パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

わたしの名前は...★★★

2016年01月29日 | アクション映画ーワ行
著名なファッション・デザイナーのアニエス・ベーが本名のアニエス・トゥルブレ名義で撮り上げた記念すべき長編映画監督デビュー作。家出した少女とトラック運転手の切なくも心温まる逃避行を描いたロード・ムービー。主演の少女にはオーディションで選ばれたルー=レリア・デュメールリアック。一方のトラック運転手には監督との親交もあるアーティストのダグラス・ゴードン。
あらすじ:父親から性的虐待を受けていた12歳の少女セリーヌ。ある日、学校の自然教室に参加した彼女は、訪れた海辺でたまたま停まっていた長距離トラックに忍び込み家出を企てる。運転手の中年男ピーターはスコットランド人で、言葉はほとんど通じない2人だったが、少しずつ心を通わせていく。やがて少女の失踪は大きな事件となり、そのニュースはピーターの耳にも届くのだったが…。

<感想>ファッション・デザイナーのアニエス・ベーは知らなかったのだが、女性監督ということで興味を持ち観賞した。ここでは監督だけではなく脚本も手掛け2日間で一気に書き上げたというから凄い。作品の内容はというと、ある女性の回想録で確かにロードムービーであるが、不幸な体験をもつ少女と中年のトラック運転手の道行きといういささか陳腐な物語だが、斬新で刺激的な語り口でえがかれている。

それゆえに期待したし、不安も抱いたわけなのだが、まさに雰囲気だけの自己陶酔型が鼻につき、感情移入を誘うタイプの映画ではなくなる。運転手の中年男ピーターはスコットランド人で、英語とフランス語、言葉はほとんど通じない2人だったが、2人は互いに心を通わせるようになる。

だが、少女の失踪は大きな事件となり、そのニュースはピーターの耳にも届き、その逃避行はやがてとんでもない結末を迎えることになるのです。
2人の旅があまりにも素敵過ぎるから災いが起こらないように祈らずにはいられなくなり、しまいにはかなり心を揺さぶられてしまう。トラック運転手が何故誘拐まがいのようなことをして、少女と逃避行をしたのか、それは、少女を娘のように思ってしまったのかもしれない。

だから、最後で、誘拐暴行容疑で逮捕され黙秘したまま自殺してしまう結末に、そして、少女は父親に抱かれて、私にはこれはちょっと問題があるのではと、父親と娘の関係がすんなりと受け入れられるでしょうか。父親の娘に対する性的虐待は治らないでしょうね。残酷です、社会福祉事務所がもっと少女に手を差し伸べなければ、ただの誘拐事件として扱うのは酷過ぎる。

新聞記事を基にした筋運びというのだが、いささか安易といえば安易だし、少女への性的虐待という深刻なテーマには、真剣に取り組まないと誤解を招く恐れがあると思う。
ですが、そこはファッションだけではなく、映像の世界でも感性を備えているアニエスのことだから、映像に音楽にも手を代え品を代え全力投球をしているようだ。通常のカラー撮影に飽き足りたかのような、モノクロームやコマ落とし、ボカシまで入れてまるで実験のような映画にしている。
ジョナス・メカスの映像や、ソニック・ユースの音楽など友人たちの助っ人ぶりが良かったのでしょうね。ですが、時折見せる日本人の白塗り舞踏の男女とかが、観ていてしらけてしまうのだ。
それでも、やはりこの映画の主人公である、オーデションで選んだという少女役のルー=レリア・デュメールリアックの上手さと、運転手を演じた映画監督で現代美術家のダグラス・ゴードンが映像センスを支えているのだろう。

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