音がしたが、特に問題なさそうなので「石でも巻き込んだのか?」と思いそのまま次のピークを目指した。しばらくしてメーターに目をやると動いていない。接点が狂ったのかとFサスに目をやるとメーターの計測器本体が無くなっていた。「なってこったい!」これで距離が判らなくなった。あとは高度図と高度計を頼りに、当てにならない距離標識を見ながら、昨年の記憶を思い出しつつ進むしかない。
CP1を目指し最高点のピークを目指すが行けども行けどもピークが来ない。予想以上にきつかった。ようやくピークを越え下り始めるとCP1が見えてきだ。みんな少しでも貯金しよう思いカッ跳んでいたが、何回か途中に上り返しがあり精神的にダメージを受けたのか押しているヤツもいた。
ちょっと休憩して振り返って見ると、みんな1列になって黙々と最高点を目指していた。
ようやく見えて来たCP1だが、見えてからがなかなか遠い
CP1到着。1時間の貯金がほしいところだったが45分しか貯金できなかった。順走した時はCP2からCP3の区間で1時間以上の貯金ができたので、ここからCP2まで頑張れば何とかなると思っていたのだが...。
CP1まで予想以上にきつかったが無事に到着。
CP1は多くの選手が休憩をしていた。まだまだみんな元気そうだ。
10分ほど休憩をして残り貯金は35分。「さてこの区間は稼ぐぞ」と出発したもののいきなりの激坂で押しているヤツが多くコースをふさいでいる。ちょっとムッとして「コースをあけてよ!」と声をかけ根性でカメさんたちを抜いていく。ところがピークをいくつ超えても貯水池に着かない。順走では無限坂なんで言われている区間があるが、逆走ではいたるところが無限坂に感じられる。やっと貯水池に辿りついたが体力的にかなりヤバイ。まだ50Kmしか走っていない。
御岳さんはまだ雪をかぶっていた。しかし50Kmを過ぎると景色を楽しむ余裕がだんだん無くなってきた。
50Km付近にある貯水池が見えてきた。順走の時はここまで苦労しなかったような気もするのだか...。
CP2は順走時のCP1の地点。この区間はスタートからCP1の倍くらい疲れてしまいマシンもダメージが大きくなってきた。貯金もできずタイムアウトまで50分の余裕しかない。しかもCP2では座り込んで休んでしまい20分もロスしてしまう。貯金は僅か30分。完走は無理か...。
疲れてきたせいか、コース取りが雑になりマシンのダメージも大きくなってきた。
食うしかない!。とりあえずガンガン食って、ガンガン飲んで、気を取り直しスタートした。CP3まであと13Km。残り時間は1時間30分。上りはたぶん時速4Kmくらいしか出ていないような気がする。このままではCP3でタイムアウトになってしまう。スタートして暫くすると下りが始まった。疲れきっていて集中できないが、出来るだけブレーキをかけずに時間を稼ぐ。下りきると今度はガレた急坂が出現。今まで王滝で1度も押したことはなかったがここで断念。ダラダラ押していると天然エイドステーションで休んでいる人たちがいた。今まで一度も寄ったことがなかったので、ここは沢水で顔を洗いリフレッシュすることに。多少気分は晴れたがガレた急坂はまだまだ続く。
天然エイドステーションの看板。沢水でリフレッシュしてみたが...。
CP3までの制限時間が気になり始めた。「40過ぎのオヤジが月に1度か2度くらい走る程度で逆走を完走など出来るわけがないよ」と頭の中で呟き、心の中で自分に言い訳をし始める。チームメンバーは誰ひとり来やしないし、参加なんかしなければよかったと後悔する。ダメになっていく自分がとてもイヤだった。
CP3に向かうガレた激坂。ピークを目指して前進あるのみ。
どこまでも続いているガレ場をひたすら押していると、たまに見かけていた白髪交じりのオヤジが、自転車を杖代わりにしてううつむいたまま激坂の途中でじっと耐えていた。誰も声をかけようとしない。声をかけても何もしてあげられないからだろう。脇を通過した時に「大丈夫ですか」と声を掛けたが反応は無かった。
ガレ場を通過しその後も何度か押しを入れた。「今やめたら、もっと後悔する」そう自分に言い聞かせて、キシミ音がひどくなってきたクランクを回し続けた。60Kmの距離標識はとっくに通過したのに、漕いでも漕いでも73Km地点のCP3は見えてこない。高度図と高度計だけでは自分の位置が全く分からず、ふと前に視線を向けると完全に一人旅になっていた。なさけなくて涙が出てきそうになった。
限界が訪れようとしていた。そんな時アスファルトの下りが始まった。何人かに抜かれたが、もうそんなことははどうでも良くなっていた。視線の先にコースの両脇に立っているスタッフが見えてきた。通過する選手に「おめでとう」と声をかけている。ボーとしながら近づいていくと「おめでとう、ゴールまで頑張って」と声をかけらてた。CP3を通過出来たんだと分かったとき、熱いものが込み上げてきた。タイムアウトまで残り30分だった。
隣で休んでいた人に撮影してもらう。こんなに感動したのは久しぶり。
ビスケット2枚以外、全部腹の中におさめゴールを目指す。残り27Kmだが後半は長い下りだ。完走の権利は得たもののあと2時間20分以内にゴールしなければ完走したことにはなならない。
不思議なものでモチベーションが上がってくると景色を楽しむ余裕が出てきた。まだまだ続くゴールまでの道を見ながら「8時間代で完走するぞ」といつの間か目標に向かって走っている自分に気がついた。「よし、行ける」と確信する。
遊び心も回復し、休憩している選手に声をかけ、永遠と続く林道をバックに写真を撮ってもらう。
ダラダラと上りが続くが、サザンを口ずさみながら一人旅を楽しんだ。見覚えのある景色、砂防ダムだ。あと少しと思ったのだが...。
ここに立ち止まると気持の良い風を感じることが出来る。
砂防ダムを通過し緩やかに下って行くと、カーブの手前にスタッフが立っていて「上りです」と声をかけている。鋭角なカーブなので先が分からず進んでいくと壁のような坂になっていて、立ちゴケしてるヤツがいる。途中まで頑張って乗車したが、目の前で2人立ちゴケしここから長い押しが続く。
だんだんバラけて来たところで最後の力を振り絞って再び乗車。何度か偽ピークを越へ90Km地点の距離標識を通過し、暫くしてから最後の下りが始まった。頭の中に8時間代完走がよぎる。しかし腰痛がひどくサドルから腰を浮かすことができない。二人に抜かれたが一人抜き返し、気合と根性でガンガン下る。遠くにMCの声が聞こえる。ゴールが見えてきた。ゴールした瞬間「あきらめずに良かった」と思った。経験したことのない充実感につつまれた。
王滝100Kmは完走者全員がヒーローになれる「俺チャレ」最高の舞台だ!
平成20年6月1日 TRY BIKE in 王滝
天候:晴れ 最高気温:25度(スタート時は5度)
MTB 100Kmコース 9時間06分 完走
鈴ヶ沢のゴール。逆走だと途中リタイアした場合ゴールるに寄ることなく松原公園に戻ることになってしまう。
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