内科医 医学博士 上昌広氏
コロナ政策迷走の原因
日本の医療行政の問題を提起
◆コロナ発生当初より、厚生労働省の医系技官は総理大臣を含む有力な大臣に正しい助言をしてこなかった責任は重大である。
◆日本ではワクチンが行き渡っていない。この状況でオリンピックを開催できるかどうかを判断するのは医師を含む科学者であるべきだが、日本の医療行政を担う科学者はその役目を果たしていない。既に分かっている危険因子・リスク予想を無視している。
◆コロナ感染を避ける最も有効なのは換気だが、夏の気温は高い。冷房をかけながら効果的な換気は困難である。現在出来うる方法としては、室内のCO₂濃度を測定して換気状態を把握し、空気が滞留しないように対策をとる方法がある。(室内の人間の呼気によるCO₂濃度を測定する。過密状態なら濃度が上がる。二酸化炭素センサーは比較的簡単に入手可能)
◆質疑応答の部分から私が注目した発言
質問者:サンデーガーディアン
ワクチン・治療薬が日本で進まない原因につての回答から
抜粋1.公衆衛生は社会のためであるべきだが、今回の日本の公衆衛生は、厚生労働省のごく一握りの官僚のためだったようにうつる。(厚生労働省とその監督官庁が業務遂行に差し支えが出ないように誘導した)
抜粋2.東京オリンピックに参加する多くの発展途上国のアスリートとスタッフはワクチンが行き届かない国もある。それらの参加者にどう対応するのか検討がなされていない。
質問者:ロイター通信
ここ数週間で、分科会尾身会長の発言は、開催に否定的な内容に変化している。
1.発言が否定的になった理由はなぜか。
2.尾身会長の“観客を入れない”内容の提言に対して、政府はなぜ無視した運用の決定をするのか。
回答から抜粋
日本のコロナ対策は、感染症法と検疫法、特措法に基づいて執行されている。
感染症法と検疫法→厚生労働省
特措法(特別措置法)主に経済対策→内閣府
◎日本の官僚機構で注目すべき問題点
厚生労働省の幹部である事務次官、局長クラスは総理大臣が指導・監督できるが、課長以下の人事権を総理大臣は持たない。総理大臣の在任期間が短くなると省庁の課長クラス以下の官僚は
「総理のことを聞かなくても自分のキャリアに影響しない。どうせいなくなっちゃうんだから」と考えるようになる。(結果として、総理が考えた行政方針に抵抗を示し政策が執行できない)
抜粋 どうやら東京オリンピック開催後、コロナ感染爆発になる兆候が濃厚になってきたので、(現実に感染爆発が起こった場合の)責任を回避するコメントが多くなってきた。
上昌広医師:専門は血液・腫瘍内科学、真菌感染症学、メディカルネットワーク論、医療ガバナンス論。特定非営利活動法人医療ガバナンス ..
2021.6.23 日本外国特派員協会主催 上昌広氏 記者会見~日本の医療政策は、医師免許を持っていてもほとんど臨床経験のない約300人の厚生労働省の官僚がすべて決めている!