ブラッド・ピットと『サボタージュ』などのデヴィッド・エアー監督がタッグを組み、ナチスドイツ相手に戦車で戦いを挑む男たちの姿を描く感動の戦争ドラマ。第2次世界大戦末期、戦車を駆使して敵軍に立ち向かう5人の兵士たちの過酷なバトルを追う。『欲望のバージニア』などのシャイア・ラブーフや、『ウォールフラワー』などのローガン・ラーマンらが共演。アメリカとドイツ双方が誇る戦車の激突はもとより、強い絆で結ばれた男たちのドラマが琴線に触れる。
あらすじ:1945年4月、ナチスがはびこるドイツに総攻撃を仕掛ける連合軍に、ウォーダディーというニックネームのアメリカ人兵士(ブラッド・ピット)がいた。カリスマ性のあるベテラン兵士である彼は、自らフューリーと名付けたアメリカ製の中戦車シャーマンM4に3人の兵士と一緒に乗っていた。そんなある日、ウォーダディーの部隊に新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が加わることになり……。
<感想>戦場のリアルを追求した新しい戦争映画の傑作でしょう。死線をくぐり抜け度に固い絆で結ばれていく5人のチーム。ドイツ国内に侵攻したフューリーは“十字路死守”という重要任務に就くのだが、彼らの目の前に現れたのは300人の敵兵だった。わずか1台の戦車でどう戦うのか?・・・絶体絶命の状況で下したウォーダディーの決断。そして、仲間のために命を懸けるチームの絆が心を揺さぶります。
「エンド・オブ・ウォッチ」のデビッド・エアー監督が、お得意の骨太かつパワフルな演出で臨場感あふれる戦いと戦場の凄惨な地獄絵図をリアルに描いている。アクションも圧巻ですが、ドラマ性も高く、チームとして命がけで戦う男たちの熱い友情などドラマティックな要素が満載で、感情的な戦争巨編として昇華されています。
元米海軍兵だった監督だけに、戦車内という密室での異常なまでの緊迫感は鳥肌もんです。イギリスの戦車博物館が所蔵する、世界で唯一走行可能なドイツ軍の、本物のティーガー戦車を撮影に使用するなど、リアリティを徹底的に追求していると思います。
フューリーと4台のシャーマン戦車は前線で足止め状態の味方舞台に合流すべく戦闘地に向かう。途中、新兵のノーマンの判断ミスでヒトラー青少年団の攻撃を受けてしまい、味方の1台が撃破される。なんとか戦闘地に到着するも、森の中や塹壕に隠れていたドイツ軍から突然の猛攻撃を受け激しい戦闘に突入。
残った4台の戦車で更に前線に進み、ある廃墟と化した街に侵攻するが待ち伏せていたドイツ軍の奇襲攻撃を受けてしまう。アパートやビルなど建物が多く視界が限られる不利な状況で、フューリーらシャーマン戦車は建物ごと街を破壊する豪快な応戦で危機を脱出する。ノーマンの刹那のロマンスも描かれます。
ここで、一軒の家に入るウォーダディーとノーマンの2人が観たのは、二人の女性だった。ノーマンがそこでピアノを弾き、エマという女性がノーマンに心を寄せる下りは、ウォーダディーの配慮による心配りで、つかの間のひと時であり、女性たちと目玉焼きとベーコンで食事をとる風景も和みます。ブラピが服を脱いで上半身裸の場面もあり、見事な筋肉美を披露しますが、その背中にはケロイド状の皮膚が火傷の痕だろう。
ところが、そこへ仲間たちが現れて、俺たちにもおこぼれをとヤボなことを言い、せっかく作った目玉焼きも、兵隊が舐めまくりそれを女の前に出し食べろと言うのだ。いくら憎きドイツ人でも、民間人や女子供までナチスドイツ兵と一緒に扱う態度は許せない。そこで、ウォーダディーの出番なんですね。粋な計らいでその舐めた目玉焼きを自分が食べるという、さすがに立派でした。でも、その後に彼女たちの家が空爆に遭い、ビルごと女性2人も亡くなってしまう。
ドイツ軍の動きに合わせ新たな任務を受け、街を出るフューリーと残り3台の戦車小隊。そんな彼らを阻止すべく、当時世界最強と言われていたティーガー戦車が牙をむくのだ。圧倒的な攻撃力により連合軍の戦車は次々と破壊されるが、フューリーはウォーダディーの巧みな戦術とチームワークにより、これを撃破するのです。
クライマックスの戦いでは、ドイツ軍300人に対し、フューリーの5人が果敢に応戦と、何だかカッコイイのだが、戦車は蜂の巣状態にさらされるも、ドイツ兵たちは戦車からの銃撃を受け次々と倒れて行く。しかし、全員が生き残れる可能性は極わずかで、仲間の為に命を犠牲にする場面もあり、5人の熱い絆も一瞬で消え去るのみ。
1台になってしまっても任務をまっとうしようと、ドイツ軍の進軍ポイントの十字路に向かうフューリーだが、地雷を踏んでしまいキャタピラが破損。急いで修理を試みるも、見張り役のノーマンが300人のドイツのSS隊員が迫ってくるのを発見する。任務を放棄して逃走するか、戦うべきか、ウォーダディーは最後の決断を下す。
