アンジェリーナ・ジョリーが主演を務め、大自然の脅威と暗殺者から少年を守るべく戦う森林消防隊員を描いたサバイバルサスペンス。
あらすじ:過去に悲惨な事件を目撃したことで心に大きなトラウマを抱える森林消防隊員ハンナは、ある日の勤務中、目の前で父親を暗殺者に殺された少年コナーと出会う。コナーは父親が命懸けで守り抜いた秘密を握る唯一の生存者であるため、暗殺者に追われる身となっていた。コナーを守り抜くことを決意するハンナだったが、2人の行く手に大規模な山林火災が立ちはだかる。監督・脚本は「ウインド・リバー」のテイラー・シェリダン。共演に「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のニコラス・ホルト、「ボヘミアン・ラプソディ」のエイダン・ギレン、「ボーダーライン」のジョン・バーンサル。
<感想>久しぶりのアンジェリーナ・ジョリー主演の映画。山火事の猛火の中、森林警備の女性が命を狙われた少年を救おうと奔走する。目の前には圧倒的な大自然が広がり、人間の法が全く通用しないこの地で、殺し屋たちが執拗に追いかけるサバイバル劇が展開する。かと思えば、反対側からは大規模な森林火災が襲いかかってくるという凄まじさ。
これまで「ボーダーライン」や「ウインド・リバー」をはじめとする、硬派な手触りの映画で脚本や監督を務めてきたテイラー・シェリダン。いつも心に深く刻まれた傷痕が重要なファクターとなるシェリダン作品だが、アンジー演じる主人公ハンナはかつて少年たちを見殺しにした贖罪感から、少年コナーを守ることを強く決意します。けれども、2人のプロの暗殺者は執拗にハンナたちを追い詰めます。逃げようにも、彼らが引き起こした大規模な山火事が立ちはだかり、行く手を塞ぐのでした。
スパイや殺し屋役で数々のアクションを披露してきたアンジーが11年ぶりに挑んだ敵は、背後から迫りくる暗殺者と目の前に立ちはだかる炎。極限状態の中、20メートルほどの監視塔から飛び降りたり雷に打たれても立ち上がったり、ハンナのかっこよさは言うまでもありませんが、事件に巻き込まれる保安官夫妻の人間模様なども描き込まれ、暗殺者の際立つ冷酷と対をなしてドラマに引き込む要素になっています。
さらには父から託された秘密を守ろうと、ハンナにもかたくなな態度をとる少年コナーと、心を通わせていく過程には心が温まりました。ともに心に傷を持つ2人だけに、極限状態での戦いのなかでつながっていくわけですね。
緊迫の追跡劇の中での燃え狂う炎の迫力。その人間の意志が及ばない巨大な炎の迫力の映像は、CGなんでしょうが、実際に森に火をつけて撮影したとしか思えない迫真のものでした。大自然のニューメキシコ州ロケ。飛行機から火の海めがけてのパラシュート降下シーンも圧巻です。これに日々取り組んでいる森林消防隊員は大変な仕事だなとつくづく感じました。
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