タランティーノ流西部劇は、撃って、撃って、殺しまくる。伝説の西部劇ヒーローを、タランティーノ監督が、マカロニ・ウエスタンとブラックスプロイテーションを掛け合わせたような、パワフルなアクションを作り上げた。
奴隷制度撤廃以前の19世紀の米国南部で、妻を救うために賞金稼ぎとなった元奴隷ジャンゴが、怒りの銃弾を撃ちまくります。鮮血たっぷりのバイオレンスを彩るのは、ジャイミー・フォックスをはじめとする豪華キャスト。とりわけレオナルド・ディカプリオが憎々しい悪役ぶりを披露している。
物語:テネシー州カルカーン農園で働いていたジャンゴと妻のブルームヒルダ。だが、理不尽な理由から彼らは奴隷監督官のブリトル3兄弟に鞭打ちにされた上に、ミシシッピの奴隷市場で夫婦別々に売り飛ばされてしまった。
新たな所有者に買われ、他の奴隷とともに鎖に繋がれて移動しているとき、ジャンゴはシュルツと出会う。
賞金稼ぎのシュルツは、お尋ね者のブリトル3兄弟を追っていた。シュルツは3兄弟の顔を知っているジャンゴを解放。2人は南部の農園を巡り、ついにテネシー州の農園で3兄弟を発見する。商売人に成りすまして、農園に潜入したジャンゴは、2人に怒りの銃弾をぶち込み殺害。逃げたもう一人をシュルツがライフルで仕留める。
妻を取り戻すためキャンディ・ランドへ。ミシシッピの奴隷市場には、ブルームヒルダが売られた先が記録されていた。彼女は富豪のキャンディに売られたようだ。キャンディが奴隷のボクシング試合を好むことを知った、シュルツとジャンゴは、これを利用し、ファイターを高額で買う客を装ってキャンディに接近する。商談をまとめるために、彼らは広大なキャンディ・ランドへと向かう。
しかし、この農園では、奴隷を処刑できる権力を持つ4代目の主人キャンディに、その片腕である奴隷頭のスティーブンがいた。一見、足の悪い老いぼれだが、洞察力が鋭く、ジャンゴに警戒の目を向ける。
キャンディ・ランドでジャンゴは妻のブルームヒルダと再会。しかし、食卓で給仕をする彼女にジャンゴが特別な視線を注いでいるのを、スティーブンは見逃さなかった。シュルツがドイツ人であることを主人にいい、ドイツ人の血を引く奴隷のブルームヒルダを自分の部屋へ呼び入れる。再会もつかの間、スティーブンの入れ知恵で、キャンディはシュルツとジャンゴ恫喝、取引の場に漂う不穏な空気が流れる。シュルツが銃弾を撃ったとき、キャンディ・ランドは戦場と化す。
<感想>アメリカ人はとかく、人権だの民主主義だの自由に動物愛護と騒ぐが、ほんの200数十年前まで、奴隷制、人種差別、拷問、リンチ、殺人などの非道の限りを平気の平左で働いていた。ムチを振るって家畜のように黒人を扱う白人たち、人権も民主主義も自由も、「Dは発音しない」ことも知らない。やたらに唾をはく傲慢なアメリカン人たちに、ドイツから来た賞金稼ぎシュルツは「恥ずかしい」と口にする。この冷静な医者も最後には堪忍袋の緒が切れて、酷い目にあってしまうのだが、それもジャンゴに出会ったのが発端。
「続・夕陽のガンマン/地獄の決闘」を思わせる悪役のレオ様とクリストフ・ヴァルツの演技合戦に、割って入るサミュエル・L・ジャクソン。次々と飛び出すタランティーノ・テイストの映画群を思い出させるサービスたっぷりの演出。でも、タランティーノ映画が嫌味にならないのは、オマージュ対象が充実しているという以上に、監督本人の性格も大きくあずかっているのだろう。
あの底抜けの明るさのお蔭で、後半で本人も出演してジャンゴに賞金稼ぎの仕事を進められる。だが、ジャンゴの銃弾が炸裂し、ダイナマイトを駆使した爆破も豪快です。だからなの、何をやっても真剣みに欠け、よく言えば明るく、悪く言えば軽いのがタランティーノ映画。見事に2度目のアカデミー賞脚本賞を受賞。
くそ真面目が好きな人には、ダメダメ作品だが、この映画に関しては人が何人死のうが、映画は明るく楽しく無責任に楽しまなくちゃ。拍手喝采、満足のいく作品だと思う。
とにかく、クリストフ・ヴァルツが演じる歯医者の賞金稼ぎで、初登場時には歯の看板をぶら下げた馬車で現れ、どこまで本気なのかさっぱりわからず、他人を煙にまくのを楽しんでいるようにしか見えない。見事なガンさばきでジャンゴを奴隷商人の手から救い出すシュルツの役で見事に2度目のアカデミー賞助演男優賞を獲得した。
一番の見せ場は、もの凄い銃弾シーン、もはや笑うしかない、血まみれバイオレンス。血や肉片が飛び散り、真っ赤な屍が横たわる描写はスプラッタ映画級。撃たれた人間は豪快に吹っ飛ぶが、人によっては弾丸の方向とは違う方へ勢いよく吹き飛ばされ、見ていて思わず笑ってしまいそうになる。さすがに犬に黒人を襲わせる残酷描写には目を背けたくなる。それに、2人の奴隷が殺し合うシーンでは、金槌が出てきて頭を殴る残虐なシーンも、韓国映画では当たり前のように見慣れていたのに。
だが、命のやりとりの間も交わされるユーモアあるセリフ。これはタランティーノの十八番なんですね。とりわけ、ドン・ジョンソン扮する農場主一派が、ジャンゴとシュルツを襲撃する際、頭巾の目の位置の穴が合わずに、被る被らないで揉めるやり取りは絶品ですから。
