ポピータイム 

しあわせへの近道・周り道・散歩道 ー変わらないで欲しい大切なものー Kurara 公式ブログ

初めてのぬいぐるみ

2023-01-22 12:19:12 | Kuraraストーリー
私は一番上で、「これが欲しい、あれが欲しい」
と言える立場ではなかった。
ぬいぐるみに憧れていたけど
とても高いし、なんとなく恥ずかしくて言えなかった。
まだ小学3年生の分際で、恥ずかしく思ったのは
下のちびちゃんたちに示しがつかないと、十分にわかっていたから・・・
一番上とは、そんなもので、知らず知らずと大人になる。
子どもなのに大人にならざる得ないことが結構ある。

小学3年生のクリスマス
父の提案で上野に食事に行くことに決まった。
外に食事に行っても、何か買ってもらうことはなかったから
クリスマスプレゼントが貰えるなんて夢にも思わず出掛けて行った。

上野は、とても混んでいて、歩くのも大変で、ちょっと疲れてしまった。
お店から出て、大通りを渡り、帰りのタクシーの方向には、歩かない父・・
あれ?あれ?と思いながら着いていく・・・
私は、そっちに、大きなおもちゃ屋さんがあることを知っていた。
内心、まさか・・と思いながら期待してしまっている自分がいて
でも、私は、買ってもらえないか・・とも思っていた。
一番上だからだ。

父は、さっさとおもちゃ屋さんに先頭をきって入って行った。
ちびちゃんたちは、嬉しそうに、ぴょんぴょん跳ねるように着いて行った。
私は、あとから、ゆっくり入って行って・・・
見付けた!!ピンク色の大きなうさぎ!!
欲しいな・・と思ったと同時に、恥ずかしくて言えないなと思った。

ちびちゃんたちは、お決まりの「リカちゃん人形、リカちゃんハウス」の前から動かない。
私には、それが、出来ない・・・
欲しいものの前から動かない、なんていう行動は、なかなかできるものではない。
一番上だからだ。

私は広いおもちゃ屋さんの中を何も興味がないようにふらふらと歩いていた。
父が近づいてきて、「おまえも選んでいいんだぞ、何が欲しいんだ?」と言ってくれた。
ドキドキした、何しろ、初めてのこと、欲しいものを言うなんて!!
私が、戸惑ってることを察したのか、「なんでもいいんだ、言ってみろ!」
と職人の父は、少々、べらんめい言葉で言ってきた。お酒も入ってるから仕方ない。

私は、一番上の棚を指差し「あのピンクのうさぎ」と小さな声で言った。
値段が高いぬいぐるみだった。
父は「仕方ねえな。。すみません、あれを下さい!」と定員さんに言ってくれた。
嬉しかった!大きなピンクのうさぎのぬいぐるみだ!!
初めてのぬいぐるみ!!私は、ずっとずっと嬉しくて・・
日数は、覚えてないけど、ずっとずっと嬉しくて、胸がいっぱいになっていた。

大きなピンクのうさぎのぬいぐるみは、幼い私に幸せを運んでくれて
いつでも、”お姉さん”でいなくてはいけない私を子供にしてくれた。


後年、私が34歳になっていたある日、実家に寄ると
「おまえにいいものがあるぞ!」と嬉しそうに四角いバックから父が何やら取り出した。
ピンク色の可愛いビニールポーチだった。真ん中には、キティちゃんが笑っていた。
キティちゃんは、猫だけど、その時、私の目にも、不思議と・・うさぎに映った。
「わぁ、可愛い!どうしたの?これ!」と尋ねると
「寄り合いで寄付すると選べるんだ!」と得意そうに笑っていた。
父は、25年も前のピンクのうさぎを覚えていて、このピンク色のポーチを選んできたんだ。
きっと、父の目にも、猫がうさぎに見えたのは、ポーチがピンク色だったからかな・・
子供向けで売っているキティちゃんのビニールポーチ、もちろん、私は、喜んで受け取った。
父の満足そうな顔が、なんだか子供っぽく見えて、とても可愛らしかった。

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Kurara ハート展2023 開催のお知らせ

2022-12-09 10:16:13 | Kuraraストーリー
心に優しい風を贈る Kurara ハート展2023

2022年12月18日(日)~ 2023年1月15日(日)
午前9時〜午後8時(休館日12/29〜1/3)


