パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア★★★・5

2018年04月17日 | アクション映画ーサ行

第70回カンヌ国際映画祭脚本賞に輝いた、『籠の中の乙女』『ロブスター』などのヨルゴス・ランティモス監督によるダークスリラー。妻子と共に幸せに暮らす外科医が、ある少年との出会いを機に思わぬ事態に追い込められる。主人公にふんするのは、ランティモス監督の『ロブスター』に出演したコリン・ファレル。その妻をオスカー女優のニコール・キッドマン、主人公一家に災いをもたらす少年を『ダンケルク』などのバリー・コーガンが演じる。

あらすじ:心臓外科医のスティーブン(コリン・ファレル)は、美しい妻(ニコール・キッドマン)と二人の子供と一緒に郊外の豪邸に住んでいた。しかしある少年(バリー・コーガン)を家に招いたことをきっかけに、子供たちが突然歩けなくなり目から赤い血を流すなど、異変が起こり始める。スティーブンは、究極の選択を強いられることになり……。

<感想>冒頭での不協和音のBGMの嫌~な音響効果から、これから始まる映画の展開が不条理なサスペンス・スリラーの予感がした。愛する妻と子と囲まれ順風満帆な人生を送ってきた心臓外科医が、一人の少年を家に招き入れたことから、究極の選択を迫られることになる。

心臓外科医にコリン・ファレルが、口の周りの顎髭が濃いので似合わない。演技はこの手にかけてはお手のものでしょうに。妻のニコール・キッドマンは美容整形のおかげだろうが、年齢よりも美しく見え、ベッドに下着をつけて寝る姿も美しかった。

少年に夫が脅されていると感じた妻が、今の生活を壊したくないため、2人の子供が少年の呪い魔術にかけられたごとく、子供2人の体が歩けなくなったり、食べ物が食べられず体が憔悴しきっていく様に驚く。初めは、父親に対して嫌がらせをしているのかと思った。

父親が大病院の心臓外科医と言うこともあってか、2人の子供たちは全身の精密検査をして、病気の原因が分からないということに。人間は点滴だけでは生きながらえないから。口からの食べ物で栄養源を取らないと死んでしまう。

物語の様相が露わになってくるとともに、恐怖が走りいったいラストはどうなってしまうのかと、不安満点で見続けてしまった。

ランティモス監督の『ロブスター』より、ドラマがシンプルな分、一つのカットに込められた意味の密度が際立っている。徹底的にリアリティを排除した画つくりと演出が、緊張感を生み出している。

画面にドアップで映し出される心臓の鼓動の音と動き。何だか「罪と罰」のテーマを徹底的に突き詰めた、独創的設定のサイコスリラーもの。物語が進むにつれて露になってくる、極め付きは主人公の少年バリー・コーガンの顔。発達障害者だというが、いるだけで何らかの意図を読み取らずにはいられない。

その少年の父親が事故で病院へ運ばれた時に、心臓外科医のスティーブンが酒を飲んでおり、手術にミスをしたようですね。それを少年と母親は妬み、自分たちの生活やその他のことも全部スティーブンが面倒を見ているようだった。

それでも、少年はスティーブンの家族が幸せそうなのを怨み、学校へは行ってないのか、常に病院のスティーブンの所へきては脅すような、思わせぶりをする。家にも食事に来ることを強要して、少年の母親もスティーブンに色目を使い誘惑をするのだ。

最後の選択には、魔物から家族を救うには、もはや生贄しかないという思いが、主人公スティーブンに行動を起こさせる。妻が夫にささやく「死ぬのは子供しかない、また作ればいいのだから」母親と言うよりも、女として生きているニコール・キッドマンの冷やかな顔といったらない。

後味の良い映画ではないし、観ている間も決して心地よい瞬間はない。悪趣味映画といっていいのかもしれませんね。しかし、グロテスクな映像は見せてはいないのだ。

少年バリー・コーガンが相手の自滅を招く究極の思わせぶりは、演技と言えども恐ろしく感じた。何故に彼があんな能力を持っているのかが、一切語られることなく、物語がひたすらバットな方向へと進んでいくのには、シャラマン的世界観と同じようにも見えました。最近多いトラウマ映画の中でも群を抜いていい仕上がりでした。

2018年劇場鑑賞作品・・・69アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/29727720