PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

2018年全日本トライアル第1戦 関東大会レポート

2018-03-14 22:15:43 | トライアル
ひえ〜!スーパークラスが17人!!

スーパークラスは、世界トップクラスに匹敵する実力を持つ選手たちを別扱いしよう、として生まれたはずでした。いわば本当の意味の「国際」クラス。
これによってトライアル界にスターが生まれ、セクションレベルも別扱いで見応えがあり、さらに下のクラスは安全な試合が出来るようになった訳です。

しかし今年はそれが、17人にも膨らんでしまいました。
クラス内での実力差は広がるばかりで、これまでも身の丈を越えたトライを強いられ怪我で辞めていった選手が何人もいます。
今回の開幕戦でも、13位以下が全員オール5点。ライディングではなくタイム差で順位がつけられました。

彼らは危険度が高いセクションにダメとわかっていながらツッコんで行くわけで、これは果たしてスポーツといえるのかと疑問になるくらいです。
以前私のJTR動画がYouTubeから「公開に不適切」と言われた事があります。
具体的な理由は不明でしたが、利用規約を再読した所「自傷行為の映像」に引っかかったとしか思えません(苦笑)

今年IAS新昇格の平田雅裕選手は、1ラップ目の第4で早くも怪我をしてしまいます。

雅裕選手は、残りのセクションを全部エスケープします。いわばリタイア状態だったのですが、第3が3点だったため、全部をまともにトライした選手よりも成績が上という結果。
雅裕選手はそれなりに頑張ったのですが、なんだかなあ、です。

こちらは第5セクション。
2ラップを通して全員が5点という、完全に走破不可能な設定で、セクションとして成立していません。


優勝した黒山選手も、2回とも5点。


さらにここは失敗しても逃げ場がなく、危険です。危なかった吉良祐哉選手。


ちなみにこの第5は、他のセクションから少し離れています。
それでも2ラップ目に頑張って撮りに行ったら審判が「来てくれたのはいいけど、みーんなスタンプラリー(申告5点)ですよ。ずーっと待ってくれているお客さんに申し訳なくってね」でした。


第5セクション。1ラップ目に転倒、斜面を転げ落ちる柴田暁選手。

柴田選手は2ラップ目もここで、後ろ回転で落ちる大転倒。
頭にバイクが落ちてきた上に背中を強打して、もしかしたらもしかしたかもしれない状況でした。


こちらはSSの第1を攻めた、15歳の氏川政哉選手。
初めてのIASでSS出場は立派ですが、落ちた先で膝を岩に激突させ、しばらく立つことが出来ません。



11位以上に入れた選手も上位数人以外はまともなトライが出来ない試合内容で、たまたまラッキーだったトライひとつで順位が動いています。
これは選手にとっても観客にとっても、どうなのでしょう。
IASが大人数に膨らむことで、かねてから問題だったIAとIBの「国際」を名乗る価値の低下が、さらに進んでいるようにも感じます。
いったいMFJは、全日本トライアルをどうしようと考えているのでしょうか。
ただでさえ地盤沈下の進むオートバイ業界。「仕方ない」を積み重ねるだけでは、本当に消えてしまいそう・・・。


さてそういうわけで、ものすごく難しいセクションが用意されていた、第1戦関東大会。
1ラップ目の第1セクションから、5点が続きます。
問題はこのオーバーハングの高い岩。

思いっ切りアクセルを開けたウイリージャンプで飛びつくも、みんな跳ね返されて、はい5点。

新昇格の、平田貴裕選手。怪我をした雅裕選手の弟さんです。


今年はゼッケン7番を着ける、斎藤晶夫選手。


新昇格の氏川政哉選手。氏川湧雅元選手の弟さんで、お兄さんはアシスタントを努めます。


砂田真彦選手はこの失敗から終わりまで、全部5点となってしまいます。


今年はTRSに乗り換えた吉良祐哉選手も、オール5点。


ヤマハに移籍した、久岡孝二選手。第3でのクリーン、1点の他は全部5点。


昨年は怪我に泣かされた、小川毅士選手。
今年は「結婚も決まって怪我は出来ない」と言っていたのですが、第1のジャンプで吹っ飛んだバイクの前輪が胸を直撃し、あやうくリタイアになるところでした。


