ヤスミナ・レザの舞台劇を原作に、二組の夫婦4人の室内劇を「ゴーストライター」のロマン・ポランスキー監督が映画化。出演は「幸せの1ページ」のジョディ・フォスター、「コンテイジョン」のケイト・ウィンスレット、「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」のクリストフ・ヴァルツ、「ダレン・シャン」のジョン・C・ライリー。
あらすじ:ニューヨーク、ブルックリン。ザッカリー・カウワンがイーサン・ロングストリートの顔を棒で殴ったという11歳の子供同士の喧嘩の後、彼らの両親が話し合いのため集まることに。リベラルな知識層であるロングストリート夫妻(ジョン・C・ライリー/ジョディ・フォスター)は、カウワン夫妻(クリストフ・ヴァルツ/ケイト・ウィンスレット)を家に招くが、冷静に平和的に始まったはずの話し合いは、次第に強烈なテンションで不協和音を響かせる。やがてお互いの本性がむき出しになっていき、夫婦間の問題までもが露わになっていくのだった……。(作品資料より)
<感想>だいぶ前に見たのだが、遅くなってしまった。この作品はトニー賞を受賞した舞台劇をロマン・ポランスキーが映画化した、コミカルな会話劇。アパートの1室を舞台に、夫婦2組による“四つどもえ”の舌戦を演じて見せている。ロングストリート夫妻には、ジョン・C・ライリーとジョディ・フォスターが、カウワン夫妻にはクリストフ・ヴァルツとケイト・ウィンスレットが扮して、4人の名演技が見所です。特にケイト・ウィンスレットが、食べたものを嘔吐する場面が凄い。観ていてこちらまで具合が悪くなってしまう。
物語は、常識だった大人たちが、抑えていた不満をぶちまけ、誰かれかまわず当たり散らす様を、スピーディなセリフ回しで展開させ、最後まで飽きさせません。確かに被害者の息子の親であるロングストリート夫妻も、初めは穏便に済まそうと、子供の怪我(前歯が折れた)の病院の費用だけを請求したように思われました。
だが、よかれと思って出したお手製のケーキをカウワン夫妻が食べたことで、妻のケイト・ウィンスレットが急に気持ちが悪いと、トイレに行けばいいのにその場に吐いてしまう。テンヤワンヤで掃除するも匂いが充満し、香水をふるわ大事にしていたロングストリート奥さんの美術本フジタの画集)を汚してしまう。
その仕返しかどうか分からないが、ペネロペがナンシーのバックをぶちまけてしまうのはスカっとした。
そもそもの原因は、カウワンの夫であるアランが、話し合いの最中でも仕事の電話をやめない。そのことに、ぶち切れた妻のナンシーが、神経を高ぶらせてしまい気持ち悪くなって嘔吐したのだ。あとで、ナンシーが水の中へわざと落とすのが痛快。その後片付けをして、帰る気配があったのに、また戻って来てよせばいいのに、ロングストリートの夫が取って置きのウィスキーを出すから始末におけなくなる。
これも、ロングストリートの妻のペネロペが、「平凡が一番」と決めつける夫マイケルへの、日頃の不満が爆発し、酒が入ったことで口論は激化し、夫同士、妻同士、男VS女の修羅場になってしまう。
案の定、ああだ、こうだと言い争いになり、お互いに言いたい放題。子供の喧嘩のことなどそっちのけで、ペットの処遇から世界平和まで、議題は果てしなく広がるのです。酒を飲み始めると人間は、今まで我慢して思っていたことを、口に出してしまうから余計に喧嘩がひどくなってしまう。初めはナンシーが、テーブルの上にある黄色いチューリップを褒めたのに、帰りにはチューリップを花瓶から出し手でちぎってぶちまける激しさにはびっくりです。
舞台とはまた違ってカメラの存在を意識させるように、その一部始終を見せつける演出の手法で、登場人物4人それぞれの本音を覗きこんでいるように思え面白い。
それに、冒頭の公園での子供たちの喧嘩を見せ、最後のエンディングでは、子供たちが公園で仲良く遊んでいる姿を見せる終わり方も印象的でよかったと思う。
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