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日本のいまを考える#21 都議会議員選挙の夏に向かって。



祝日は玄関に国旗を掲揚しましょう


★精神学協会「日本のいまを考える」から転載

『精神学協会』
http://www.godbrain.com/gb/letter/



■日本のいまを考える#21

都議会議員選挙の夏に向かって。

私は江戸っ子四代目。生まれてこの方ずっと都民です。
都民といっても、葛飾や足立をベースにしている期間が長く、いわゆる下町育ちですが、良くも悪くも、都会の便利さと、劣悪な通勤通学環境のもと、生かされてきました。
国全体の問題ではないけれど、国民の一割が住む東京の動きは波及も大きく、話題にも多く取り上げられます。

このところ、不祥事続きで改選が続いた都知事職。
今度こそ、と、都民の期待を受けて当選した新都知事ですが・・・
意味のわからない内容で、「小池劇場」が展開し続けているのを見るたびに、「小泉劇場」の頃を思い出します。

昨年、都知事選が行われましたが、二十名を超える立候補者が存在したにもかかわらず、マスコミは三名しか立候補者がいないかのように連日、その三名を追いかけ、各社で報道を続けました。

後半には、「その三名しか選択肢がない場合、どうしたらいい?」という、最悪を忌避する選択の話が都民の一番の話題になっていました。
結果的に、思いがけない大量得票になったわけですが、それは消去法の果て、やむを得ない選択です。

鳥越さんはダメ、という都民の意志の表れでもあり、ほかが二分するとどちらも負けるのではないかという危機感の表れでもあったはずだと私は思っています。
あれから、もうじき一年。

いまや、足立康史議員や、ジャーナリストの有本香さんをはじめ、一部からは、「右手に共産党、左手に隠れ民進党」といわれています。

小池都知事は、この十カ月ほどの間、どのような成果を上げてこられたか、振り返ってみると・・・

ご本人が公約に掲げた「冒頭解散」はしませんでしたが(実際には都知事には権限がなく、できません)、議会審議にかけず都知事の独断で築地市場の豊洲移転を突然延期しました。

十一月七日に移転する予定だった市場は、期限の決められないまま宙ぶらりんになっていました。

それから半年が過ぎ、六月二十日、市場の豊洲移転の意向を表明しましたが、記者会見で語られた内容は残念ながら意味不明でした。

「築地は守る 豊洲は生かす」— 表明したスローガンはまるで「小泉劇場」の再来を見ているかのようです。

都民を「短く簡単で耳障りのよい言葉を使って、うまく言えば騙される愚民」だと思っているとしか考えられない玉虫色の会見でした。

玉虫色というより、現実的には不可能、または、おそらく選挙終了後に変更もしくは取り下げるであろう内容がほとんどです。
郵政民営化の「小泉劇場」で、その後話題になった電通による「B層」戦略を使っているのでしょうか?

五年後を目処にに築地を再開発し「食のテーマパーク」を作るという方針を出しましたが、「食のテーマパークを築地に」ということ自体は新しい構想ではありません。
しかし、築地市場跡地の売却資金で豊洲への移転費用を大きく賄い、移転に際して税金は使わないという形で計画実行してきたことが、築地市場を売却しないということになると話は変ります。

四千億円前後の資金不足は、いったい、どう補填するつもりなのでしょうか?

ただでさえ、豊洲の経費がいまも一日五百万円ずつかかっています。
業者さんたちへの補償料も、大半が未払いですが、今後支払わなければなりません。
合計を日割りすれば結局、一日に数千万円×延期中の日数が、今後は税金で払われていくことになるのです。
どれだけの負担を都民に負わせるつもりなのでしょうか?

加えて、実際には築地市場の跡地は、地下を掘ると史跡が出てくるはずだといわれています。

ですから、おそらく調査が終わるまでは新たな建築物は建てられないため、再整備はすぐには着工できません。

五年後は絶対的に無理ということです。その頃にはもう、都知事は代わっているかもしれません。

「安全だが安心でない」といって風評被害を起こし、まわりまわって築地ブランドを貶めた小池都知事。

豊洲を安心ではないといい続けたために、移転理由を掘り下げた結果、築地にまで飛び火したのです。
これは完全に、小池都知事の責任です。

そもそも共産党の理屈に気軽に乗って、捨てる地下水の水質基準を、「体重五十キロの成人が七十年間毎日二リットル飲み続けた場合、体調が悪くなる危険性がある」という飲料水の基準にする必要は皆無でした。

下町に通じるものがあるからかもしれませんが、私は、レトロな築地が大好きです。
しかし、土地の歴史や汚染対策、生ものを扱う市場の温度管理やアスベスト、動物たちによる雑菌の持込予防対策など、五輪開催も決まり、早々に解決しておきたい課題はたくさんあったはず。

いろいろな意味で、築地をこのまま使い続けるのは難しいと理解して、業者さんたちが納得し、議会も承認した結果、やむなく移転の手続きを踏んで移転が決まりました。

築地仲卸、生田興克(いくたよしかつ)さんのお話では、たしか、三十五年もかけて移転に関して話し合い、賛成派・反対派がようやく折り合ってみんなで移転しようと新市場完成を迎えたのが去年の秋だったのです。

ですが、都知事が市場移転を自民党都連との抗争の具にしたため、市場組合内の結束はなくなり、三十五年の努力の結晶が水の泡になりました。

去年(二〇一六年)、「築地ワンダーランド」という映画が公開されました。
ハーバード大学教授(社会文化人類学者)で世界中の市場を研究しているテオドル・ベスターさんも、「世界の市場でも、築地のようなところはない、世界でここだけ」と話しておられました。

