片渕須直監督がこうの史代の同名漫画をアニメーション映画化して異例のロングランヒットを記録し、国内外で高い評価を得た「この世界の片隅に」に、新たなシーンを追加した長尺版。片渕監督のもと、主人公すず役ののん、今作でシーンの追加されたリン役の岩井七世らキャスト陣は変わらず続投。
あらすじ:日本が戦争のただ中にあった昭和19年、広島県・呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれ、新たな生活を始める。戦況の悪化に伴い生活も困窮していくが、すずは工夫を重ねて日々の暮らしを紡いでいく。そんなある日、迷い込んだ遊郭でリンという女性と出会ったすずは、境遇は異なるものの、呉ではじめて出会った同世代の女性であるリンと心を通わせていくが……。
<感想>2016年12月7日にレビューしてました。「この世界の片隅に」★★★★★で、戦争を知らない私たちには、このような世界があったということを忘れてはなりません。日本がどんなに現在が平和で、物資も豊富で、経済的にもそれなりに豊かであり、贅沢を言ったら切りがありませんもの。
どんなにか辛い時代だったでしょう。戦争というのは人間をダメにする、人間が人間を殺しあい、国を攻めてその国を何も無くなるような瓦礫の山にしてしまう。
それに経済も疲弊して、農作物も取れず食べる物にも困ってしまう。生き残った人間は、行き場が無く、隣の国や遠く離れた国へと離散する。そんなことを今更考えても、どうにもならないことで、これから先にのことを想えば、絶対に戦争をしてはいけないと言うことだけです。何もいいことはありませんから。
CGで描かれた呉市の街、海の上には大きな大砲を備えた航空母艦や、軍艦が見えて、それは迫力のある光景でした。
主人公の北條すずさんの物語で、この時代に嫁入りをして、その嫁ぎ先でので小言を事細かく描いていました。本編では、前の30分のシーンを追加した別バージョンもの。
私が、映画や旅行で行った広島の原爆ドーム、瓦礫のビルの鉄の棒がふにゃりと曲がって、写真では、亡くなった人達や、ただただ茫然と何もする気力がなく立っている人。原子爆弾の威力は、並大抵のことではなく、広島市以外の土地までに、その原爆の威力が残り、人間も体に放射線を浴びた人は、それに、直ぐに黒い雨が降ったのでその雨を浴びた人達も、放射能の被害を被ったわけで、おびただしいその後の悲惨さに涙が出て止まらない。
この映画は、たくさんの人に観て欲しいと思いますね。主人公のすずさんの生きざまというか、その後の生活を描いてました。運悪く、爆弾の破裂がまだだったその場所に、小さな義理のお姉さんの娘、はるみちゃんの手を引き歩いていた。
すずさんの不注意かもしれないが、その爆弾が破裂して「はるみちゃん」は亡くなり、自分は手を引いていた右腕を失ったのだ。
不自由な生活を送りながらも、嫁ぎ先で義理の姉から毎日のように娘の「はるみ」を死なせてしまったことを言われて、形見の狭い生活を強いられる。利き腕の右腕が無いすずには、台所の仕事も何もかもが出来ずにいて、ただお使いや庭掃除ぐらいしかできない。
すずと「りん」との交流や、広島に生き残った妹「すみ」を案じて過ごすなかで迎える昭和20年の9月の枕崎台風のシーンなどが追加されていた。
嫁ぎ先で、いたたまれないすずが出かけるのは、呉市の娼館の「リン」に会いにいくことだ。彼女と話しをしていると心が休まるからだ。「りん」もすずと話すと何故か自分の家族のような、懐かしい感じがするから。「りん」は幼いころに両親とはぐれて、まだ結婚をしてない広島のすずの家の天井に暮らしていた女の子だと思う。下へ降りて来ては、台所の残り物を食べて飢えをしのいでいた。そして、すずの家族に見つかり、孤児院へと入る。
その後は、広島の娼館で売春をして働く。そこへ周作が初めて女性を抱きにやって来て、彼女「りん」を好きになり、「りん」見受けをして自分のお嫁さんにしたいと、両親に相談する。だが、大反対の末に、周作は「りん」と別れることとなり、その時に「りん」に名札を書いてやるのだ。
すずが、嫁ぎ先の納屋で、桃色にりんどうの花が描いてある飯茶碗を見つける。たいそう気に入り、自分の茶碗にしようとするも、家族に聞いてみるとあまりはっきりとしたことを言わないのだ。まさか、それが秀作が嫁にしたいと思った「りん」のために買ったものとは知らなかった。だから「りん」とすずの絆は、きっとそういうことがあったからかもしれない。
すずがどんなに過酷な出来事に襲われても、自分を保てたのは、彼女との友情があったからこそだ。
すずがその桃色の茶碗を持って「りん」に会いに行くも、不在でそこにいた女性(風邪を引いて寝ていた)と話しをして、彼女の故郷は温かい南国だというので、窓の下に雪が積もっていて、そこに南国の絵を描いてやるすずの優しさが滲み出る。
3年前の「この世界の片隅に」のロングヴァージョン。詩情あふれるカットの数々に、3年前に観た記憶が蘇る。新しきもあり古くもある独特の抒情は、やはり記憶の奥底まで深くしみ込んでいて、消え去ってはいなかったのだ。
「この世界の片隅に」2016年12月7日
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