今年も開催致します。
Kuraraの絵と詩のコラボレーションをお楽しみ下さい。
小さなお子様でも楽しめます。
是非、ご家族でも安心して、お出掛け下さい♪

来場案内チラシ←クリックするとA5のチラシが見れます。


サンパール荒川2F ARAKAWA1-1-1ギャラリー
〒116-0002
東京都荒川区荒川1-1-1 電話 03-3802-7111(ACC)
都電荒川線「荒川区役所前」徒歩2分
東京メトロ日比谷線「三ノ輪駅」徒歩12分

主催 ハートオブクリアー
電話 050ー3708ー8010 メール kurara_sky@icloud.com
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おじいちゃんの葡萄棚

2022-10-14 12:08:00 | Kuraraストーリー
東京の下町にある、おじいちゃんの家
幼いわたしにとって、おじいちゃんの家に行くのは、一大イベントだった
わたしの家からバスで3停留場、バス停から20分程歩くとおじいちゃんの家に着く

東京のど真ん中で、きれいな葡萄棚が見れるのは珍しい
車1台通れる程度の狭い幅の道をてくてく歩いて行く
右へ、左へ、路地が続く・・・
おじいちゃんの葡萄棚は、3本目の右の路地に顔を向けると少し見える
路地を曲がり、てくてく歩くと間もなく、きれいな葡萄棚が迎えてくれる

白い紙できれいに包まれている葡萄たち
おじいちゃんは、見せるためだったのか、紙に包まれていない葡萄もあった
きれいな薄紫色・・棚を見上げては幸せな気分になれたのは・・・
葡萄がたべられるから・・ではなくて、本当にきれいだったのだ
おじいちゃんが、東京のど真ん中で作った小さな葡萄棚は、きらきら輝いていた

「わぁ〜葡萄がなってる!これたべれるの!?」
物心ついて、しっかり、話せるようになったわたしの第一声だった
おじいちゃんでも、手が届かない少し高いところに葡萄棚はあって
「こっちにおいで!」とわたしを2階に連れて行ってくれた
上から見渡せる葡萄棚!!これもまた、「わぁ〜!」と声がでるほどきれいだった
「全部、おじいちゃんの葡萄?」と聞いたら
「うんうん」とにこにこ笑っていた

下に降りて、梯子を使い、おじいちゃんが葡萄を採ってくれる
おばあちゃんが、たらいに冷たい水をはって待っていて
そこで、洗い、冷やして、やっと、口の中に!
甘酸っぱい葡萄が、口の中にパァーっと広がると
おばあちゃんが、「今年は、ちょっと酸っぱいね、おじいさん!」という
おじいちゃんは、お構いなしで、にこにこしながら、葡萄をたべている

「おじいさんはね、いつも、”いい出来だ!”というんだよ!」
と、大きな声で『あっはっは!』と笑う、おばあちゃん
わたしは、美味しくて、一房をしっかり握りしめ、一生懸命たべながら笑った

東京のど真ん中で、もぎたての葡萄をたべられる幸せと笑顔をくれた祖父母
今秋も青い空の下、祖父母に感謝して、街で薄紫色の葡萄を買って来た
今年は、甘いか、な・・

葡萄棚の向こうから
おじいちゃんのにこにこ顔とおばあちゃんの大きな笑い声が飛んで来た


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サイフォンの音で

2022-09-30 11:58:00 | Kuraraストーリー
ぽこぽこぽこぽこ
サイフォンの音で目が覚める
さりさりさりさり
豆を引く音を聴きたかったのに
それは終わっている

テーブルの上でサイフォンを使い
父がコーヒーを入れている
アルコールランプで落としたコーヒー
再び温め出来上がり
ぶくぶくっとなる寸前でランプを消す

一連の作業を見るのが大好きで
早く起きようと決めて眠っても
豆を引くときには間に合わず
慌てて目をこすり起き上がりテーブルへ行く

コーヒーがいい香りとまでわからなかった幼い頃
8畳と3畳の二間に小さなキッチンが付いている木造の貸家で
父は、お洒落な生活をしていたのだなと、今、思う

私は、コーヒーアレルギーで、大きくなっても、父のコーヒーは飲めなかった
父の前で、いつも100パーセントのオレンジジュースを飲んでいた
「お父ちゃんにも、一杯くれ」と言われた時
高校生の私は、得意そうにグラスに注いで上げたけど・・
内心、こんなの飲めるのかな・・と思った

あぁ、私が、父のコーヒーが美味しそうに見えたように
父も、私のオレンジジュースが美味しそうに見えたんだなと思い微笑んだ
その後も、ごくたまに、「お父ちゃんにも、一杯くれ」と言われた
意外と気に入ってくれたのかな・・・

ただ、オレンジジュースを私と一緒に飲んでくれてた父だったのかもしれない
無言の父の優しさに気付くまで、何十年も経ってしまった・・・
『オレンジジュースを一緒に飲んでくれてありがとう!』天まで届け!!

