こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
2023年11月26日の【AERA dot.】に、日本のペット流通について問題提起する記事が掲載されていました。
取材したのは、ペット業界の闇に鋭く斬り込んだ著書『犬を殺すのは誰か』で知られる太田匡彦(おおたまさひこ)氏です。
太田氏の取材を受けたのは、ペットショップ最大手『Coo&RIKU』(クーアンドリク)の社長である大久保 浩之 氏です。
太田氏の、「劣悪な環境での繁殖・販売をなくしていこうという社会的な動きについて、どう考えているのか。」との質問に対して、大久保社長は次のように答えています。
(以下、大久保社長の回答要旨)
ペット業界全体が立ち止まって考える時期に来ている。
「ブリーダーから買う、ペットオークションで買う」という流通の問題をすべて解決するためにCoo&RIKU では自社繁殖を始めた。
犬や猫などのペットを飼う社会はなくならないと思うが、ペットショップでの生体販売は要らない。
ブリーダーから流通・小売業者を介すのか、ブリーダーが直接売るのかという問題だが、ブリーダーが直接売るという流れに行かなければいけない。
ペットショップ自身が繁殖場を持っていれば、在庫リスクも生じにくくなるため、Coo&RIKU ではグループ会社で繁殖を行なっており、法律を遵守してやって行く。
この業界が変わらなければこの業界は潰れると思っている。
(以上、大久保社長の回答要旨)
大久保社長が「業界が変わらなければこの業界は潰れる」と答えているとおり、ペットが劣悪な環境で繁殖・販売されている問題を、業界最大手のペットショップ社長が認めています。
その問題を解決するためにCoo&RIKUでは自社繁殖を始めたようです。
しかし、自社工場において劣悪な環境で繁殖していたのでは、何のために自社繁殖に踏み切ったのか、非難を浴びても止むを得ないところです。
Coo&RIKUの劣悪な繁殖環境については、繁殖部門を運営するグループ企業【大浩商事】の元社員が次のように証言しています。動物保護に尽力している杉本彩さんとのインタビューにおける証言です。
(以下、証言)
・繁殖場はゴキブリだらけで、夜間に灯りをつけると、天井から何十匹と降ってきた。
・交尾を嫌がるメスもいるのですが、噛まれないようタオルを首元に巻いたり、2、3人がかりで押さえつけてオスと交尾させるのです。
・ネズミも毎日2、3匹捕獲されるくらい、そこら中を走り回っています。
そんな不衛生極まりない環境の中、妊娠した母犬が20~30匹ほど産室でお産を迎えるのです。その広さは20~30畳くらいで一頭ごとに空間が仕切られていますが、常時、けたたましい鳴き声が響き、落ち着いて出産できる環境ではない。
母体へのストレスは大きく、産みはしたもののネグレクトしたり、果てはわが子を食べてしまう母犬もいました。
(以上、証言)
大久保社長が自認しているように、
①ブリーダーによるペットの大量生産 ⇒ ②ペットオークションでの競り売り ⇒ ③ペットショップでの大量販売 ⇒ ④売れ残ったペットはペット引取り屋へ(つまり、事実上の殺処分)
という構図において、ペットは劣悪な環境での繁殖・販売に曝されています。
その問題を解決するための自社繫殖だったのでしょうが、Coo&RIKUの元社員の証言を見ても、一向に問題が解決されていないことが明らかです。
ペット業界には反社会的勢力が多数巣食っており、自浄作用は期待できないところです。
現状、ブリーダーやペットショップを始めるには「登録制」が採用されており、事実上誰でもブリーダー等を始めることができます。
悪質業者を排除し、ペットの命を守るためには「許可制」を採用し、行政の厳しい監督が及ぶようにすべきです。
命を扱う仕事である以上、許可制の採用は当然のことといえます。
ペットの行く末や相続の事でお悩みの方は相続相談所にご相談ください
↓ ↓ ↓ ↓ ↓