皆に好きなように何処へでも行けと言うブラピ、「この戦車フューリーが俺の家だと」いい、皆も、今まで彼に付いて来て命が助かった。だから、最後まで戦うと決意する5人。一番印象に残ったボイド役のシャイア・ラブーフの、聖書を一説を引用して仲間の心を癒す印象深いところが好きです。そして、マイケル・ペ-ニャ扮するゴルド。酔っぱらい運転ながらも操縦の腕はピカイチなのだ。お調子もので反抗的な装填手で、通称クーンアス、場の空気の読めない行動と発言で、チームの和を乱す問題児だが、度胸は人一倍である。
そして、副操縦手のノーマン。通称マシンと呼ばれ、生き残ったドイツ兵を射殺するように命令される、拒絶するノーマン。軍の事務担当だったゆえに戦闘経験はゼロでも、ウォーダディーに鍛えられ兵士として成長する。彼が、フューリーの最後の兵士となり、戦車の床下から逃げて道路に穴を掘り隠れるも、ドイツ軍に見つかるのだが見逃してくれ生き残った一人になる。
連合軍に攻め込まれ、兵力が足りなくなりドイツ軍は少年兵も動員して徹底抗戦。まだ幼い兵士たちの表情が戦争の現実を突きつけるだけでなく、彼らの惨い死体も容赦なく映像で描き、連合軍の死体を積んだトラックが穴に落とす遺体の山に、誰もが戦慄を覚えることでしょう。
第二次世界大戦の映画というと、上記の「プライベート・ライアン」(1998)や「シン・レッド・ライン」(1999)を思い出してしまう。敵国の兵士だと分かると、何も考えずに殺すのが戦場の常識。本作でも捕えられた敵兵を、見せしめのように射殺したり、死体の山が出てくるなど強烈な描写で、戦争に勝ったとしてもヒーローになるわけではないと訴えている。
戦争とは、歴史の中で憮然として刻まれる証でもある。何もいいことが無い、人間と人間が殺し合い、壮絶なる戦いの末に、どちらに勝敗があってもいいことなんかないのだ。残された家族も戦争に巻き込まれて死んでいくのだから。
この作品でも同じことが言える。戦争に協力しない人間はさらし首にされ、風になびく惨たらしさ。地面には、戦死した兵隊がそのまま野ざらしにされて、戦車が通るぬかるみの道にある屍も、戦車が轢きながら通過するのだ。
戦争映画は、あまりの惨たらしさに、観ていて辛くなる。
だが、特にブラッド・ピットが今までにない勇気ある、戦場のなかで勇敢に戦い、仲間を絶対に守るといい、勇敢で最高の指揮官だったと思います。
2014年劇場鑑賞作品・・・354 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:1945年4月、ナチスがはびこるドイツに総攻撃を仕掛ける連合軍に、ウォーダディーというニックネームのアメリカ人兵士(ブラッド・ピット)がいた。カリスマ性のあるベテラン兵士である彼は、自らフューリーと名付けたアメリカ製の中戦車シャーマンM4に3人の兵士と一緒に乗っていた。そんなある日、ウォーダディーの部隊に新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が加わることになり……。
<感想>戦場のリアルを追求した新しい戦争映画の傑作でしょう。死線をくぐり抜け度に固い絆で結ばれていく5人のチーム。ドイツ国内に侵攻したフューリーは“十字路死守”という重要任務に就くのだが、彼らの目の前に現れたのは300人の敵兵だった。わずか1台の戦車でどう戦うのか?・・・絶体絶命の状況で下したウォーダディーの決断。そして、仲間のために命を懸けるチームの絆が心を揺さぶります。
「エンド・オブ・ウォッチ」のデビッド・エアー監督が、お得意の骨太かつパワフルな演出で臨場感あふれる戦いと戦場の凄惨な地獄絵図をリアルに描いている。アクションも圧巻ですが、ドラマ性も高く、チームとして命がけで戦う男たちの熱い友情などドラマティックな要素が満載で、感情的な戦争巨編として昇華されています。
元米海軍兵だった監督だけに、戦車内という密室での異常なまでの緊迫感は鳥肌もんです。イギリスの戦車博物館が所蔵する、世界で唯一走行可能なドイツ軍の、本物のティーガー戦車を撮影に使用するなど、リアリティを徹底的に追求していると思います。
フューリーと4台のシャーマン戦車は前線で足止め状態の味方舞台に合流すべく戦闘地に向かう。途中、新兵のノーマンの判断ミスでヒトラー青少年団の攻撃を受けてしまい、味方の1台が撃破される。なんとか戦闘地に到着するも、森の中や塹壕に隠れていたドイツ軍から突然の猛攻撃を受け激しい戦闘に突入。
残った4台の戦車で更に前線に進み、ある廃墟と化した街に侵攻するが待ち伏せていたドイツ軍の奇襲攻撃を受けてしまう。アパートやビルなど建物が多く視界が限られる不利な状況で、フューリーらシャーマン戦車は建物ごと街を破壊する豪快な応戦で危機を脱出する。ノーマンの刹那のロマンスも描かれます。
