こざき亜衣の同名人気コミックスを、キャストに西野七瀬、白石麻衣、生田絵梨花はじめ乃木坂46メンバーを起用して実写映画化したスポ根青春ストーリー。高校で“なぎなた”に出会ったヒロインが、なぎなた部の仲間たちとインターハイ目指して切磋琢磨していく青春模様を瑞々しいタッチで描く。監督は「ヒロイン失格」「トリガール!」の英勉。
あらすじ:中学時代は美術部で運動音痴の東島旭(西野)は、入学した二ツ坂高校で1つ先輩の宮路真春(白石)と出会い、その強さに憧れ“なぎなた部”に入部する。“練習は楽”という誘い文句とは真逆で、過酷な稽古についていくのがやっとの旭。
そんな中、3年生にとっては最後のインターハイ予選を迎える二ツ坂。順調に勝ち上がるも、決勝でダークホースの國陵高校に敗れてしまう。中でも1年生エース・一堂寧々の圧倒的な強さは、旭の心に深く刻まれるのだった。その後、再スタート切った二ツ坂は、山奥の尼寺で地獄の夏合宿を敢行、一回り大きく成長して秋の大会を迎えるが…。
<感想>今年だけでも高校生の部活もの映画が、「チア★ダン」3月13日、「青空エール」8月21日、「ハルチカ」3月6日、「トリガール」9月5日他、似たパターンの部活もの映画が次々と登場し、もちろん部活ものと言っても体育会系と演奏部系では全然感触が違うのですが、どちらも実に晴れ晴れとして消化が良くて、観終わったらそれっきりってね。
前の「トリガール!」にしても、本作にしても、やはりこの監督は、キラキラ恋愛映画を巧妙にかわしていると思う。あるいは、もともと違う企画が来るようになっているのか、いずれにしても邦画流行りの幅を、広げている気がした。
恋愛以外にやることがあるって高校生は好きです。
それに、女子の剣道部とか、弓道部とか、体育会系でも特殊なので、なり手が少ないと思うし、特殊な“なぎなた部”って、競技人口が少ないから上(インターハイ)に行けるみたいな、打算があるのも面白かったし、敗北しても、そこからが始まりだという王道の青春映画になっていると思う。
主要キャストが西野七瀬、白石麻衣、生田絵梨花はじめ乃木坂46メンバーを起用したためか、映像の中に出て来る「坂」は、この映画の中で大きな役割を担っているようです。夏季合宿でのお寺の石段を登ったり、通学路の階段を下ったり、「坂」は彼女たちの内面と微妙にリンクしているのも良かった。
前半で新入生の洗礼に用いられるのも、また「坂」であるのは、その為だと分かる。本来であれば、乃木坂46メンバーのメンバーだけで構成することも可能だったはずですが、本作には、乃木坂46メンバーとは関係のない若手女優たちが多数出演しているのも良かった。そのことが、ただのアイドル映画にさせなかったのも正解であろう。
見どころは、インターハイなのですが、それよりも山奥の尼寺で地獄の夏合宿での、僧侶の寿慶(江口)の厳しい特訓は凄かった。新人のメガネっ子の東島旭は、水汲みをやらされて、天秤で桶をかついで石段を何度も往復する修行に弱音を吐かずに頑張る。
だから、國陵高校との練習稽古の時に、先輩の宮路真春に教えて貰った”面々”ときたら、スネと来る時に、すかさず飛ぶことを、そして、自分は薙刀を持ち替えて相手が面と来るから、自分はスネを打つように練習に励む。それが見事に決まって、1本勝つメガネっ子のハレバレとした顔に拍手です。
特に、この“なぎなた”の部活の話も、部員たちのキャラや、ドラマの流れなど、スポコン映画のルーティン通りなのだが、少女となぎなたの取り合わせが魅力的で、背筋がピンとしたその姿勢もかっこいい。冒頭での学校の舞台でなぎなたダンスも嬉しいサービスですよね。
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