福本伸行の人気コミックを藤原竜也主演で実写映画化した「カイジ」シリーズの3作目。前作「カイジ2 人生奪回ゲーム」から9年ぶりの新作となり、原作者の福本が考案したオリジナルストーリーで、「バベルの塔」「最後の審判」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」という4つの新しいゲームを描きながら、シリーズのフィナーレを飾る。福士蒼汰、関水渚、新田真剣佑、吉田鋼太郎らがシリーズ初参戦し、過去作からも天海祐希、松尾スズキ、生瀬勝久らが再登場。監督は過去2作と同じ佐藤東弥。
あらすじ:2020年・東京オリンピックの終了を機に、国の景気は急激に失速。金のない弱者は簡単に踏み潰される世の中になっていった。派遣会社からバカにされ、少ない給料で自堕落な生活を送るカイジは、ある日、帝愛グループ企業の社長に出世した大槻と再会。大槻から、金を持て余した老人が主催する「バベルの塔」という、一獲千金のチャンスを含んだイベントの存在を知らされ…。
<感想>あの藤原竜也の「カイジ」が9年ぶりに帰って来た。堂々と「ファイナルゲーム」と冠する今作は、原作者の福本伸行が脚本から携わり、オリジナルギャンブルを考案し、もちろんカメオ出演もする。
舞台は2020年、オリンピック開催後に景気が失速し田時代という皮肉の効いた設定に加え、全財産を金に換えて重さを競う「人間秤」や、10人中に9人が命を落とす「ドリームジャンプ」などなど、再び容赦のない常識と倫理観をぶっ壊してくれるのだ。
このシリーズがここまで愛されている理由は、荒唐無稽な設定自体ではなくて、その舞台で繰り広げられる芝居合戦だろう。
今作では、藤原竜也が15歳で蜷川幸雄に見出され、舞台「身毒丸」で主演デビューした藤原は、続いて映画では無人島で中学生が殺し合う衝撃作「バトル・ロワイアル」では主演を務め、鮮烈な印象を残した。その後も豊かな感情表現を武器に、緩急をつけた演技で存在感を発揮。死神の能力を手にした高校生役を狂気交じりに怪演した「デスノート」を始め、時効を迎えた連続殺人鬼を飄々と4演じた「22年目の告白―私が殺人犯です!」とか、包帯姿で素顔を覆った悪役ハイテンションで挑んだ「るろうに剣心」など、一癖も二癖もあるキャラクターを全身を使って体現してきた藤原竜也。
ラストでゲームに勝利して、ビールを飲む藤原の名ゼリフ「キンキンに冷えてやがる」など。そんな彼にとって「カイジ」はまさにハマリ役でした。不況のどん底に陥った未来の日本を舞台に、人生を懸けたゲームに挑んでいく主人公の最後の勇姿を、まさに見せてくれる集大成的な、ぶっ飛び演技を見せつけてくれる。
蜷川演劇で共演を重ねてきた吉田鋼太郎が、カイジが所属する派遣会社の社長・黒崎が敵として立ちはだかる。
その黒崎が相手役であり、ゲームの場所で審判をする、活き活きと悪役に扮する福士蒼汰くんが立ち塞がるのだ。福士蒼汰のビシとしたスーツ姿に目が眩み、いい男に仕上がっているのに驚く。
大きなリスクが伴うことは知り尽くしているのに、給料日に楽しく一杯やることすらできない状態のカイジは、またもや危険なゲームの誘いに乗ってしまう。 待っていたのは、人生全てを天秤にかける大掛かりなギャンブル。 倒れるまで働いても暮らしがちっとも良くならない、東京オリンピック後のすさんだ日本の様子も気になりますね。
それに、帝愛グループ企業の社長に出世した大槻は、実は会長の本当の息子で、母親が愛人であり自分の身の上を隠していたのだった。だから、会長の全財産をカイジに賭けて、信頼しているからこそ全財産を投資するのだ。
一番酷いのが、国民の預貯金を全部無しにして新札を発行するという、企画を立てた内閣財務省の高倉(福士蒼汰)が、一番の悪い奴。それに便乗したのは、閣僚たちが自分たちの全財産を高倉に渡して、新札に変えるということを、つまり金融改革を行おうとしていたのだ。今まさに、庶民の現預金は失われるのだ。その国民の現預金で、国家の赤字債権を全て帳消しにしようと企んだのが、高倉の考えたことであります。
それに映画は、前作オマージュもたっぷりと、セリフもセットも演出も、過去最高に過剰であり、最初から最後までこってりと増しましております。その中でも文字通り息も付かせぬガチンコの舌合戦もあり、騙し合いや(会社をクビになった中年の女、実は時計職人だったのをカイジが巧く使った)煽り合に(ドリームジャンプでは、10本の内1本だけが当たりのロープ。後は切れて下へと落下。その時にあのラッキーガールの指のQのサインだった。)、大立ち回りでキメキメのゼリフを叩きつける快感たるや、相変わらずクズ・クズな、クズの人生をただただ繰り返して死んでいくだけだ。なのに、カイジがみんなのヒーローになって、そう見えてくるほどかっこよかった。
ラストなので、前の出演者が出て来て、カイジの応援をする。中には、天海祐希が出て来て、ピンチを救ってくれる代わりに、必ず勝つことを前提にして、儲けの3割を貰うことにするも、カイジが欲を出して大きなカバンを選び、最後に酒場で冷えたビール飲んでいるも、結局は天海にしてやられるのだった。
その極上のエンタメを味わったあと、その裏に刻まれた人間の心理と社会への警告に触れて「こんなフィクションだろう」と、言い切れない後味のザワザワまで、そういえば、今回はバックのザワザワが少なかったが、それでもしっかりと堪能して欲しい。
特別な才能もなく、人生の目標もない、どこにでもいる典型的な“負け組”カイジ。保証人になったために多額の借金を抱えてしまったカイジは、悪徳金融の遠藤に言われるままギャンブル・クルーズに参加する。そこで行われているのは、命を賭けた究極のゲームだった…。
数々の命懸けのゲームに勝利し、多額の借金を帳消しにした伊藤カイジ(藤原竜也)。まさに人生の逆転を果たしたと思いきや、1年も経たないうちに、またしても借金まみれの「負け組」に。再逆転を目指すカイジが今回挑むのは、当たれば10億円以上を稼げるモンスターマシーン、通称“沼”だった…。
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