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宮城県の借り上げ仮設 契約成立23%止まり


http://www.kahoku.co.jp/news/2011/08/20110823t11003.htm
河北新報 8月23日
 東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とみなす制度をめぐり、宮城県内の2万1537件(16日現在)の入居決定件数に対し、契約に至ったのは5011件(23%)にとどまることが22日、分かった。このうち家賃の支払い手続きを終えたのは1206件で、3805件が未納状態になっている。

 入居が決まっても県と家主の契約が完了するまで、被災者は原則として入居できない。制度開始前に既に入居した被災者もいるが、県との契約に切り替えが済むまで自己負担を強いられる。両者は合わせて1万7000件近くに上っている。
 県によると、1件の契約を成立させるには家主との契約に加え、生活必需品として支給されるエアコンや照明など物品の納入業者、火災保険を扱う損保業者との契約も必要。借り上げ契約1件当たり、4件程度の契約を伴うケースもあるという。
 県の人員体制の問題もあり、事務処理が追い付かない状態が続いている。県震災援護室は「契約書に不備がある例も多く、手続きは滞りがちになる」と説明する。
 県は今月8日、応援職員を含む約60人態勢に増強し、事務処理に全力を挙げている。今後は事務手続きの民間委託も検討する方針。
 民間借り上げ仮設住宅の入居決定件数は、県が整備するプレハブ仮設住宅の戸数(約2万2000戸)とほぼ同数となっている。


県の事務作業の遅れのため、多くの被災者が借り上げ仮設に入居できずにいる。しかし、この問題を、安易に行政職員の責任に帰してしまってよいものだろうか。
この記事でも指摘されているように、今回の問題は職員不足による事務処理の遅れの結果として発生した。その原因はここ数年にわたって進められてきた自治体職員数の削減にある。実際、宮城県では2005人には29,581人いた職員が、2010年には28,108人まで劇的に減っている(参考:仙台市職員数 2005年10,346人→2010年9,446人)。
公務員数の削減は、宮城県に限ったことではなく、「市場化」・「民営化」の名のもとに、近年、全国的に推し進められてきた。その推進の掛け声は「非効率的」な行政を縮小し、「効率的」な市場に任せよという掛け声であった。仁平典宏は、「民営化」の流れの一つの画期が、阪神淡路大震災からの復旧・復興の過程でクローズ・アップされた「民の足を引っ張る非効率的な公」という構図にあったことを指摘している(仁平典宏「被災者支援から問い直す「新しい公共」」『POSSE』12号所収)。
今回、生活に関わる重要な事務作業が遅れ、それにより多くの被災者が損害を被っているのは事実である。しかし、それを安易な行政バッシングに収れんさせてはならない。むしろ、「非効率」であると行政に向けられた批判的な眼差しの延長線上に、行政職員の削減、今日の事務処理の停滞があったのだ。私たちは、被災者の生活上の困難をつぶさに見つめ、指摘することに満足するのではなく、なぜその困難が生じたのかまで問わなければならないだろう。

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