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原発問題は水俣病の再来か


福島県の原発問題の今後を議論するにあたって、「水俣病」が重要であると考えます。あまりにも原発と「水俣病」は酷似しているのです。「水俣病」はご存知だと思いますが、1956年熊本県水俣湾で発生した有機水銀による水質汚染を原因とし、汚染された魚類を通じて人の健康被害が生じた四大公害事件の一つです。また、加害者であるチッソや政府の対応が遅れたことで被害が拡大し、現在でもその問題は解決していません。

では、原発問題と「水俣病」はどのような類似性があるのでしょうか。
まず、政府・企業の隠蔽体質が挙げられます。東京電力・政府は放射能汚染レベルに関する情報を小出しに、あるいは禁止している様子が伺われます。「水俣病」では、チッソ内部の研究室にて自己の工場排水が原因だということを突き詰めていながら、実験禁止命令が出されました。政府に至っては、熊本大学による有機水銀が原因であるとの説があったにも関わらず、有機水銀否定説を強固に支持し、厚生省は厚生省衛生調査会に対し解散命令を下すほどでした。この結果、チッソは操業停止まで何らの対応も取らず、被害は拡大していったのです。
また、御用学者についても指摘する必要があります。最近では山下俊一長崎大学教を福島県の放射線健康リスク管理アドバイザー等から解任する県民署名が問題になっています。山下教授の解任の是非はともかく、御用学者に関連して「水俣病」では清浦東工大教授がよく挙げられます。清浦教授とはわずか5日の調査で「有毒アミン説」(有機水銀が原因であることを否定)を通産省に論文提出した人物です。彼の説を受けて政府側は有機水銀が原因という熊本大学の研究結果を退けました。このように御用学者を利用した真相究明の妨害という事態は歴史上普通にありえたのです。
次に、加害行為と損害との因果関係の証明が法的に難しいということです。「水俣病」では本当に有機水銀によって健康被害が生じたかを訴訟で証明することは厳しかったのです。自然科学的に原因物質と被害の因果関係を証明することが困難であったからです。原発問題は、この点に関しては一層証明が厳しくなると思われます。それは放射能による損害が日本の死因のトップである「癌」だからです。事実、原発関連の労災が認定されたケースについては、2010年に開示された正式な人数でわずか10名しかいないのです。ゆえに、今後原発に関して訴訟を提起するとしても、因果関係の証明という困難な壁が立ちふさがっていると思われます。

これ以外にも検討すれば水俣病と原発問題の類似点はまだ挙げられるでしょう。ただし、原発問題に関して水俣病と大きく異なるのは「震災」というファクターが存在していることです。つまり、実際に訴訟を提起した場合に震災を理由に東京電力が免責されるおそれが十分考えられるのです。責任の所在を不明確にしてはなりません。
「水俣病」がいかに悲惨な事態を招いたかは歴史が物語るところです。少なくとも、何もせず原発問題を放置していれば「水俣病」以上の大きな被害が生じることは間違いありません。そのような事態を回避するよう努める義務が水俣病を学んだわたし達にはあるのではないでしょうか。

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