パピとママ映画のblog

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中学生円山 ★★★★

2013年05月20日 | アクション映画ータ行
マルチに活躍する宮藤官九郎が、SMAPの草なぎ剛と初タッグを組んだホームドラマ。エッチなことばかり考えている男子中学生が、同じ団地に越してきた謎のシングルファーザーとの出会いを経て成長していくさまを、CGやアクションを駆使した妄想シーンを交えて描かれる。共演には、宮藤監督が脚本を手掛けたテレビドラマ「11人もいる!」の平岡拓真をはじめ、坂井真紀、仲村トオル、ミュージシャンの遠藤賢司、『息もできない』のヤン・イクチュンら多彩な顔ぶれがそろう。
あらすじ:思春期を迎えた中学生・円山克也(平岡拓真)は、ある目的のために柔軟な体が必要だと判断し自主トレに励むうちに、妄想の世界にトリップするようになってしまう。そんなある日、同じ団地に謎めいたシングルファーザーの下井辰夫(草なぎ剛)が引っ越してくる。ある日、近所で殺人事件が起こり、克也は下井が犯人ではないかと妄想し始め……。

<感想>脚本を手がけたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」が好評の宮藤官九郎。「少年メリケンサック」以来となる監督3作目も、自らのオリジナル脚本による妄想アクションムービだ。監督自身の妄想をちりばめたという本作。何事にも興味津々で多感な中学生の願望や感情など、思い出を振り返って共感する人が多いのではないだろうか。
部屋にセクシーな女性の(男性の場合で、女性はイケメンの)ポスターを貼ってみたり、クラスの気になる女子との会話にドキドキしたりと、・・・。ちなみに監督は中学生当時斉藤由貴のファンで、近所の電気屋さんにあった等身大のパネルを持ち帰り、朝起きたら本物に変わってないかなぁと、想像したそうです。映画の中でも克也の部屋に貼ってあるポスターの女性が、克也の前に現れ優しく声をかけ、なぜか梨を食べさせてくれるお姉さんに興奮してる妄想シーンがあります。

その他にも、クラスの好きな女の子と一緒にプールで遊ぶ姿を妄想。それに、初めて自分の部屋に女の子が遊びに来て、普段寝ている克也の二段ベッドの上段に無造作に横になる同級生の女の子は、何もしてないのにエロいのだ。初キッスを妄想するシーンとかもね。
ここで、主役は中学生の克也なのかと思っていたら、とんでもない草なぎ剛がいい人に見えて、掴みどころのない下井を演じているのですが、克也の妄想の中で登場する凄腕の殺し屋“子連れ狼”をシャープに熱演しているのだ。ゴミ捨てのルールに厳しく、ビデオで撮ったゴミ捨てを守らない違反者に“アダルトビデオ“とマジックで書いて各部屋に配布するのだ。アダルト大好きな克也の父は、夜に密かに楽しみ、ゴミ捨て場の映像に驚く。それに下井は突然過剰にキレるし、普段の不穏な佇まいも絶妙で子育てパパとしては申し分がない。バギーカーを使った切れ味抜群のガンアクションは痛快である。その強烈な存在感に草なぎ剛の俳優魂を見た。

また、草なぎくん同様に、現実と克也の妄想の世界とで異なるキャラを快演している人たちにも注目するべし。二枚目俳優の印象が強い仲村トオルが、平凡なサラリーマンと、紫のコスチュームを着たヒーロー“キャプテンフルーツ”に変身して胸の膨らみからレモンジュースを発射、なんてコミカルに演じているのも必見ですぞ。韓国映画「息もできない」で注目されたヤン・イクチュンも、元韓流スターの電気屋と、狂暴な“処刑人プルコギ”を演じ分けて魅力を爆発。その韓流スターの大ファンである克也の母坂井真紀も、壊れていない電化製品を壊しては家へ入れて、ヤン・イクチュンにすり寄る主婦は当然エロいし、ベットインまで繰り広げるなんてことを。坂井は“マママンゴー”に変身する。
さらには伝説のロッカー遠藤賢司が、ロックを熱唱したかと思えば、マシンガンをぶっ放す“認知症のデスペラード”に変貌。それはもう圧倒的な存在感を見せてますよ。
おが付かない正真正銘の馬鹿映画だ。馬鹿とは何か?・・・男子中学生が自分の○○ポコを舐めようと必死になる。そのために柔難体操をし、部活はレスリング部へ入り、前屈の連続をして閃きが起き正義の味方、妄想と現実がごっちゃになっていく。初めは過剰なバカバカしさと悪ふざけと観ていたが、近所で起きた殺人事件の犯人は、下井ではないのか?・・・と妄想を膨らませてビビる克也。だが、下井が中学生円山に「届いた?」と度々聞いてくる。ところがである、克也が部活で必死に妄想を膨らませて○○ポコに「届く」クライマックス。下井が北海道で元警官だったことと、妻が未成年の変質者に殺された悲劇などの過去が明らかになる。そして、犯罪撲滅のためにスーパーヒーローになって、だいぶ前に(2011年)に観た「スーパー!」の、あの主人公のちょっとおかしくて行き過ぎた正義感のあり方を思い出してしまった。

映画は妄想癖のある中学2年生、円山克也の妄想をそのまま受け止める謎めいた“大人”であり、草薙剛の独特の存在感もあって、不思議なキャラクターに仕上がっている。見ようによっては、下井が中学生の妄想がそのまま成長してしまったような人物にも思えるのだが、・・・早い話がド変態なんですけど、「HK変態仮面」よりは笑いの面でも面白くて爆笑してしまった。
今回もクドカンワールドが全開である。豪華&個性派キャストが、他の作品では見せないような怪演を披露していて目が離せませんから。
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