http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20111005_01.htm
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県の仮設住宅で、風除室や手すり、スロープの設置など住宅改良への取り組みに、県によって差が出ている。特に宮城で対応の遅れが目立つ。冬を前に被災者からは寒さ対策を求める声も強まっている。
◎二重窓や断熱材、遅れ顕著/宮城
<全団地を調査>
厚生労働省が実施した居住環境に関する調査で明らかになった。調査は8月、仮設住宅を設置している3県の全50市町村(全900団地)と、入居している計約2000世帯を対象に実施した。
改良工事(予定も含む)のうち、風雨を避けるため玄関先を囲う風除室を設置した団地は福島136(82.4%)、岩手94(28.9%)に対し、宮城7(1.7%)だった。
「窓の二重ガラス化」は岩手139(42.8%)、福島19(11.5%)だが、宮城はゼロ。「暑さ・寒さ対策としての断熱材追加」も宮城はゼロで、岩手93(28.6%)や福島12(7.3%)と比べ対応が進んでいない。
手すりやスロープの追加設置は福島84(50.9%)、岩手116(35.7%)、宮城18(4.4%)だった。
<復興相が苦言>
入居世帯に対する調査では「玄関を開けると雨や風が入り込む」「収納スペースがない・狭い」「風呂の追いだき機能がほしい」などの改善を求める意見が多かった。
調査結果は9月末に開かれた政府のプロジェクトチームの会合で公表され、平野達男復興対策担当相は「自治体が動かなければ進まない。主体性を持ってやってもらいたい」と苦言を呈した。
<被災者も心配>
冬の到来を控え、被災者の間では寒さ対策を求める声が広がっている。
気仙沼市の鹿折中仮設住宅に家族4人で暮らす主婦渡辺亜希子さん(38)は「フローリングの床板が薄く、底冷えが心配だ。二重サッシなら結露も防げるので助かる。ぜいたくは言えないが、冬が来る前に工事してほしい」と話す。
仙台市若林区日辺の仮設住宅で暮らすパート菅井幸恵さん(43)は「ここ数日、朝は本当に冷える。台所は特に寒い。小学4年の息子も数日前から風邪気味だ。今後、さらに寒くなるので何とかしてほしい」と訴える。
厚労省は被災各県に対し、断熱材や隙間風を防ぐシートの追加・補強などの経費を国が補助すると通知し、早急な取り組みを促している。
◎議会でも原因論議に/県、全戸工事を表明
宮城県の仮設住宅で寒さ対策が遅れている問題が、4日の県議会9月定例会の予算特別委員会保健福祉分科会で取り上げられた。県は対策を急ぐ方針を示し、約2万2000戸の全戸で追加工事を行う考えを示した。
岡部敦県保健福祉部長は遅れの原因について「地元業者を活用するために市町村対応としてきたが、業者が他の住宅補修工事に追われるなどして進まなかった」と釈明。対策を促す国の通知が9月末にあったことを明らかにし、市町村に代わって県が事業に取り組む方針を示した。
外壁への断熱材追加や窓の二重ガラス化、風除室の設置などを盛り込んだ追加工事仕様を既に作成し、近く社団法人「プレハブ建築協会」(東京)を通じて実施する。
着工時期は未定。県震災援護室は「協会の工程が決まり次第、着工する。寒くなる前に、できるだけ早く工事を完了させたい」としている。
対策が進む岩手県の状況に関し、県は「仮設住宅の本体工事の段階から、寒さに関する追加対策を取り込んで実施した」と説明した。
分科会の質疑で委員の一人は、平野達男復興対策担当相が村井嘉浩知事に対し「岩手、福島に比べ、宮城の対策が進んでいない」と電話で指摘したことを引き合いに出し、遅れをただす場面もあった。
2011年10月05日水曜日 河北新報
東北の冬は寒い。東北のなかで比較的暖かい仙台を例にとってみても、東京の最低気温が仙台の平均気温である。平均気温でくらべると、仙台のほうが5度近く低い。(参考:http://weather.time-j.net/Climate/Chart/47590?compare=47662)
このように東北はかなり寒いが、仮設住宅は一般家庭に比べてさらに寒い。壁や窓、床板が薄く冷たい隙間風が入ってくる。「ぜいたくはいえない」と仮設入居者は述べているが、十全の寒さ対策を求めることは、決して「ぜいたく」ではないはずだ。東北の気候の下では特に、寒さが健康状態を左右する。その意味では、宮城県で防寒対策が進んでいないということは大きな問題である。仮設住宅建設の段階から、防寒設備を整える必要性があっただろうし、早急に建設しなければならない中で、十分に設備を整えることができなかったのならば、寒さに関する追加対策に取り込んでいくべきである。仮設住宅での早急な暖房工事が求められる。
また、仮設住宅に入居すると「自立」したとみなされ、暖房にかかる光熱費も自分で負担しなければならない。ただでさえ被災して生活に困窮している中で、暖房代の出費はかなり苦しいものとなる。しかし、「ぜいたくはいえない」と東北の厳しい寒さを我慢しながらの生活とは、「人間らしい生活」と言えるのであろうか。仮設の工事に限らない総合的な防寒支援が求められる。
■NPO法人POSSE(ポッセ) 被災地支援の取り組み
NPO法人POSSE(ポッセ)では、仙台に拠点を置き、現地のNPOと連携しながら、仮設住宅(みなし仮設を含む)への移転支援や、仮設住宅住民への生活支援などに取り組んでいます。また、今後、被災学生への進学支援や就労支援、被災地の実態調査などに着手する予定です。被災地支援にご興味のある方は、お気軽にスタッフにお声をおかけください。
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