パピとママ映画のblog

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糸★★★・5

2020年10月09日 | アクション映画ーア行

        

 

1998年にリリースされた中島みゆきのヒット曲「糸」をモチーフに、菅田将暉、小松菜奈演じる平成元年に生まれた男女の18年間を生活者からの視点から見た平成史とともに描いていく、瀬々敬久監督作品。漣役の菅田、葵役の小松のほか、斎藤工、榮倉奈々、山本美月、倍賞美津子、成田凌、二階堂ふみ、高杉真宙らが顔をそろえる。

 

 

あらすじ:平成元年生まれの高橋漣と園田葵。北海道で育ち、13歳の時に出会った2人は初めての恋をするが、葵は母親に連れられて北海道を去ってしまう。8年後、21歳になった漣は、友人の結婚式のため訪れた東京で葵との再会を果たす。しかし、漣は北海道でチーズ職人、葵は東京、沖縄へと自分の世界を広げ、2人は別の人生を歩み始めていた。さらに10年の時が流れた平成最後の年、2人は運命の糸によってふたたびめぐり会うこととなる。

 

 

<感想>中島みゆきの名曲「糸」の台詞が所々に織り込まれており、曲に乗せて描かれるふたりの男女の切ない生き方、そしてその周囲の人々の物語。一本の赤い糸のように、男と女が平成という時代を織り込み、厚みのある一枚の布となった幾重もの糸の物語。それは、好きで愛し合っていても中々結ばれない男女のドラマがあり、そして物語の喜怒哀楽に心を動かされてしまう。

 

 

さすがに主役の2人菅田将暉の演技力と、小松菜奈の魅力がぴったりとハマっており、それは見事に1本の糸で繋がっており、中々この主人公2人が結ばれないもどかしさとか、きっと最後には巡り合って結ばれるのだと信じて疑わなかった。

手を替え品を替えての物語の運びに工夫が凝らされており観る者を飽きさせない。主人公は二人だが、小松菜奈の方が、いわば冒頭での虐待も含め受難の連続で、斎藤工に一方的に去られて後、シンガポールでは仕事仲間の山本美月に裏切られ逃げ出されたあと、母親の死にも遭う受難。

菅田将暉の歩む過程は、北海道でのチーズ作りで真っすぐだ。それでも愛妻の死に見舞われ、それでも娘をもうけて一つのヤマ場を成している。

 

 

それがラストで、とんとん拍子に2人が出会い、結婚をするまでの長い道のりを、スクリーンで描かれてゆく脚本に涙が止まらなかった。しかしながら、この作品は『弥生、三月 君が愛した30年』と類似している点が多々あり、評価の上では前に上映された『弥生、三月 君が愛した30年』の方が良かったと思う。

ですが、俳優たちが適材適所で素晴らしく、誰もが魅力的な人物像を彫り上げていた。子供食堂の倍賞美津子が豊かな包容力で、主人公2人をさりげなく繋ぐ役割を果たしていた。全編、山あり谷ありの切実な人生模様を作り上げていた。

 

 

主人公の漣は北海道でチーズ工場で働きながら、そこの娘 榮倉奈々と結ばれ子供が授かり、幸せな結婚生活に恵まれる。

 

 

一方の葵は、13歳の時に出会った漣と恋をして、彼の絶対に君と結ばれると誓いあったのに、葵は養父の虐待を逃れて一度は漣と駆け落ちをするも、まだ幼い2人は警察に保護されて別れ別れになってしまう。

 

 

その後、葵は実業家の斎藤工に救われ、世界中を飛び回って沖縄に住むことになるが、斎藤工の事業が失敗して葵はまた一人になってしまう。そして21歳になった葵と漣は、友達の結婚式で久しぶりに出会い、お互いに別々の人との幸せを掴んでいた。

 

 

ところが、漣はまだ心の中に葵のことをあきらめてはいなかった。娘を授かったのに妻が癌で亡くなり、チーズ作りをしながらきっと心の中では葵のことを思い出していたに違いない。だから葵の方も、漣との繋がりを求めて斎藤工のところから逃げ出して、北海道へと戻っていく。

 

 

17年後の2人の再会では、きっと漣と葵が結ばれるのだと確信を持って観ていたが、さすがに涙が零れて仕方がなかった。もちろん最大なのは東日本大震災でしょうかね、上手く物語に織り込んであると思いました。人生ってこんなにも巧く行くわけないと思うのですが、映画の中だもの、この2人には幸せになって欲しいと願うばかりですね。

 

 

そうそう、私の大好きな成田凌くんが、友人で出演していましたね。彼の作品はTVで良く観ています。

 

 

 

 

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