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しあわせへの近道・周り道・散歩道 ー変わらないで欲しい大切なものー Kurara 公式ブログ

湯河原の海

2024-07-28 15:05:45 | Kuraraストーリー
都会育ちの私には田舎がない
夏になると決まって湯河原の海へ行った
そこにはおじいちゃんのお姉さんが住んでいた
山のてっぺんに大きな家を持っていた
そこに泊まって、そこから、毎日、海まで行く
山のてっぺんから途中まで、てくてく歩いて
おじいちゃんの妹が住んでいる途中の家で小休止
そこで、親戚と待ち合わせをして、車で海まで連れてってもらう
それが、お決まりの私の夏の海

湯河原の海の波はいつも高くて
小さい頃、私が沖に行ける事は、一度もなかった
波打ち際で遊んでいるだけ
それでも夏の海は最高で真っ黒に日焼けするまで砂浜で遊んだ

大っきな波が小さな私には怖かった
その波を、いくつも超えて、また超えて、遠くに泳いで行く父を砂浜で見ていた
「波の向こうは波がない。静かなんだよ。」という父の言葉が分からなかった

4年生になった夏だった「沖まで一緒に行ってみるか?」と父が言う
私は、泳ぎが得意ではないから、ためらったけど、波のないところを見てみたかった
浮き輪を付けて、父と一緒に、大きな波をいくつも越えて沖に出た
「もう大丈夫だぞ!」と父の声とともに、ザブーンザブーンの波が無いところに辿り着いた
ただ、足は、つかないから、怖かったけど、本当に静かな海だった
砂浜から見てる海とは、全然違っていて、水も、自分の足が見えるほど、きれいだった

私は、泳いでみたりもしたけど、ほぼ浮き輪の中でぷかぷかしていた
父はというと、仰向けに、まるで普通にお家に居るように、上をを見て「気持ちいいだろう!」と言う
父は、何時間でも、そうして浮いていられるのだと言う
静かな波にゆらゆら揺られながら、目を開ければ、一面、真っ青な空に包まれてる
いつも、2時間は、岸に帰ってこない父は、こうして、空を見て休んでいたのかとわかって
父の秘密を知ったような感覚で、不思議な気持ちになった
その時は、表現の仕方が、わからなかったけど、「男のロマン」を感じた瞬間だった

大きな波の湯河原の海は、ザブーンザブーンと音を立てては、私を驚かしていたけれど
静かな沖での流れた時間は、小さな波に揺られながら、まるで時間が止まったような、
ちょっっぴり、こわさも含み、不思議な感覚になったのを覚えている

沖で見た、空と海は、まさに、スカイブルー!!
いまでも、鮮やかに、心に映る夏の想い出になった



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