この難関の第1セクション。
野崎史高選手はこのポイントを手前のキッカケ石を利用して飛び、観客の大歓声を受けます。


減点は1点。
試合後「あのキッカケは、誰も気が付かないものなの?」と聞くと、「気が付いていても、実際にやる勇気とは別ですから」とのお答え。なるほど。

でも野崎選手が成功したことで、後から走る選手はみな同じ方法で飛び、黒山選手はクリーン。


小川友幸選手も同じラインを狙いますが、なんとブーツのバックルでテープを切ってしまうアンラッキーに見舞われます。


友幸選手は第2セクションでも5点になってしまい、2つともクリーンした黒山選手とは早くも10点差です。


余裕を持った黒山選手は必要以上にクリーンを狙う必要がなくなり、逆に友幸選手は無理してクリーンを狙わざるを得ず、この結果1ラップ目は黒山選手の減点15点に対し、友幸選手は30点。


後から聞くと友幸選手は右足首の靭帯損傷も完治していなかったとのことで、その後も黒山選手に追いつく事が出来ません。


1ラップ目序盤に最後を走っていたのは、柴田暁選手。
第1セクションを、歓喜の声とともにクリーンします。


第2セクションも1点で抜けて、ガッツポーズ。


気合入りまくりの柴田選手。
1ラップ目第5セクションまでを黒山選手に続く2位で走り、これはもしかして?


しかしハードなセクションは柴田選手の体力を奪い、柴田選手は腕が上がってしまい集中力とともに徐々に順位も低下してしまいました。



1ラップ目後半に柴田選手を抜いたのは、小川毅士選手。
しかし毅士選手もなかなか安定したトライができず、結果は4位。

定位置と言えばそうなのですが「全然自分の納得するトライが出来なかった」とのことで、いつもの4位より悔しいとのことでした。

今年から再び4ストローク車に乗ることとなった、野崎史高選手。


マシンを受け取ったのが前の週だったとことで「どんなポテンシャルなのか、探り探りのトライでした」とのこと。
このため特に1ラップ目は、マシンの性能を引き出しきれない失敗をいくつかしてしまいます。


でもマシンに慣れたのか、2ラップ目になると少しずつ減点を減らして、3位を獲得しました。



TYS250Fiは3年目になる黒山選手は、序盤から力強い走り。
エンジンは基本的に野崎選手と同じようですが、フレームは全然違う新型でした。


ここでは上がった時樹の枝がマシンに絡みついて5点になってしまいますが、リズムを乱すことはありません。

「友幸選手が出だしでつまずいたので、はやり余裕が持てたのでしょうか」の質問には「いえ、特に意識はしないで自分の走りに集中していました」とのこと。まあそれが出来たのは、やはりスタート直後からリードを保てたからなんでしょうけど。

結局黒山選手は、9人もの選手がクリーン0の中12個もクリーンを出して、昨年に続き開幕戦を圧勝です。

「まだひとつ終わっただけです。そりゃ勝てた事は嬉しいですけどそれは今日で忘れて、気持ちを第2戦以降に切り替えます」


出だしの調子では3位以下もありえた友幸選手は、きっちり2位を押さえました。

「勝てなかった事は残念ですけど、チャンピオンが穫れた昨年と同じパターンなので、幸先はいいかと思います。でも昨年と同じパターンだとすると、第2戦も負けなきゃいけないんですよねえ」と苦笑いでした。


優勝 黒山健一 減点40c12
2位 小川友幸 59c8
3位 野崎史高 74c5
4位 小川毅士 80c4
5位 柴田 暁 94c3
6位 野本佳章 108c0

7位 岡村将敏 115c1
8位 氏川政哉 118c2
9位 斎藤晶夫 118c0
10位 藤原慎也 119c0

以下SS不出走
11位 久岡孝二 111c1
12位 平田雅裕 118c0
13位 成田 亮 120c0
14位 砂田真彦 120c0
15位 磯谷 玲 120c0
16位 吉良祐哉 120c0
17位 平田貴裕 120c0


以下はほぼ私信です。
いつも大変お世話になっている、IBライダーの走り。

●串馬啓之選手
https://youtu.be/bMEjrL36JsI

●小倉功太郎選手
https://youtu.be/pdA9AlSe3G0

●宮嶋清次選手
https://youtu.be/C5Pg7wf35Lg





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