山田洋次監督による国民的人情喜劇「男はつらいよ」シリーズの50周年記念作品。1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、97年の「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」以来、22年ぶりに製作された。倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らに加え、シリーズの看板俳優であり、96年に亡くなった渥美清も出演。さらに、歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子と「男はつらいよ」でおなじみのキャストが顔をそろえる。
あらすじ:柴又の帝釈天の参道にかつてあった団子屋「くるまや」は、現在はカフェに生まれ変わっていた。その裏手にある住居では車寅次郎の甥である満男の妻の7回忌の法事で集まった人たちが昔話に花を咲かせていた。サラリーマンから小説家に転進した満男の最新作のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までしたイズミの姿があった。イズミに再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。その店はかつて寅次郎の恋人だったリリーが経営する喫茶店だった。
<感想>渥美清主演の伝説的人情喜劇シリーズ『男はつらいよ』の映画シリーズ開始50周年記念作にして、第49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(1997年)から約22年ぶりとなる第50作です。シリーズの生みの親である山田洋次が自身の監督作通算88作目となる本作でもメガホンを執り、新規に撮影された部分と4Kリマスターされた過去の厳選されたシーンを融合、寅さんの甥の満男と初恋の人イズミの再会がこれまでの登場人物の“今”と共に綴られていきます。吉岡秀隆、倍賞千恵子、前田吟らオリジナルのレギュラー陣に加えて23年ぶりの女優復帰となる後藤久美子、往年のマドンナ役の浅丘ルリ子らが出演、主題歌をサザンオールスターズのリーダー桑田佳祐が歌っています。
物語は、今は小説家として働いている満男の物語で進行していきます。結婚して妻が6年前に亡くなり、中学3年生になる一人娘のユリ(桜田ひより)と暮らしています。出版社に向かった満男は、担当編集者の高野節子(池脇千鶴)から著書のサイン会開催を提案されますが、恥ずかしいからという理由で断りました。
後日、満男の亡き妻の七回忌が柴又の実家で営まれ、満男の母で寅さんの妹のさくら(倍賞千恵子)、満男の父・博(前田吟)、ユリ、妻の父・窪田(小林稔侍)らが集い、先代からその座を受け継いだ御前様(笹野高史)を迎え入れて法要が始まりました。
その後に、やっぱりサイン会に行くことにした満男は、何だか寅さんに似ているような感じがしました。優柔不断で、直ぐに決断できないところなんてそっくりです。
そのサイン会で、あの初恋の人泉と再会することになるからです。泉は今やヨーロッパで結婚してイズミ・ブルーナと名乗り、国連難民高等弁務官事務所の職員として働いているのです。丁度日本に来ており、満男のサイン会で巡り合うわけなんですね。
久しぶりに再会を果たした満男は、イズミを寅さんのかつての想い人だったリリー(浅丘ルリ子)の経営する神保町のジャズ喫茶に連れて行きました。イズミには既に二人の子がおり、満男も娘がいることまでは話しましたが、妻に先立たれたということまでは話せませんでした。リリーと再会を喜び合ったイズミは、どうして寅さんと結婚しなかったのかとリリーに問いかけてみました。リリーはかつて、さくらを通じて間接的にプロポーズを受けたことを明かしましたが、それを聞いた満男はいつも肝心な時に自分から逃げ出す寅さんの悪い癖を思い出しました。
満男はイズミを両親の住む柴又の実家の2階に泊まることをすすめると、両親のさくらと博は喜んで迎え入れ、次の日には、満男が神奈川の介護施設で暮らす泉の父・一男(橋爪功)に会いに行くという彼女を車で送ることになります。
満男の家では高野がユリに英語を教えつつ帰りを待っており、編集長から依頼されている書き下ろし小説の話をしてきました。高野さんも、本当は満男が好きなようですね。帰った後で、寅さんは自らの恋愛をはぐらかす満男に「思っているだけで言葉で言わないと何もしないと同じだ」という言葉を思い出すのでした。
満男の娘ユリもまた、お隣の朱美の息子・浩介(中澤準)に好意を持っているようです。仏壇のメロン事件で、さくらが、昔、叔父さん夫婦やみんなでメロンを切って食べていると、そこへ寅さんが帰って来て自分のメロンが無いことで、喧嘩になった思い出を振り返るのです。
しかし、満男は明日にもヨーロッパに戻る泉と離れる寂しさを、寅さんに聞いて欲しくてたまりませんでした。おじさんが生きていたらなぁと。いつも優柔不断で物事をハッキリと決められない性格の満男。
別れ際に満男は、泉の負担になると思って妻の死を明かさなかったことを打ち明け、泉は「満男さんのそういう所が好き」とキスをしてきました。思いがけない泉の心を知り、満男は内心嬉しくてたまりません。
帰宅した満男は、娘のユリから「この3日間、パパは遠い所に行ってた気がしたから」と言われた。満男は編集員の高野さんに依頼されていた、書き下ろし小説を書くと連絡し、タイトルを「お帰り 寅さん」と決めたのです。小説の中では、寅さんはものすごく美人な奥さんと結婚をして幸せそのものでした。満男は寅さんから「困った事があったら風に向かって俺の名前を呼べ。どこからでも飛んで来るから」と言われたことを思い出して、懐かしくおじさんの思い出に浸るのでした。
満男くんの回想シーンでは、たくさんの亡くなった人たちが出て来て、とても懐かしくもあり、涙が出て来るシーンもありました。満男くんには、寅さんが一番の尊敬する人であり、相談ごとをする人でもあったようですね。寅さんの大ファンであり、また喜劇人としての渥美清さんの演技と、存在感には改めて懐かしく感じ入りました。まだ寅さんが生きていたらと、そう思いつつ、とてもいい作品に仕上がってました。
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