ベランダのはす向かいに住んでいるノッチ
ノッチがひとりで留守番しているときはカーテンが開かれていて
窓越しに寝そべりノッチは外を見ている
こちらから外を見ている私と目が合った
じーっと私を見てから頭を下げ、横に傾け恥ずかしそうにしている
ちらっとこちらを見る
私が見ているのを確認しているようだ
こんな毎日が、私とノッチの交信だ
そんなある日、こちらのベランダが建物の修繕工事になった
マンション全体が幌で包まれてしまった
こちらからは、外の様子がある程度は見えてるが
外側、ノッチのベランダからは、真っ黒な幌しか見えなくなっていた
ノッチとの交信が出来なくなった私は、あまり外を見なくなっていた
時折、工事の進み具合を見てみたり、空の様子を見るくらい・・
ノッチが窓越しにいるベランダは、よく見えなくなっていた
今日は、日曜日だから工事もなくて静かだったなぁと16時過ぎ・・
白いカーテンを引いたら、私の目に、白黒物体が飛び込んできた
思わず「きゃー！」と声を上げた・・・
白黒物体は、動かなかった
落ち着いて見てみたら、ノッチと判明！
声を上げた私をじっと見て、耳をぴくり、頭をほんの少し下げて笑っていた
「外に出れたの？来れたの？来てくれたんだ！！」
『うんうん』と二人でうなずきあって、久しぶりの交信をした
ノッチは、しばらく気持ちよさそうに、私のベランダの桟で休んでいた
”のっしのっし” のひ孫かなぁと、その時ふと思った
小さな頃、猫が苦手なのに、のっしのっしと私に近づいてきた白ねこ
のっしも優しかった、いつも私を見ていた
ベランダ越しにノッチと何気ない交信をするようになって
私は、猫が苦手なことを忘れていた
ノッチが、目の前まで来てくれて、あ！と思い出した、子供の頃の自分とのっしのっし
のっしのっしが、ノッチに私のことを伝えてくれていたような気がしてならない
見えなくなった私を心配して、こちらのベランダまで来てくれるなんて・・
のっしのっし、ありがとう
ノッチは、しっかり、私を見守ってくれています
今日も、ノッチと交信
ノッチは、いつも眠そうにしているけど、ぴくんと耳を動かしてくれる
ありがとう、ノッチ
『のっしのっし』は
こちらです。
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