一つ目は、POSSE(ポッセ)事務局長・川村遼平の「就活に追い詰められる若者たち――就活生の7人に1人がうつ状態」(収録2)です。『POSSE vol.10』に掲載されたアンケート調査報告です。
編者の児美川孝一郎さん(法政大学キャリアデザイン学部教授)は次のように紹介しています。
川村さんの【収録2】は、論考のタイトルそのままに、今どきの就活が、いかに学生たちを肉体的・精神的、そして経済的にも追い詰めているのかを描いています。紹介されているアンケート調査は、サンプル数が少ない点は気になります。しかし、ブラック企業の問題にも視野を広げながら、就活生たちの不安や、「うつ状態」とも遠くはない彼らの“追い詰められた”心境にリアルに迫っています。(pp.19-20)
ここで紹介されている調査は、2010年に大学生を対象に行なったものです。POSSEは毎年テーマを決めて調査を行なっていて、この年は「就活うつ」がテーマでした。ボランティアスタッフが協力してくれる教員の授業に行き、地道に集めた調査の「リアルさ」を評価していただきました。
もう一本は、POSSE代表・今野晴貴の「就職活動システムの現代的機能――「失敗」して「成功」する「再配置」」です。こちらも、同じく『POSSE vol.10』に掲載されたものです。
今野晴貴さんの【収録6】は、この本に収録した論考のなかでは、やや“硬い”ものかもしれません。しかし、現在の就活システムが果たしている社会的機能を見事に描きだしています。
僕なりの言葉で説明してしまうと、就活という競争的選抜のシステムは、学生の側の「希望」と「受容」の水準を次々と引き下げていく力を持っているということです。学生は、希望する企業から落とされる経験を何度も重ねると、しだいに「希望」の水準を下げ、より労働条件の悪い、ブラック企業のようなところでも仕方がないという「受容」の意識を持つようになる。こうして、学生を、大企業からブラック企業までの振れ幅に上手に「競争的再配置」してしまうのが、今日の就活というシステムだというのです。システムの“罠”ですから、ここから逃れるのは、そう簡単なことではありません。(p.22)
若者が就活を経て「希望」の水準を下げていく過程はリクルートワークス研究所の方によっても「妥協型就活」と批判されています。しかし、就活生を競争的に再配置するシステムが現代の就活であると考えると、「妥協型就活」の罠を作り出した就活ビジネス企業の役割こそ浮かび上がってきます。
他の論考についてはこちらで目次を見ることができます。
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NPO法人POSSE(ポッセ)は、社会人や学生のボランティアが集まり、年間400件以上の労働相談を受け、解決のアドバイスをしているNPO法人です。また、そうした相談 から見えてきた問題について、例年500人・3000人規模の調査を実施しています。こうした活動を通じて、若者自身が社会のあり方にコミットすることを 目指します。
なお、NPO法人POSSE(ポッセ)では、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。自分の興 味に合わせて能力を発揮できます。また、東日本大震災における被災地支援・復興支援ボランティアも募集致します。今回の震災復興に関心を持ち、取り組んで くださる方のご応募をお待ちしています。少しでも興味のある方は、下記の連絡先までご一報下さい。
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事務局長:川村 遼平(かわむら りょうへい)
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