パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

エンド・オブ・ウォッチ ★★★

2014年04月10日 | DVD作品ーあ行
『トレーニング デイ』の脚本家デヴィッド・エアーが監督を務め、全米でスマッシュヒットとなったポリスアクション。世界で最も危険な街、LAのサウスセントラルを舞台に、制服警官たちのハードな日常を描く。10代をこの地で過ごし、実態を知り尽くした監督ならではの独特の空気感と容赦ないバイオレンス、熱血も悪徳も登場しないリアルな警官像が新鮮。互いに命を預ける相棒同士の絆や、家族や恋人とのドラマも濃密だ。

<感想>ロサンゼルスの重犯罪多発地区を舞台に、パトロール警官たちの死と隣り合わせの日常と熱い友情をリアルに描いたポリスアクション。サウス・セントラル地区を担当する白人巡査テイラーとその相棒であるメキシコ系巡査ザバラ。パトロール中に思いがけずメキシコ麻薬カルテルの秘密に触れてしまった2人は、組織から命を狙われるようになり……。
サウス・セントラルが舞台で、脚本、監督のエアーは、そこの出身というだけに、リアリティーの濃密なことといったらない。悪徳警官だのマッチョな刑事の話は珍しくはない。だが、これはごく普通のパトロール警官たちの、ごく日常的な話なのだが、思いのほか新鮮である。ほとんど戦争映画みたいだ。

ですが、戦場ならばむしろそこから帰ることができるけれど、戦争と日常が同じ土壌に混在している生活で、下級兵同士のような警官コンビの互いへの信頼だけが、かろうじて正気を保たせているようだ。
彼らは制服とバッジを身に付けた警備員で、スナイパーで、レスキュー隊員でもある。外のギャングと車の窓越しに世間話を交わすその内側では、窓の下のドア部分から常に銃口が向けられており、死と紙一重のスリルを敢えて挑発する自虐は狂気から身を守る究極の手段なのだろう。

ギレンホールの無鉄砲で独身の白人警官と、ペーニャの既婚者で慎重なメキシコ系警官コンビは素晴らしい。その相性の良さは、近年では目立っていると思う。彼らは、50ものストリートギャングが実在するロサンゼルスの全米最悪の危険地帯サウス・セントラルに派遣され、メキシコ麻薬カルテルのアジトに踏み込む。
この映画がこれまでの刑事ものと違うは、物語りが警官とギャングの攻防を描くのみに留まらないということ。時には退屈な警備の後でも、逆に生死にかかわる緊迫の瞬間に直面した後でも、彼らは普通に帰宅し、普通の人間関係を築き、悩み、傷つく。

しかも、その過程で相棒とは涙なしでは見られない命がけの友情も築き上げるのだ。愛や勇気に溢れる彼らのありきたりの日々が、360度浮き彫りになる
監督は常時4台のカメラを駆使してYouTube的な現実感を追求。テイラーが記録用に回すビデオや車載カメラに加え、警官が制服に身につけた小型カメラの映像が生む臨場感は、あたかも彼らのパトロールに同行しているかのようだ。
ですが、冒頭部の車載カメラの映像にアドレスや時刻が入っているので、これは編集途中のワークテープなのかと勘違いしそうになった。時刻が飛ぶのが判るので、リアリティのためには逆効果のような気がした。それと、この警官はデジカム片手に、現場をずっと記録しているのだから、どうせなら、すべてをこの映像で伝えるようにすればいいのに、警官以外の視点と混ぜるものだから、虚構の世界を強化することにしかならない。要は美術さんの努力の跡ばかりが見えて仕方がなかった。面白ければ文句はないのだけど。
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