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嘘はフィクサーのはじまり★★★

2019年01月12日 | アクション映画ーア行

リチャード・ギアが小さな嘘を重ねてユダヤ人ネットワークに食い込み、いつしか大物フィクサーへと成り上がっていく狡猾な男の悲哀をシニカルに演じたイスラエル・アメリカ合作コメディ・ドラマ。共演はリオル・アシュケナージ、ハンク・アザリア、スティーヴ・ブシェミ、シャルロット・ゲンズブール。監督は「フットノート」のヨセフ・シダー。

あらすじ:ニューヨークでユダヤ人上流社会へ食い込もうと必死に人脈づくりに奔走する初老の男ノーマン・オッペンハイマー。フィクサーを自称し、小さな嘘を重ねて相手の懐に飛び込むチャンスを虎視眈々と狙い続けていた。そんなある日ノーマンは、イスラエルの大物政治家エシェルに狙いを定め、偶然を装って一流ブランドの革靴をプレゼントすることに成功する。3年後、ノーマンはイスラエル首相に大出世したエシェルとパーティで再会、盛大に歓迎されるとともに、パーティ参加者に華々しく紹介される。これをきっかけに大物たちからの仲介依頼が次々と舞い込むノーマンだったが…。

<感想>昨年鑑賞したもので、リチャード・ギア様大好きでつい鑑賞してしまった。内容はと、ハンチング帽子にベージュのコート、そしてくたびれたショルダーバック。そんな初老の冴えない男がニューヨークの街を歩く。この男があのリチャード・ギア様とは、すれちがっても、間違っても誰も気づかないのではないかと思った。職業不詳のこの男、実は自称大ものフィクサー。

フィクサーと聞けば、政界や財界を裏側で牛耳る黒幕をイメージするが、画面に登場したギア様を観た瞬間、あれれ?冴えない親爺ではないか。

スマホ片手に儲け話を切り出し、何とも信用のおけない御仁なのだが、要はユダヤ人の上流社会に食い込もうと大物に近づき自分を売り込もうと、汲々とするのだから始末が悪い。ある時ニューヨークを訪れていたイスラエルのカリスマ政治家にわたりをつけ、数年後に首相の座を射止めた彼に再接近して、小さな嘘を積み重ね騒動を巻き起こすブラックコメディなのだった。

リチャード・ギアの演じる詐欺師まがいのフィクサーが良かった。こういうキャラクターは、たいてい口八丁手八丁で、世渡りが上手なんだけど、彼は決して器用なタイプじゃなく、観ていて危なっかしいのだが、そんな人間がわざわざそういうやり方で、何がしの人物になろうとしていること。またその目的や理由これといった必然性がみられないところに、得体の知れない業の深さとやるせなさを感じた。

ですが、コメディに寄り過ぎず一生懸命なのに、あの甘いマスクが売りだったギア様が人生に疲れた初老の男役にピタリとハマっていた。しかも正体不明で曖昧としたフィクサー役とは驚きでした。70歳近くにもなれば役も限られてくるし、役作りをしなくても素で初老の男を演じられるのだから。どこか虚しさを漂わせているギア様の真骨頂が見ものでした。

一向にうだつの上がらないノーマンだったが、3年前に高価な靴を贈ったカリスマ政治家がイスラエルの首相に就任したことにより、追い風が吹いて来る。

支援者パーティに出席すると、恩を覚えていた首相に「ニューヨークのユダヤ人名誉大使」と人々の目の前で紹介され、羨望を集めるのだが、彼が何者で実績がどうであるかでは無く,要人にハグされ感謝される場面を披露したことにより、あらゆる業界から依頼が殺到するようになる。

ですが、所詮、其の方と此の方の利潤を回し続けるだけの綱渡り商売だった。綻びは、やはり現れるが、ちょっとした裏切りにも引っ掛かる人の良さが憎めないのだ。ホラばっかり吹いている妄想男の人生を描いたものであり、自らの命で落とし前をつけた、フィクサー以下の詐欺師の話でもあります。これって、死ぬ必要があったのだろうか、雲隠れでもした方が良かったのでは。

「運命は踊る」のリオル・アシュケナージや、個性派俳優のスティーヴ・ブシェミ、そしてシャルロット・ゲンズブールなど、味のあるキャストが脇を固めているのも見どころですね。

 

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