

あらすじ:天才的なドライビングテクニックを持つ寡黙な“ドライバー”(ライアン・ゴズリング)は、昼は映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手というふたつの顔を持っていた。家族も友人もいない孤独なドライバーは、ある晩、同じアパートに暮らすアイリーン(キャリー・マリガン)と偶然エレベーターで乗り合わせ、一目で恋に落ちる。

しかし、服役中の用心棒代として多額の借金を負ったスタンダードは、妻子の命を盾に強盗を強要されていた。そんな中、絶体絶命のスタンダードに助けを求められたドライバーは、無償で彼のアシストを引き受ける。計画当日、質屋から首尾よく金を奪還したスタンダードだったが、逃走寸前で撃ち殺され、ドライバーも九死に一生を得る。
何者かによって自分たちが嵌められたことを知ったドライバーは、手元に残された100万ドルを手に黒幕解明に動き出す。だが、ドライバーを消し去ろうとする魔の手は、すでに彼の周囲の人間にも伸びていた……。やがて、恩人の無残な死体を発見したドライバーは、報復、そして愛する者を守るため、逃走から攻撃に一気にシフトチェンジするのだった……。(作品資料より)

<感想>車を走らせている時のみ、生を実感できる孤独な青年のノンストップな暴走犯罪サスペンス。ドライバーと呼ばれる主人公は、普段は自動車修理工場で働き、カーアクション映画の危険なスタントもこなしている。
主人公はヤサ男だが、バイオレンスシーンはかなりのエグさ。また彼には死の恐怖心がないことが徐々に分かり、ぞっとさせられる。確かにハードボイルド・アクション満載で、ジェイソン・ステイサムの「トランスポーター」を思い浮かべるが、それとは別ものだと見て分かる。
今時の男の子は車にあまり興味を示さなくなったと言われておりますが、映画の世界では車は男の魅力をアピールする不滅のアイテム。リアルでも運転が上手いってだけで男っぷりは一気に上がりますし、車をバックさせる時にシートに腕をかけて振り向く仕草には、ついドキとさせられます。

そして、男っぷりを上げるのはハードボイルドなアクション映画。そうです!ライアン・ゴスリングの男っぷりも本作品で激しくアップしたのですね。「きみに読む物語」「ラースとその彼女」以来、世界の女史が彼にときめいていたという声が聞こえてきそうですが、男心も痺れさせてこそ男はナンボなんですよ。
とにかく、このゴスリングはかっこいい! 昼は修理工場で働くかたわら、ハリウッドのカースタントを務め、夜は強盗の逃走を請け負うドライバーが、愛する者のために命をかけちゃうのです。
男子が惚れる俳優というとトム・クルーズとか、女もうっとりできちゃう男は最近すくなくなったけれど、その系譜に「アジョシ」のウォンビンに続いて、ゴスリングも名を連ねたわけですよ。まぁウォンビンの好き嫌いは別としてね。
さて、このドライバーは映画史上類を見ない寡黙な主人公という触れ込みなのですが、口数は少なくても佇まいからして素敵なんです。「スーパー・チューズディー」で、現実と理想のはざまで苦悩する若き選挙参謀を演じて、ナイスガイなインテリぶりでもときめかせてくれているゴスリング。この間レンタルした「ラブ・アゲイン」でのゴスリングも、鍛えた体を惜しげもなく披露してモテモテ男を演じていた。

劇中で、微妙な表情で愛する女とその息子への、深い愛情を滲ませているのは言わずもがな。エレベーターの中、急にアイリーンを抱き寄せてキスをするシーンにも驚かされる。そのさりげないうまさにはもちろん感心するけれども、やっぱり肝心な逃走シーン、依頼人たちの仕事を待っている間や、警察の追跡をかわそうとする張りつめた状況でも、あくまで抑えたトーンで醸しだすのはいまだかつてないハードボイルド感。
カーチェイス・シーンで流れるテクノ調の音楽が、スタイリッシュでありながらどこか懐かしい独特のムードを生みだしている。
おまけに、彼のイケメン度に関してはかなり疑問を抱いていたのですが、ここ数年秀作続きのおかげでだんだんイケメンに見えてきているのです。男の顔は履歴書っていいますけど、ゴスリングの顔もキャリアと年齢を重ねるにつれて、どんどん良くなってきていると思うのは私だけではありませんよね。
2012年劇場鑑賞作品・・・18
