PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

2017年全日本トライアル第7戦 東北大会

2017-11-02 00:55:51 | トライアル
2017年全日本トライアル。国際A級スーパークラスのチャンピオンは小川友幸選手に決定です。


まあこれはこの最終戦を迎えるだいぶ前、7月の第5戦北海道大会から予想されていた通り。
第6戦でも優勝した友幸選手は、この最終戦では6位表彰台を逃す7位でもチャンピオン決定という状況だったのです。
それでも友幸選手は「とにかく最終戦は勝ちたい」と意欲を見せます。

最後に負けるとそれを春まで引きずることになり、胸を張って「チャンピオンです!」と言いにくいのだそうです。
そして友幸選手はここ最終戦東北大会では、2013年の優勝を最後に14,15,16年と3連敗をしているのです。

朝からまじめにざあざあ降る雨の中、「今年こそすっきりチャンピオンを!」の思いでスタートした友幸選手。

「皆さんが見て感じるより、かなり難しい設定です」というセクションを、ひとつひとつ丁寧に走ます。


第1,第2をクリーンして、アウトへのステアで転倒者続出の第3セクション。

 吉良祐哉選手


 砂田真彦選手


 成田亮選手

友幸選手はここもクリーン。


でも第4では3点。


そして後半セクションの勝負どころ、第8セクション。

 岡村将敏選手


 斎藤晶夫選手

友幸選手は、ここを2点で抜けます。


となりの第9は、まずはこのインの登りが問題。

 野本佳章選手


 柴田暁選手

ここを越えてもアウトで時間が足りなくなってしまいます。

 小川毅士選手

しかし友幸選手はここをただ一人クリーンで抜けます。

友幸選手の1ラップ目の減点は、合計5点です。

ランキングは2位。事実上逆転チャンピオンはありえない黒山健一選手は、シンプルに優勝のみを目指します。


しかし友幸選手がクリーンの第1で1点。


でも友幸選手が3点の第4をクリーンで逆転します。


第8はふたり同点の2点。


ところが友幸選手がクリーンの第9で、黒山選手は5点をとってしまいました。

黒山選手の1ラップ目の減点は、合計8点です。

そして最終戦で優勝を狙うのは、友幸選手と黒山選手だけではありませセん。
第6戦中部大会でも友幸選手を脅かす成績で2位を獲得した、野崎史高選手です。


第3でこそ1点をとったものの、

野崎選手は2人が2点の第8をクリーン。


黒山選手が5点の第9も3点で抜け、1ラップ目をトップで走り切ったのです。


1ラップ目の順位は
1位 野崎史高 減点4
2位 小川友幸 減点5
3位 黒山健一 減点8

試合は2ラップ目。
1点差で野崎選手を追う友幸選手ですが、2ラップ目は調子を落としてしまいます。

第3のステアはこの状況。

いったん止まってからのウーポンなのですが、上まで届きません。

1ラップ目ただ一人クリーンした第9でも失敗です。


2ラップ目の黒山選手。
友幸選手が失敗する第3セクションをクリーンして、逆転します。
一旦手前で止まって一気にウイリージャンプ、という行き方です。


野崎選手もこの第3をクリーン。
友幸選手や黒山選手とは違う、前輪を吊りながら上に飛び上がるダニエルジャンプのような行き方です。


すぐ裏の第4セクション。野崎選手は黒山選手が3点だったところもクリーンして、黒山選手を引き離します。


黒山選手のここでの3点は結構大きく、黒山選手は友幸選手にも逆転されてしまったのです。


2ラップ目が終わり、
1位 野崎史高 減点11
2位 小川友幸 減点15
3位 黒山健一 減点16

3ラップ目。
友幸選手は、また第3セクションで失敗してしまいます。

友幸選手には得意な設定だとも思うのですが、いったいどうしたことやら。
第9セクションでも、またまた5点です。


黒山選手は第3セクションを3回ともきっちりクリーン。

黒山選手は友幸選手を再逆転して、野崎選手を追いかけます。

野崎選手も第3を0点。

そのごもきっちりクリーンで走り続けます。


2ラップ目に5点をとった第9は3点で抜け

このまま黒山選手を5点引き離してSSを迎えるのか、と思った第10セクションでした。
黒山選手はクリーン。


ところが野崎選手は、メインのポイントに差し掛かる何でもないところで、前回りをしてしまったのです。


SSを前に3人の減点は以下のとおり。
 1位 野崎史高 減点19
 1位 黒山健一 減点19
 3位 小川友幸 減点29

今年のSSはそこまでの順位でトライ順が決まりますが、野崎選手と黒山選手のいったいどっちが最後を走るのか?



