お題に参加します。
ミステリーとカテゴライズされるかどうかは分かりませんが、夢枕獏先生の「キマイラ」シリーズが好きです。
始めてこの作品と出会ったのが今から十数年前、高校生の時から読んでいるのですが、未だ完結はしていないようですね(´・ω・`)
最後に読んだのもかなり前なので、細かいところはよく覚えていません……。また読み直してあの世界観に没入したいです。
登場人物の中に、詩を書くのが趣味という青年がいるのですが、その人が書いた一文が印象的でした。
「ほろほろと灰青(うすあお)く 我が背を疾(はし)りゆくけものあり」……でしたっけ?
男というものは誰でも、己の中に獣を宿しているのだ―的な。
それは食欲であったり、闘争本能や破壊衝動であったり、支配欲であったり。女性を自分のものにしたいと思ったり。
私は女なので、男性がどのような思想を持っているのかがわからないので、こういう、男性視点のお話は「そうなのか~」と勉強(?)できて楽しんで読めました。
前情報などもなく、天野喜孝先生の表紙イラストに一目惚れして買ったのですが、これがもうめちゃくちゃ面白かったんですよ!帯にあった挑戦的な文句「この物語は、絶対に面白い」を裏切らない、素晴らしい世界観です。
ネタバレになるので、あまり詳しくは書けないのですが……上にも書いたとおり、「獣」をテーマにした物語です。
主人公の大鳳吼(おおとり こう)は大人しく、目立つことをしたり人と争うことが嫌い。しかし自分の中に得体の知れない獣がいて、そいつが自分を食べようとしていて―
……という、謎の悪夢にうなされることがあること以外は、ごく普通の高校生。上級生の九鬼麗一(くき れいいち)との出会いをきっかけに、吼はどんどん変わっていきます。
自分に自信がなくて、いつも人の顔色を窺っていた吼。不良に絡まれたり、理不尽ないじめにあったりしても「今だけ我慢すればいい」と耐え忍んでいただけでした。しかし九鬼と出会ったことで「変わりたい」と思うようになり、武術を習い始めます。
優しくて頼りになる師匠や先輩に囲まれ、可愛いガールフレンドもできて、消極的だった性格も明るくなり、吼は自信を持てるようになったのだが……
というのが初めの1巻の物語です。
ここから怒涛の展開が待っております。興味が湧いた方は、お手に取ってみては如何でしょうか。(完結してませんけど……)