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お彼岸

2022-09-23 20:20:18 | Kuraraストーリー
お彼岸にはお墓参りに行く
お墓参りに行くためにお彼岸がある

遊ぶためのシルバーウィークなどと
名付けたのは誰?

故人を慈しみ
そして再び愛しむ
静かな時間が流れるお彼岸

手を繋いでお墓参りに行く
子ども達も手を合わせて
天国のおじいちゃんおばあちゃんと話したりする

あっ、声が聞こえた!
と不思議なことが起こって
心からの笑顔が溢れるお彼岸

シルバーウィークなどと名付けて旅行三昧?
神さまが怒って台風を起こしたのだろう
お彼岸は、シルバーウィークではない
大事な時間が流れて愛おしい故人に逢えるお彼岸だ



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おじいちゃんとバスタイム

2022-09-16 12:00:00 | Kuraraストーリー
おじいちゃんは、たまに、私のうちのお風呂に入りに来た
どうやら、娘たちの家を順番にまわっていたらしい
子供の私には、理解できていなかったけど
おじいちゃんが、お風呂に入りに来るのは、楽しかった

おじいちゃんのからだは、とても大きい
小さい私からは、完璧にお相撲さんに見えた
お腹も大きく出ていて、そのお腹をポンポンと叩いて
「さ!風呂に入るぞ!」と私を誘う

内心は、嫌だった
理由その1、アッつい湯に温まらなくてはいけない
もう熱いというと、「あと10」と数えさせられる
理由その2、大きな背中を洗わなくてはいけない
これまた、小さい私には、重労働だった
理由その3、上がる時に、冷たい水をかけられる
「きゃー!」と目をつむったって、ほんとに冷たい
なんと、これは、冬も同じようにかけられる

これだけ揃えば、嫌で、仕方ないのに
なぜか「さ!風呂に入るぞ!」とポンポンとお腹を叩かれると
私は喜んで、いそいそ、着いていった
小さいながら、背中を洗ってあげないと!なんて考えていた

それから、いいことが、一つだけあった
私の大好きなお菓子を持って来てくれる
お風呂の中で、こっそりと、好きなお菓子の話をする
そうすると、次に来る時には、袋を抱えて来てくれるおじいちゃんだった

湯上がりに、冷たい水を浴びせられたことで、風邪をひかない身体になった
おじいちゃんの仕業には、いつも裏がある
それは、かけがえない、大事な大事な裏技だった

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氷屋さん

2022-08-23 20:08:28 | Kuraraストーリー
夏になると氷屋さんが "かき氷" を売り始める
”かき氷始めました” の旗が立つ

わたしは、わくわくして列に並ぶ
暑くても麦わら帽子をかぶり順番を待つのは楽しくて仕方ない
シャリシャリ、氷を削る音がする
順番が近くなると、氷を削ってるところが見える
器をくるくる回しながら、だんだんお山になっていく
途中で、ぎゅっと軽く固めてくれて
またその上に、シャリシャリ氷が乗っていく
真っ白でふわふわっとしてて、可愛くて美味しそう

かき氷の削る音とかき氷が出来上がっていくところを見てるのが大好きだ
麦わら帽子の下で汗をかいてるけど、暑さは、忘れてしまう
順番が来て、「シロップは何にする?」と聞かれて
ハッとする・・・「いちご!」と大きな声で言えた
今日は、メロンにしようと思っていたのに・・
「いちご!」と言ってしまった

赤いシロップは、いちご味で、一番人気で
旗にも、いちごのかき氷が描かれている
暑い夏に、氷屋さんが届けてくれる赤いかき氷は
暑さも溶かしてくれて幸せな味がした




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お盆の交信

2022-08-14 11:50:00 | Kuraraストーリー
おじいちゃんは、おばあちゃんを残し
わりと早く天国に行ってしまった
小学5年生の私は、それまで、おじいちゃんとよく一緒に居たから
とても寂しく悲しかった・・・けど、
初めての身内の死をどう受け入れてよいのか分からず
おばあちゃんの悲しみも、全く理解できていなかった

おじいちゃんが天国に行った翌年、初めてのお盆さんがやってきた
東京だから7月15日だ
「じいちゃんが、帰って来るんだよ」
と云う、おばあちゃんの声は、まだ元気がなく寂しそうだった
帰って来るといっても、本当に、おじいちゃんが現れて
お話できたり、一緒に、お出掛けできるわけではない
お家で、魂を迎える・・・
おじいちゃんの写真に手を合わせ、じっとしているおばあちゃんの姿を
ぼんやり見ていた私だった

大人になって、毎年、7月15日が近づくと
「来週は、お盆さんだよ!
 じいちゃんが帰ってくるから、一緒に迎えに行っておくれ」
おばあちゃんからの連絡が来て、私が、出掛けていくと
にこにこ笑って、「早く行ってあげないと!」
と立ち上がるおばあちゃんは、とても嬉しそうだった
私も、嬉しくなった・・・おばあちゃんが元気で良かったと思った
お墓で、「じいちゃん、一緒に帰るよ〜!」
おじいちゃんに明るく声をかける、おばあちゃん

おじいちゃんが天国に行ってから、10年以上が経ち、
お盆さんを繰り返すうちに、おばあちゃんの心は、
おじいちゃんの魂との交信がうまくいっていたのだろう

年を経て、今、私は、おばあちゃんと、うまく交信できているかな・・
毎年、『忘れずに迎えに来ておくれよ!』
と、天国のおばあちゃんから、いつものように声がかかる



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夏休みの宿題〜水族館〜

2022-08-13 11:38:00 | Kuraraストーリー
夏休みには、必ず宿題が出た
読書、ドリル、絵日記、などなど
1番苦手だったのは工作だ
まず良いアイディアが浮かばない
他の宿題は片付くのに、私は、いつも工作が残った

画用紙と睨めっこしてみたり、家中のガラクタを集めてみたり
小さい頭を使っていろいろ考えている
それでも良いアイディアが浮かばない、苦手なのだ!
何もないところから何かを考えて作り出す工作の宿題
何しろ苦手だった

そして、日にちは、どんどん迫ってくる
8月の最後の週がやってきた
毎年、お決まりと言えばお決まりだ

いろいろ集めたガラクタを眺めなていたら
8月の最後の日曜日、父が、何やら始めた
工作だ、私の工作だ!!
お菓子の箱のふたを外し、窓のように切り抜いてくれた
箱に水色のセロハンを貼り、ふたをはめる
なんと、その箱の中が水族館のように見える
そこに、折り紙で魚たちを作り、上から糸で吊る
そのように、父がアイディアをくれて教えてくれた

私は、言われた通りに、行儀よく作業を進める
素敵な水族館が出来上がった
これは、紛れもなく父の作品だ!と思ったけど
私は、黙って、9月1日、その水族館を持って、堂々と・・・
いいえ、、遠慮がちに通学した
絶賛されるのは間違いない
職人の父が持つアイディアは、いつでも最高だ!

おんなじような箱の水族館を持ってきた男の子がいた
お魚は、男の子の方が、もちろん上手に見えた
私の水族館は、キラキラ光るから、とてもきれいだった
セロハンを黙って買ってきてくれていた父の水族館だ

ガラクタを並べて睨めっこしている間中、父も、一緒に考えてくれていたんだ
水色のセロハンは、静かにキラキラ輝き続けていた


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スイカの種

2022-08-12 10:33:00 | Kuraraストーリー
スイカの種は必要ない・・
リスさんも欲しがらないし

ある日、家に、種なしスイカが届いた
おばあちゃんからの贈り物だ

半分に切った大きなスイカにはタネがなかった!!
いつも、タネを上手にとれない私には、絶好のスイカだ!!

小分けに切られたスイカを手に取り、すぐにかじった
なんか、美味しくない・・・
タネを一生懸命にとって、かじるスイカの方が美味しかった

翌週、おばあちゃんの家に行った
「スイカありがとう!」と言うと
『あれは美味しくなかったね、やっぱり、スイカにはタネがないとダメだねぇ〜』
”あはは!!”と笑いながら、すぐに言ってくれた
私は、ホッとして、元気よく「うん!!」ニコニコ笑えた

やっぱり、スイカには、タネが必要だ
リスさんは、欲しがらないけど、また、大きなスイカができる
何よりも、種なしスイカの感想が、おばあちゃんと一緒で嬉しかった



注:現在は、品種改良などで、美味しくなっていると思います
  このお話は、遠い昔のお話です、ご了承下さい
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