2013年劇場鑑賞作品・・・40 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ
奴隷制度撤廃以前の19世紀の米国南部で、妻を救うために賞金稼ぎとなった元奴隷ジャンゴが、怒りの銃弾を撃ちまくります。鮮血たっぷりのバイオレンスを彩るのは、ジャイミー・フォックスをはじめとする豪華キャスト。とりわけレオナルド・ディカプリオが憎々しい悪役ぶりを披露している。
物語:テネシー州カルカーン農園で働いていたジャンゴと妻のブルームヒルダ。だが、理不尽な理由から彼らは奴隷監督官のブリトル3兄弟に鞭打ちにされた上に、ミシシッピの奴隷市場で夫婦別々に売り飛ばされてしまった。
新たな所有者に買われ、他の奴隷とともに鎖に繋がれて移動しているとき、ジャンゴはシュルツと出会う。
賞金稼ぎのシュルツは、お尋ね者のブリトル3兄弟を追っていた。シュルツは3兄弟の顔を知っているジャンゴを解放。2人は南部の農園を巡り、ついにテネシー州の農園で3兄弟を発見する。商売人に成りすまして、農園に潜入したジャンゴは、2人に怒りの銃弾をぶち込み殺害。逃げたもう一人をシュルツがライフルで仕留める。
妻を取り戻すためキャンディ・ランドへ。ミシシッピの奴隷市場には、ブルームヒルダが売られた先が記録されていた。彼女は富豪のキャンディに売られたようだ。キャンディが奴隷のボクシング試合を好むことを知った、シュルツとジャンゴは、これを利用し、ファイターを高額で買う客を装ってキャンディに接近する。商談をまとめるために、彼らは広大なキャンディ・ランドへと向かう。
しかし、この農園では、奴隷を処刑できる権力を持つ4代目の主人キャンディに、その片腕である奴隷頭のスティーブンがいた。一見、足の悪い老いぼれだが、洞察力が鋭く、ジャンゴに警戒の目を向ける。
キャンディ・ランドでジャンゴは妻のブルームヒルダと再会。しかし、食卓で給仕をする彼女にジャンゴが特別な視線を注いでいるのを、スティーブンは見逃さなかった。シュルツがドイツ人であることを主人にいい、ドイツ人の血を引く奴隷のブルームヒルダを自分の部屋へ呼び入れる。再会もつかの間、スティーブンの入れ知恵で、キャンディはシュルツとジャンゴ恫喝、取引の場に漂う不穏な空気が流れる。シュルツが銃弾を撃ったとき、キャンディ・ランドは戦場と化す。
<感想>アメリカ人はとかく、人権だの民主主義だの自由に動物愛護と騒ぐが、ほんの200数十年前まで、奴隷制、人種差別、拷問、リンチ、殺人などの非道の限りを平気の平左で働いていた。ムチを振るって家畜のように黒人を扱う白人たち、人権も民主主義も自由も、「Dは発音しない」ことも知らない。やたらに唾をはく傲慢なアメリカン人たちに、ドイツから来た賞金稼ぎシュルツは「恥ずかしい」と口にする。この冷静な医者も最後には堪忍袋の緒が切れて、酷い目にあってしまうのだが、それもジャンゴに出会ったのが発端。
「続・夕陽のガンマン/地獄の決闘」を思わせる悪役のレオ様とクリストフ・ヴァルツの演技合戦に、割って入るサミュエル・L・ジャクソン。次々と飛び出すタランティーノ・テイストの映画群を思い出させるサービスたっぷりの演出。でも、タランティーノ映画が嫌味にならないのは、オマージュ対象が充実しているという以上に、監督本人の性格も大きくあずかっているのだろう。
あの底抜けの明るさのお蔭で、後半で本人も出演してジャンゴに賞金稼ぎの仕事を進められる。だが、ジャンゴの銃弾が炸裂し、ダイナマイトを駆使した爆破も豪快です。だからなの、何をやっても真剣みに欠け、よく言えば明るく、悪く言えば軽いのがタランティーノ映画。見事に2度目のアカデミー賞脚本賞を受賞。
くそ真面目が好きな人には、ダメダメ作品だが、この映画に関しては人が何人死のうが、映画は明るく楽しく無責任に楽しまなくちゃ。拍手喝采、満足のいく作品だと思う。
とにかく、クリストフ・ヴァルツが演じる歯医者の賞金稼ぎで、初登場時には歯の看板をぶら下げた馬車で現れ、どこまで本気なのかさっぱりわからず、他人を煙にまくのを楽しんでいるようにしか見えない。見事なガンさばきでジャンゴを奴隷商人の手から救い出すシュルツの役で見事に2度目のアカデミー賞助演男優賞を獲得した。
一番の見せ場は、もの凄い銃弾シーン、もはや笑うしかない、血まみれバイオレンス。血や肉片が飛び散り、真っ赤な屍が横たわる描写はスプラッタ映画級。撃たれた人間は豪快に吹っ飛ぶが、人によっては弾丸の方向とは違う方へ勢いよく吹き飛ばされ、見ていて思わず笑ってしまいそうになる。さすがに犬に黒人を襲わせる残酷描写には目を背けたくなる。それに、2人の奴隷が殺し合うシーンでは、金槌が出てきて頭を殴る残虐なシーンも、韓国映画では当たり前のように見慣れていたのに。
だが、命のやりとりの間も交わされるユーモアあるセリフ。これはタランティーノの十八番なんですね。とりわけ、ドン・ジョンソン扮する農場主一派が、ジャンゴとシュルツを襲撃する際、頭巾の目の位置の穴が合わずに、被る被らないで揉めるやり取りは絶品ですから。
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