「国のイベントでやっと就職…なぜ、この仕事?」(MBSにて6/30放送)
(http://www.mbs.jp/voice/special/201106/30_630.shtml)
今回紹介する事例は6月30日に毎日放送で放送された山下さん(仮名)のケースである。関西の有名私立大学に通っていた山下さんは「ドリームマッチ・プロジェクト」を通じてA社からの内定を獲得した。しかし、山下さんは勤務を開始してからA社の実態を知ることとなった。
A社の求人票には「低炭素社会に向けた技術発掘・社会システム実証モデル事業を行います。なお、この事業は京都大学や大阪府立大学などと協力して行います。」とあり、山下さんは「バイオエネルギーやレアメタルを扱う営業職」に就くことになっていた。しかし、実際の業務は社長の自己出版の出版物の編集作業や社長宛のメールの返信を行うことであり、さらには喫茶店の経営を命じられる等、本来するはずだった仕事内容と実際の仕事内容はかけ離れていた。問題は仕事の内容だけではない。4月が終わり5月に入っても給料が支払われず、社会保険への加入手続きも行われていなかったのである。
山下さんはA社に対して社会保険の手続きなど法律に沿った対応をすることを求める要望書を提出した。すると会社は予想外の反応に出た。
(山下さん)「要望書にはまったく回答をせずに、取り下げるか辞めるかの2択を、その日のうちに今すぐ出せと。普通のことを確認しただけなので、いきなり『解雇』と言われたのにはびっくりしました」
結局山下さんはA社を辞め実家に戻り、現在未払いの給与をA社に求めている。A社はこれに応じるどころか「職場放棄による会社への損害賠償として20万円の請求を求める」(訴状)と反撃の姿勢をみせている。
この山下さんのケースにおける問題点として、法令遵守の意識が欠けた企業の存在はもちろんだが、国が「ドリームマッチ・プロジェクト」を通じてそのような企業を学生に紹介してしまっているという点が挙げられる。国は企業の実態をチェックできる立場にあるはずだが、それをしていないのである。学生はどんなに注意深く企業についての情報を集めても、企業に嘘をつかれた場合それを見分けることはほぼ不可能である。「ドリームマッチ・プロジェクト」においては登録されている企業について国がしっかりチェックをし、責任をもって学生に企業を紹介すべきである。現在の国による就職支援の目的は学生の内定獲得にあり内定を獲得した後のことまではあまり考慮されていないと思われるが、今後は内定獲得の後のことも考慮した上で就職支援政策についてもう一度考えるべきではないだろうか。
参考
・「国のイベントでやっと就職…なぜ、この仕事?」
http://www.mbs.jp/voice/special/201106/30_630.shtml
・DREAM-MATCH PROJECT
http://dream-match.jp/enterprise/index.html
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