く皆さんのスタンスが、ほんとうに素敵で、こうした方々に支えられてこその築地なんだと思える作品でした。

働く皆さんも、出入り業者の皆さんも、客となる料理店主たちも、誰もが愛する築地市場。

積極的に移転に賛成したというよりは、やむをえない判断による移転計画だったと思います。

築地の魅力は、豊洲に移っても骨格としては継承されていくはずのものです。
三世代、四世代と年月をかけて大切に育まれてきた「築地ブランド」を、貶めたのは小池都知事の言動に発しているのに、いい気なものだなと思います。


三月には、豊洲の土地取得に関して、石原元都知事を百条委員会に呼び出しました。
ご病気もされ、年齢的なこともあり、長時間の質疑には体調も厳しい状況のなかです。
元気な成人男性でも、百条委員会の呼び出しというのはかなりのストレスなはずで、負担は小さくないはず。

結果は、当初から言われていたように、「何も問題はなかった」ということがわかっただけでした。
それでも、しらっとしているところに、人間性の「質」を感じます。

石原元都知事の移転判断は、議会を全部通していますが、小池現都知事の移転延期は議会を通していません。

東京五輪の会場見直しをするといって、各地を視察行脚しましたが、二転三転して結局ほとんど元通りです。

会場設備の見直しについてもそうですし、近隣他県に協力要請する内容についても同様です。

そして、経費に関しては、結局、都知事選で揶揄していた「豆腐じゃあるまいに、一兆二兆・・・」と指摘していたものの、元に返って、今の試算ですでに一兆八千億円を越えるというマスコミ報道です。

OC(国際オリンピック委員会)と約束していた環状二号線はいったいどうなるのかも、わかりません。

私は五輪を東京でやってほしいとは特に思っていなかったので、できなくなっても仕方ないと思ってしまいますが、IOCとの約束どおりに進んでいたはずの事業が、小池都知事のドタバタで、想定外の事態となっています。

小池都知事は、新党を立ち上げ、多数の新人が今回の都議会議員選挙で選挙戦にデビューします。

その「都民ファーストの会」から出馬予定の人々にとって豊洲はいまや、不安の種になり得る論点です。

五輪を実行するにあたって、三千台もの大型観光バスを駐車するスペースとして、築地市場の跡地活用を想定していたわけですから、元々ほかに選択肢があるわけがないのです。
いまから代替地を探すのは経費的にも至難の業ですし、五輪会場から便利な場所でなければ駐車場として意味を成さないからです。

今回都議選の日程に合わせて、直近になって豊洲移転を発表されたのかもしれません。

「都民ファースト」といいながら、いまは会派の数を取るための選挙ファーストのように見えます。
最近は「都民ワースト」、「都民ラスト」、「自分ファースト」とも指摘されてきました。
今の言動を見ていると、事実上そうなります。

都議会議員選挙は七月二日に実施されます。
小泉郵政選挙の大失敗から学んでいれば、同じ轍は踏まないであろうと思いますが、イメージに乗せられやすい現代の都会人、小池都知事に従う新党「都民ファーストの会」は、どのような集計結果となるのでしょうか。

結果次第で、この先も、劇場型都政が続き、混迷が長引いていくことになるのでしょう。
光文書Vol.553の「東京の不幸」そのままにです。

この有様で、「都民ファーストの会」からチルドレンがたくさん誕生するようだと、魔の手はさらに忍び寄るのではないかという危険を感じます。

「都民ファーストの会」の政治塾には、人材派遣業大手パソナ会長で、小泉構造改革の推進役であった竹中平蔵氏が、早々講師を務めていました。

どこまで日本を売るおつもりなのか、計り知れません。
このまま、都議会議員選挙に突入するのかと思うと、暗澹たる気持ちになりそうですが、
どんな結末になりますか。

またもや都民である私にとっては、魅力に欠ける選挙になりそうです。
せめて、また、都知事選のときのように、いろいろな方々の応援演説などで、実際の話がたくさん出てくることを楽しみにしたいと思っています。

ほんとうに日本の首都、東京都の役割、未来に向けて全体を俯瞰して実践に繋げていける議員を選びたいものです。


小池都政に関して、参考までに、下記の動画をご覧ください。
【有本香】小池劇場が撒き散らした罪とは?
  べストセラー”「小池劇場」が日本を滅ぼす”の作者がぶちまける
   https://www.youtube.com/watch?v=5DCX__8OvSQ  

【百田尚樹×有本香】小池都知事ダメ出し!
  築地豊洲問題→鳩山由紀夫氏沖縄基地の辺野古移設発言と同レベル
  https://www.youtube.com/watch?v=xReAFSonlGY  

【三橋貴明】おはよう寺ちゃん6月21日
  「共産党のプロパガンダに便乗し築地豊洲問題を政治抗争に使った!」
  https://www.youtube.com/watch?v=GU8A6gDyiD8  


少し前のものですが、

#08_報道特注(右)  築地・豊洲と小池都知事の話が出てきます。
  https://www.youtube.com/watch?v=KI8tWdCqI5Q  


#12_報道特注(右)【偏向報道の真相&生田よしかつ決意表明SP】
  有本香 足立康史 和田政宗がメディアの真の姿を解き明かす
  そして堪忍袋の緒が切れた!  生田よしかつが小池都知事に…
   https://www.youtube.com/watch?v=TxUKbCphgIM  


平成二十九年六月二十三日
柴田サチ子
協力 ツチダクミコ

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