その順位がなかなか発表になりません。
なんと2人はクリーン数も、1点も2点も3点も5点も、まったく同じ数。
こういう場合はスタートからゴールまでの時間で順位が決まるのですが、2人とも持ち時間を4秒残してのゴールという驚くべき結果です。

このため2人は割り箸を引くくじ引きを行い、野崎選手が最終ライダーとなります。


今回のSSはふたつともかなり難しい設定。
第1は先にトライした全員が5点です。

 藤原慎也選手


 久岡孝二選手


 吉良祐哉選手


 柴田暁選手


 小川毅士選手

この難セクションを、3人の中では最初にトライの友幸選手がついに3点で抜けます。


走破が可能なことが証明された中で、黒山選手。3点でも抜けた方がググッと優勝に近づきます。

しかし黒山選手は、ここで失敗。


黒山選手の失敗を見て、最後に入る野崎選手。

ここは後から入る方が気持ち的に有利だったでしょうか。ところが。


2人の完全同点状態は続いたまま、いよいよ最後のセクションです。
雨で滑るタイヤを誰も攻略出来ません。

 藤原慎也選手


 久岡孝二選手


 吉良祐哉選手


 斎藤晶夫選手


 野本佳章選手


 小川毅士選手


友幸選手をもってしても、失敗です。

そして黒山選手。

友幸選手が失敗したポイントまでをクリーンで越え

最後のタイヤでついに足を着くも、1点で走破です。



これで野崎選手は、クリーンしないと優勝できないところに追い込まれてしまいました。


そして。


野崎史高と黒山健一による全日本トライアル史上はもちろん、おそらく世界でもかつてなかった熱戦は、黒山選手が獲りました。


 
 優勝 黒山健一 減点25c18
 2位 野崎史高 29c18
 3位 小川友幸 39c16
 4位 小川毅士 61c11
 5位 野本佳章 77c7
 6位 柴田 暁 77c8
 7位 斎藤晶夫 92c6
 8位 吉良祐哉 97c4
 9位 久岡孝二 103c3
 10位 藤原慎也 104c2
------ 以下SS不出走
 11位 砂田真彦 95c1
 12位 成田 亮 97c2
 13位 岡村将敏 100c2
 14位 磯谷 玲 102c3

4年連続最終戦の優勝をのがした友幸選手は「またですよ〜」と渋い顔。

でも最終目的のチャンピオンは、しっかり確保。
今年はだいぶ前から決まっていたので、恒例のバイク胴上げも神輿付きの豪華さです。




この最終戦を同ポイントで迎えた成田亮選手と久岡孝二選手。

くしくもIAS最年長と最年少の闘いは久岡選手が勝利。ルーキーIASは来年ゼッケン8番を着けることになります。


もう一組、同じく同ポイントだった斎藤晶夫選手と野本佳章選手。

野本選手は試合前「すっげえ嫌なヤツだったら、絶対負けるもんか!と思うけど、晶夫君だもんなあ。どっちが勝っても嬉しいですよ」と語っていました。
しかし試合が始まれば、2人とも全力を出しての激戦です。



斎藤選手もマフラーを壊しながらのファイト。



結果は斎藤選手の7位に対して、野本選手は柴田暁選手もクリーン差で下して、今季最高位の5位を獲得。
今年リタイアした田中善弘選手のゼッケン6番を譲り受けました。


2017年IASランキング
チャンピオン 小川友幸 134
2位 黒山健一 119
3位 野崎史高 101
4位 小川毅士 95
5位 柴田 暁 82
6位 野本佳章 66
7位 斎藤晶夫 64
8位 久岡孝二 49
9位 成田 亮 46
10位 藤原慎也 39
11位 吉良祐哉 36
12位 砂田真彦 29
13位 磯谷 玲 22
14位 岡村将敏 22
15位 加賀國光 5

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