ここで、一軒の家に入るウォーダディーとノーマンの2人が観たのは、二人の女性だった。ノーマンがそこでピアノを弾き、エマという女性がノーマンに心を寄せる下りは、ウォーダディーの配慮による心配りで、つかの間のひと時であり、女性たちと目玉焼きとベーコンで食事をとる風景も和みます。ブラピが服を脱いで上半身裸の場面もあり、見事な筋肉美を披露しますが、その背中にはケロイド状の皮膚が火傷の痕だろう。
ところが、そこへ仲間たちが現れて、俺たちにもおこぼれをとヤボなことを言い、せっかく作った目玉焼きも、兵隊が舐めまくりそれを女の前に出し食べろと言うのだ。いくら憎きドイツ人でも、民間人や女子供までナチスドイツ兵と一緒に扱う態度は許せない。そこで、ウォーダディーの出番なんですね。粋な計らいでその舐めた目玉焼きを自分が食べるという、さすがに立派でした。でも、その後に彼女たちの家が空爆に遭い、ビルごと女性2人も亡くなってしまう。
ドイツ軍の動きに合わせ新たな任務を受け、街を出るフューリーと残り3台の戦車小隊。そんな彼らを阻止すべく、当時世界最強と言われていたティーガー戦車が牙をむくのだ。圧倒的な攻撃力により連合軍の戦車は次々と破壊されるが、フューリーはウォーダディーの巧みな戦術とチームワークにより、これを撃破するのです。
クライマックスの戦いでは、ドイツ軍300人に対し、フューリーの5人が果敢に応戦と、何だかカッコイイのだが、戦車は蜂の巣状態にさらされるも、ドイツ兵たちは戦車からの銃撃を受け次々と倒れて行く。しかし、全員が生き残れる可能性は極わずかで、仲間の為に命を犠牲にする場面もあり、5人の熱い絆も一瞬で消え去るのみ。
1台になってしまっても任務をまっとうしようと、ドイツ軍の進軍ポイントの十字路に向かうフューリーだが、地雷を踏んでしまいキャタピラが破損。急いで修理を試みるも、見張り役のノーマンが300人のドイツのSS隊員が迫ってくるのを発見する。任務を放棄して逃走するか、戦うべきか、ウォーダディーは最後の決断を下す。
皆に好きなように何処へでも行けと言うブラピ、「この戦車フューリーが俺の家だと」いい、皆も、今まで彼に付いて来て命が助かった。だから、最後まで戦うと決意する5人。一番印象に残ったボイド役のシャイア・ラブーフの、聖書を一説を引用して仲間の心を癒す印象深いところが好きです。そして、マイケル・ペ-ニャ扮するゴルド。酔っぱらい運転ながらも操縦の腕はピカイチなのだ。お調子もので反抗的な装填手で、通称クーンアス、場の空気の読めない行動と発言で、チームの和を乱す問題児だが、度胸は人一倍である。
そして、副操縦手のノーマン。通称マシンと呼ばれ、生き残ったドイツ兵を射殺するように命令される、拒絶するノーマン。軍の事務担当だったゆえに戦闘経験はゼロでも、ウォーダディーに鍛えられ兵士として成長する。彼が、フューリーの最後の兵士となり、戦車の床下から逃げて道路に穴を掘り隠れるも、ドイツ軍に見つかるのだが見逃してくれ生き残った一人になる。
連合軍に攻め込まれ、兵力が足りなくなりドイツ軍は少年兵も動員して徹底抗戦。まだ幼い兵士たちの表情が戦争の現実を突きつけるだけでなく、彼らの惨い死体も容赦なく映像で描き、連合軍の死体を積んだトラックが穴に落とす遺体の山に、誰もが戦慄を覚えることでしょう。
第二次世界大戦の映画というと、上記の「プライベート・ライアン」(1998)や「シン・レッド・ライン」(1999)を思い出してしまう。敵国の兵士だと分かると、何も考えずに殺すのが戦場の常識。本作でも捕えられた敵兵を、見せしめのように射殺したり、死体の山が出てくるなど強烈な描写で、戦争に勝ったとしてもヒーローになるわけではないと訴えている。
戦争とは、歴史の中で憮然として刻まれる証でもある。何もいいことが無い、人間と人間が殺し合い、壮絶なる戦いの末に、どちらに勝敗があってもいいことなんかないのだ。残された家族も戦争に巻き込まれて死んでいくのだから。
この作品でも同じことが言える。戦争に協力しない人間はさらし首にされ、風になびく惨たらしさ。地面には、戦死した兵隊がそのまま野ざらしにされて、戦車が通るぬかるみの道にある屍も、戦車が轢きながら通過するのだ。
戦争映画は、あまりの惨たらしさに、観ていて辛くなる。
だが、特にブラッド・ピットが今までにない勇気ある、戦場のなかで勇敢に戦い、仲間を絶対に守るといい、勇敢で最高の指揮官だったと思います。
2014年劇場鑑賞作品・・・354 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング