グラウンドの打ち水黒く夕涼み
雨晴れて無間に堕つる蝉の声
夏闌けて雨にしをるる酔芙蓉
湯屋帰り魂も骸も君のもの
声涸れて風よりかろき蝉の骸
思ひ寝の心臓黒き熱帯夜
きのふ声涸らしし蝉の骸かな
無と有の岸のあひだの夏銀河
正装のつばくろ二つ紺の空