キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーの4度目の共演で贈るラブ・ストーリー。同じ結婚式の招待客として出会った独身中年男女を主人公に、思いがけずずっと一緒に過ごすハメになった2人が、互いに毒舌を飛ばし合う会話劇の行方をユーモラスに描く。監督は「5時から7時の恋人カンケイ」のヴィクター・レヴィン。
あらすじ:リゾート・ウエディングに招待されたフランクとリンジーは、同じ飛行機を待っていた空港で、初対面にもかかわらず、いきなり口論してしまう。そして、いざ搭乗してみると、なんと席が隣同士だった。気まずい雰囲気の2人だったが、どちらも結婚式への出席が渋々なことが分かってくる。その後もなぜかずっと顔を合わせることになってしまい、毒舌家の2人は延々と互いの意見を戦わせ続けるのだったが…。
<感想>久しぶりにキアヌとウィノナによる熟練の悪ふざけを堪能した。原題の「Destination Wedding(行き先はウェディング)」なのですが、邦題は「おとなの恋は、まわり道」と、この作品のひねくれ者の二人がとても可愛らしく?、この2人の恋路の旅路をチャーミングに描いている。キアヌとウィノナという主演二人の組み合わせも、二人の会話だけで進行するという実験的な作劇も実現しなかったにちがいない。
大勢が集まる結婚式というシチュエーションで、主役の二人だけにしかセリフがないのだ。アイディアは意欲的だと思うが、この種のドラマの決めては会話の面白さと俳優の実力だが、邦題が示すとおりの結末が見えていて、キアヌにもウィノナにも、荷が勝ちすぎていたようで、展開はつじつま合わせの回り道になっていた。残念ながらアイディア倒れだろう。
共に紆余曲折ありつつ、五十代と四十代になった今も、独身の二人。共演経験も豊富であり、同時代の映画シーンを共有した戦友だからこそ為せる、酸いも甘いも知り尽くした先にある大人の応酬が贅沢だ。
中年になったウィノナの二重あごも厭わない顔芸剥き出しで、文句を言いまくる彼女も、昔と違ってか弱わくない凄みがある。
方やキアヌの筋肉ムキムキ中年髭ズラ男が、しばらくヒット作に恵まれなかったキアヌの、リベンジアクション「ジョン・ウィック」シリーズ(14)で復活を遂げたのだ。そのキアヌが男らしく彼女を庇って、いつもの癖の大声でピューマを威嚇する姿には感心した。当たり前のことをしただけなのだが、こういうラブロマンス映画の中でもアクションを発揮するのは似合っているから。しかし、ロマンチックの欠片もないラブシーンにはガッカリした。
リゾート婚に呼ばれた2人が、飛行機の席も、ホテルの部屋も、結婚式の席も全部隣同士だし、ディナー、マッサージなどでも一緒になり、そして上映時間の中、二人が永遠に喋りまくっているのだ。セックスをやってる最中にもずっと喋ってる。
空港や小さな飛行機の客席、カリフォルニアの田舎にあるワイナリーや、披露宴の宴席など、舞台は移り変わるが、ふたりのシニックで毒舌なコントのやり取りが見どころですね。
二人がいい関係をになりセックスをした後も、ムードぶち壊しのセリフで「スーパーの試食のサラミ」に例えるフランク。つまりは、素晴らしい味わいであっても、決して購入して持ち帰るものではない、と言ってしまうのですからね。
不器用だけどこんな会話が出来る、ウィットに富んだ主人公を、キアヌとウィノナが演じる事でコメディ色豊かで可笑しくもあり、色々とこじらせてしまった大人の男女の恋を描いた映画になっているのです。
自分を捨てきれないが故に残念扱いされがちな、妙齢男女の恋愛の生態考察としては良かったかもです。仕組まれたカップリングと知りつつも、目前の恋愛に溺れるしかない中年男女の姿は悲しくもおかしかったのだった。
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